B2B Insight
第3回 「直接材購買における電子調達の活用」
調達改革の2つの大きな流れ

 調達改革の現場における最近の傾向として、2つの大きな流れを感じている。一つは購買・調達能力を高め企業の競争力強化を高めていきたいという業種がますます広がっているという点である。これは主に今まで手を付けられていなかった間接材・サービスに関する支出を対象としたものである。今までで言えば一部の製造業だけの取組みであったが昨今様々な業種においてこのようなニーズがますます高まっていることを感じている。  一方の流れは直接材を対象とした調達改革の流れである。きっかけとしてはV字型回復を目指す一層のコスト低減であったり、もっと継続的に購買コスト低減を進めていくための仕組みつくりだったりと様々なケースがあるが、いずれにしても多くの企業で製造原価の範疇に入る材であり、コスト低減は非常に難しい領域である。  今回はこの直接材購買における日本企業の購買のやり方の現状の課題と電子調達の活用というテーマを取り上げたい。

調達改革の必要性

筆者は日頃の活動の中で企業の調達改革ニーズの高さを感じている。その背景としてはV字型回復の切り札としての期待がある。長期の経済低迷デフレ環境下、多くの企業は収益改善の切り札として調達費用削減を非常に高い目標を設定し推進を図っており、その傾向は最近でも変わらない。 購入品目によって違いはあるものの、調達改革の目的はつきつめると「更なるコスト低減」と「企業としての購買・調達能力の向上」の2点に集約される。 「更なるコスト低減課題」はV字型回復の切り札として20〜30%の高いコスト低減目標が設定されており、今迄の購買活動の延長上ではなし得ない高いハードルが課せられている。 また「購買・調達能力の向上」という点からは特に企業のグローバル化による「グローバル・グループでの最適購買の推進」が多くの日本企業での課題となっている。この流れの中で、購買プロセスの標準化、購買関連の情報共有化を行うことによって「誰もが同じ情報を元に、定められたプロセス、ツールで購買・調達業務を行い、企業としての購買能力の向上、調達業務プロセスの効率化、戦略的な調達業務へのシフト、を実現する」ことが重要なポイントとなっている。 いずれにしても共通して言えることは「今迄の業務延長ではない改革課題が山積」しているという点である。

国内企業の購買活動におけるアンケート調査結果
前章では定性的に日本企業における調達改革の必要性について述べたが、2004年3月にアジルアソシエイツが実施したアンケート調査結果からも同様の内容が読み取れる。  図1は同アンケート調査の中で、現状の購買・調達活動の課題についての設問であるが、当たり前とも考えられるがトップの課題は「コストダウン」であり、回答社は全体の約90%をしめている。

コストダウンと言ってもその具体的な内容としては、今までのやり方に限界を感じていて、新しいやり方や継続的なコスト低減を行なうための仕組みつくりに課題を感じていることが分かる。具体的な回答については下記の通りである。

  • 継続的なコストダウンの仕組みの構築、ネタ探し(11件)
  • 資材の値上げ対策、コストダウン(6件)
  • 原価低減(6件)
  • 海外調達(2件)
  • サプライヤ開拓(2件)
  • 設計段階でのコストダウン(2件)

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