2017.1.19号
「コスト削減手法のトレンド」

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        「目指せ!購買改革!!」     
      〜調達購買改革最前線〜
─────────────────────────── 2017. 1. 19 ─-

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☆今週のメッセージ「コスト削減手法のトレンド」
☆「アジルレポート 調達購買改革を巡る誤解」発行のお知らせ
☆2017年1-3月期の「調達・購買人材向けトレーニングセミナー」の日程のお知らせ

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■ 今週のメッセージ「コスト削減手法のトレンド」
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この正月に研修用の資料を作りながら感じたことがあります。
それは、コスト削減手法にもトレンドがあるな、ということです。

昭和の頃のコスト削減手法はどちらかというと加工費の削減に重みをおいています。
IEアプローチやOR、ECS、などの手法であり、どちらかというとコスト削減よりも出来高
の向上(工数削減、生産量増加)に力を注いでいるものです。外注コストに関しても
その流れを踏まえて加工費を中心にコスト目標を試算しサプライヤの生産性向上を
指導していく、という考え方が一般的でした。

何故ならそもそも製造業におけるサプライヤの活用は、基本内製からスタートし、生産
能力の不足から外注を活用するという位置づけから始まったからです。また、この時期
は、作れば売れる時代でしたので、出来高を上げて供給力を如何に増強していくか、
が重視されました。そのような時代背景もあって主要なサプライヤのコスト削減手法は
コスト分析によるコスト妥当性の評価やそれによる指導という手法だったのです。

これが経済の低成長期に入り、でてきたコスト削減手法のトレンドがソーシングです。
戦略ソーシングと言う言葉が使われるようになったのもこの頃からでした。ソーシング
とは、「安いところから買う」というコスト削減手法です。この手法の特徴は応用範囲が
広いことです。従来の外注加工だけでなく、広がってきた購入品や開発品(サプライヤ
に開発から委託)、購入材料、また2000年代に入ってからは所謂間接材である経費系
の買い物やサービスなどの調達購買でも活用できる手法でした。また、ソーシング手法
と合わせてサプライヤの切替えや集約を図ったり、購買計画に基づき集中購買を進め
ボリュームメリットを引出すことで大きな効果をもたらしたのです。

ところが、ソーシング手法も昨今は行き詰まりをみせています。様々な企業の調達
本部長と話をしていると皆さんが同じことをおっしゃられるのです。
最近の購買は「相見積や比較購買、入札ばかりであり、コスト査定の能力が落ちている」
と。またソーシング手法も同じ費用や品目で同じサプライヤを競い合わせることを何度も
繰り返せば限界が来ることは容易に想像できます。
(下記の「調達購買改革の誤解」というレポートにもそういう内容を書いています。)

ソーシング手法の限界が見えてきた今、もしくはこの先、どのようなコスト削減手法が
求められるでしょう。私はイノベーションを伴ったコスト削減手法を活用する活動が、
次第に広がってくると期待も込めて考えています。

イノベーションは「安いところから買う」とか「(コスト妥当性を評価し交渉して)安くする」
というややゼロサムに近い世界から脱却し、無駄な買い物を抑制することにつながり
結果的に大きなコスト削減効果が出ると考えられます。従来は単価を下げることに
ばかりに集中していました。しかし、よく考えてみると1個10円のものを1円、2円などの
単位で単価削減をしても1個余計に無駄な買い物をすればこの単価削減が全くの無駄
になってしまうことが分かります。そもそも何が無駄な買い物で何が無駄な買い物では
ないか自体が見極められていない、のが現実ではないでしょうか。このように、今後は
何かのイノベーションを活用することでそもそもの購入量を削減するような方向にコスト
削減手法はシフトしていくでしょう。

例えばIoTの活用などはその最たるものでしょう。IoTは資産効率を高めたり、在庫最適
化に直結するイノベーションです。稼働率の管理が可能になり資産効率が高まれば、
過剰な設備など資産の購入が必要なくなります。同様に在庫の見える化、管理が可能
になれば無駄な在庫の購入が不要です。このようなIoTというイノベーション活用による
コスト削減事例のようなコスト削減手法はこれからのトレンドとなっていくでしょう。

間接材などは在庫管理という概念がありません。しかしこれは管理コストがかかるから
管理していないだけであり、イノベーションによって低コストで在庫管理が可能になれば
無駄な買い物を一気になくすことができます。これはモノだけでなく、サービスでも同じ
ようなコスト削減手法が可能となっていくでしょう。このようにイノベーションを活用し無駄
なサービス費用を削減する、という興味深いコスト削減手法活用事例を最後に紹介
します。

対象となるコストはゴルフ場の維持管理コストです。ゴルフをやられたことがある方なら
想像できるでしょうが、ゴルフ場の芝生等のメンテナンスはとても行き届いています。
同時に相当なコストがかかっているようです。私も趣味などでゴルフをやるのですが、
やはり手入れが行き届いているゴルフ場は気持ちいいですし、多くのゴルファーがゴルフ
というものはそういうものだと考えていることでしょう。

これは、ゴルフ場経営会社の調達部門にいた知人バイヤーから伺った話なのですが、
実はこの管理コストで大きなポーションをしめているのが肥料や水などの維持管理用
の資材費用と人件費なのだそうです。そして中でも無駄なコストと考えられるのは芝生
の状態は「ベテランの管理者がチェックをしないとわからない」ため、その人が芝生の
状態を見て回る時間(コスト)がたいへん多くかかってしまうことなのだそうです。また
その時間を節約するために、本来ならやらなくていい箇所にも肥料や水をやることに
なり、それは芝生にとっても良くないし、肥料コストの無駄につながるとのこと。

そしてこのバイヤーが考えついたのがドローンの活用です。ドローンにカメラを搭載し
芝生の状態のモニターを行い、状況に応じて芝生の維持管理を行ことで、先に上げた
無駄な費用を削減することを考えたのです。ドローンという新しいイノベーションをこの
ような分野で活用するといったアイディアはイノベーションを開発する側ではなかなか
思いつかないでしょう。

このように世の中のイノベーションを活用しコスト削減につなげていくような手法は
今後益々活用事例やアイディアはでてくることでしょう。しかし容易いことではありま
せん。従来のやり方に慣れたユーザーや社内関係者、開発担当者は新しいやり方を
好まないのが通常です。できれば今までと同じやり方をしたいという方が多いでしょう。

またIoTにしてもドローンにしてもイノベーションを開発する人たちは応用スキルも
持っていないことが少なくありません。イノベーションがどのような分野で活用でき、
それがどのような効果をもたらすか思いつかないのです。

バイヤーは社内関係者とイノベーション側ををつなぐ役割があります。この両者を
つなぐことができるバイヤーにならなければならないのです。それが次世代バイヤー
の姿です。そのためにはバイヤーはもっと新しい技術やイノベーション、世界に目を
向けなければならないのです。

ご意見、ご質問、ご要望などございましたら
info-ag@agile-associates.comまでご連絡ください。
遅くなるかもしれませんが、必ず私(野町)からご連絡させていただきます。
よろしくお願い申し上げます。

(野町 直弘)

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■ 「アジルレポート 調達購買改革を巡る誤解」発行のお知らせ
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「アジルレポートVol25 調達購買改革を巡る誤解」レポート大好評無料ダウンロード
できます。

レポートダウンロード(無償)はこちら
http://www.agile-associates.com/report201701/

この20年間で日本企業の調達購買部門の重要性は確実に増してきています。また
今では当たり前になっているような調達購買改革はこの20年の間にかなり進展して
きているでしょう。

それは調達購買改革の第一ステージとも言えます。この第一ステージはどちらかと
いうと欧米型調達手法の横展開でした。具体的には、欧米企業では当たり前になって
いるような効率化、集約化、集中化、競争化などの取組みです。

結果的に現在多くの企業で調達購買部門は本部化し、一定の人員とポジションを
占めるようになりました。また多くのバイヤーが専門家として育成されプロフェッショナル
バイヤーは確実に増えています。また他の企業では調達購買部門がない企業が新しく
調達購買部門を立上げ企業収益への貢献等を達成していきました。

しかし、この数年段々とその状況が脅かされ始めました。

従来のようにやれば効果が出る改革手法に限界が来ており、新しい調達購買改革の
基軸が求められているからです。ここでは新たな改革手法が求められています。

果たしてどのような改革の方向性なのでしょうか。

今回アジルレポートVol25「調達購買改革を巡る誤解」を発表いたしました。このレポート
は多くの日本企業が現段階で調達購買改革の舵取りを変えていくための視座となる
ような基本的な考え方を述べています。

このレポートが皆様の今後の調達購買改革のお役にたてれば幸いです。

ダウンロード(無償)はこちら
http://www.agile-associates.com/report201701/

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■ 「調達・購買人材向けトレーニングセミナー」日程のお知らせ
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2017年1-3月の「調達・購買トレーニング・セミナー」の開催日程をお知らせいたします。

http://www.agile-associates.com/2016/08/20162016920173.html
お早目のお申し込みをお待ちしております。

【基礎セミナー】

  『調達・購買業務基礎』
      2017年  3月17日(金)    
  お申込・詳細はこちら
  http://www.agile-associates.com/train/train.html
  「アジルアソシエイツの名物セミナーです。
   購買担当者としての心構えから技法・手法の基礎を学べます!」
     
【現場学セミナー】

  『コスト削減手法と戦略ソーシング』
     2017年 2月16日(木)
  お申込・詳細はこちら
  http://www.agile-associates.com/train/train.html

  『経費削減・間接材購買業務改革』
     2017年 3月 9日(木)
  お申込・詳細はこちら
  http://www.agile-associates.com/train/train.html


詳細はトレーニング・セミナーページまで

会場は全て東京23区内(新宿または東京駅近辺)を予定しています。

ぜひともご参加ご検討ください。

どのようなセミナーが自社や自社のバイヤーに向いているか、不明な方はお問合せください。
お問合せ先はこちら
info-ag@agile-associates.com

企業の個別研修もお引き受けします。
ご依頼、ご質問等々は、次のメールアドレスまで!
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