2016.11.2号
「調達購買改革を巡る誤解 まとめ」

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        「目指せ!購買改革!!」     
      〜調達購買改革最前線〜
─────────────────────────── 2016. 11. 2 ─-

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☆今週のメッセージ「調達購買改革を巡る誤解 まとめ」
☆2016年下期の「調達・購買人材向けトレーニングセミナー」の日程のお知らせ

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■ 今週のメッセージ「調達購買改革を巡る誤解 まとめ」
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前回までの4回で調達購買改革を巡る誤解について考えてきました。

具体的にはこの5つの誤解です。
1.「集中購買」=「サプライヤ集約」=「コスト削減」の誤解
2.「サプライヤ評価」=「サプライヤマネジメント」の誤解
3.「複数社発注」=「リスクマネジメント」の誤解
4.「部品集約」=「コスト削減」の誤解
5.「競争化」=「コスト削減」の誤解

「集中購買」「サプライヤ集約」「サプライヤ評価」「複数社発注」「競争化」これらの改革
のキーワードは多くの企業でスローガン的に取上げられてきました。改革の初期に
おいてはこれはとても重要なことです。何故ならシンプルでわかりやすいキーワードは
改革を進めていく上で推進力になったから。
一方で今回の誤解シリーズで述べてきたことは、これらの活動はあくまでも手段だった
りツールであり、目的ではないこと、また定義が曖昧で各人の捉え方が全く違ったり
すること、それから必ずしも全ての品目で両辺のイコールの公式が直結しないこと、を
述べてきました。

今回の誤解シリーズを通じて私が言いたかったことはこのようなキーワード型改革は
既に時代遅れであるということなのです。

日本企業の調達購買改革は多くの企業で90年代後半くらいから取組みが始まりました。
ぞれは属人的業務との戦いです。企業全体の調達力を強化するために、プロセスの
標準化を行い、人材の育成を行い、インフラの整備を行い、カテゴリー戦略を立て、
ユーザーマネジメントを行い、サプライヤマネジメントを行ってサプライヤとの関係性を
見直してきました。キーワード型改革は推進力が求められますので、今までの初期的
な改革段階においては、このような進め方は効果的であり多くの日本企業がキーワード
型改革を推進してきたのです。

例えば「集中購買」ですが、当初は同じものを違うサプライヤから異なる価格で買って
いる状況でしたから、それを集めて同じサプライヤから買うようにすれば、(そりゃあ)
安くなるわけです。でもこういう活動はやればやるほどネタが枯渇してきます。
そうすると集中購買しても「サプライヤの原価低減にもつながらず、それほど大きな
効果にもつながらない」状況に陥ります。また品目毎の状況によってもコスト削減効果
がでる品目とでない品目があるでしょう。コスト削減効果がでなくなると改革自体の
有効性を疑い始めます。結果的に(効果がでないなら)集中購買はしなくてもいいの
では、みたいな話になってくるのです。

私はやはり集中購買、集中契約は進めるべきと考えます。集中購買はコスト削減効果
だけを求めるものではないからです。例えばスキルの育成や集中化、それから社内
統制面や業務コストの最適化、支出最適化の状態を保っておくには集中購買が望ま
しいから。そういう意味ではコスト削減効果が薄れてきたから集中購買やめましょうと
いうのは乱暴な議論です。

いずれにしてもここに上げたようなキーワード型改革は既に限界にきています。これは
今日現在は調達購買改革の初期段階ではなく、次の改革に向けての発展段階になって
きているということでしょう。キーワード型改革はシンプルでわかりやすい。しかし、
「競争化」=「コスト削減」の誤解でも取り上げましたが、「競争できないものを無理やり
競争させてしまう」ようなリスクも内在しています。また繰り返しになりますが、キーワード
の定義が曖昧でそれが誤解やミスコミュニケーションにつながるリスクもあります。また
目的・ゴールと手段やツールを取り違えてしまうリスクも少なくありません。シンプルで
推進力につながりやすいが、このようなリスクが内在することは理解しておく必要があり
ます。

それでは今後はどのような改革が必要なのでしょうか。
ポイントは「層別化」と「考えられる組織」です。

これまでの誤解シリーズでも述べてきましたが、品目や品目群の市場構造や環境は
重要であり、全ての品目を同じでように捉えるのではなく、層別化して捉え、どのよう
に重点をおき効果的な改革をするか、という重点志向が求められます。

戦略的重要性とスイッチングコストの2軸で考えてみましょう。マトリクスを考えた場合
戦略的な重要性が高くスイッチングコストが高い領域、これは例えばマイコンなどが
当てはまります。こういう領域は複数社発注でリスクマネジメントしたい領域ですが、
新しいサプライヤで全く同じものを作らせるには開発費用などの投資負担が大きく
コスト的にあいません。このような品目群に対してどのような手法をとれば良いで
しょうか。「競争化」?こういう品目は競争できないものを競争させてしまいトータル
コストがかかりすぎてしまった、なんていうことにつながります。基本的な手法は関係性
強化、囲い込み戦略でしょう。リスクマネジメント手法としてはマルチファブ化や在庫を
持つという手法が向いています。
戦略的な重要性が高いがスイッチングコストがあまり高くない領域は、例えば汎用
半導体などがあてはまりますが、この領域は複数社発注でリスクマネジメントと同時
に競わせていく領域です。
戦略的な重要性が低いがスイッチングコストが高い領域は、カスタマイズ品で例えば
樹脂成形品やプレス板金などが代表的な品目として上げられるでしょう。この領域は
例えば通常サプライヤが分散しているケースが多いのでサプライヤを集約することで
設備稼働率を向上させコスト削減につなげやすい領域になるでしょう。気を付けなけ
ればならないのはサプライヤのスイッチングコストが高いため、集約を行うのは新規
案件からとなります。
最後はスイッチングコストが低く尚且つ戦略的な重要性が低い領域です。ここは品目
としては梱包材やケーブルなどが上げられますが、競争化が当てはまりやすく競争
の結果サプライヤが集約されている、という領域です。

このように品目毎に何をやらなければならないか、また重点をどこに置くべきなのか
は品目によって異なります。これはサプライヤも同様です。同じ品目群のサプライヤで
あってもどういう関係性をつくっていくかは、サプライヤ毎に異なるからです。

層別化して重点志向することにはエンパワーメントが必要です。意思決定するのは
調達購買担当者だからです。キーワード型改革ではこのような考え方や課題はあり
ませんでした。キーワード型改革から脱却すると意思決定の方向も場面場面で異なり
ます。権限移譲をおこない、状況に応じて「考えられる組織」づくりが必要です。

そのためにはスキルの向上もジョブローテーションもやらなければなりません。担当者
がカテゴリ毎の改革を自ら考え進めていく必要がでてきます。状況に応じて(これが
難しい)考えられる担当者が必要であり、それを支える組織や仕組みが必要です。

調達購買改革はこういう時代になっちゃったいました。要するにステージがあがった
のです。ステージが上がったからそのステージにあった改革を進めなければなりま
せん。新ステージの調達購買改革は、より一層カテゴリマネジメントとユーザー
マネジメント、サプライヤマネジメントを同期させていかなければならないのです。


当メルマガでご意見、ご質問、ご要望などございましたら
info-ag@agile-associates.comまでご連絡ください。
遅くなるかもしれませんが、必ず私(野町)からご連絡させていただきます。
よろしくお願い申し上げます。

(野町 直弘)

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