2016.7.14号
「サプライヤマネジメントとイノベーション」

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        「目指せ!購買改革!!」     
      〜調達購買改革最前線〜
─────────────────────────── 2016. 7. 14  ─-

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☆今週のメッセージ「サプライヤマネジメントとイノベーション」
☆2016年上期の「調達・購買人材向けトレーニングセミナー」の日程のお知らせ

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■ 今週のメッセージ「サプライヤマネジメントとイノベーション」
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調達購買を巡る議論で「マルチソースがいいか、シングルソースがいいか」というもの
があります。特に今年に入り熊本地震をはじめとして工場火災などのトラブルにより
サプライチェーンが断絶した際には必ず話題になるものです。

一方でマルチソース、シングルソースと言ってもその言葉の定義が業界、企業、人に
よって違うことに気がつきます。ここでは、マルチソースとは同じモノ(サービスも含む)
を2社以上のサプライヤから購入することと定義してみましょう。サプライチェーン断絶の
リスク分散という点では、マルチソースかシングルソースかだけでなく、マルチファブ
(同じサプライヤの違う工場で製造する)という手法もありますし、在庫を持つ(持たせる)
という手法も考えられます。

しかし実態としてはマルチソースにしてもマルチファブにしても、全く同じものを複数拠点
で製造することになるので、相当生産量が多くないとトレードオフが生じ、追加コストが
発生してしまうでしょう。またマルチファブや在庫をサプライヤに持たせることもサプライヤ
に相応の負担をさせることになりますので、バイヤー企業にかなり影響力がなければ
できない手法と言えます。

一方で上記のマルチソースの定義とは異なりますが、品目群で複数のソース(サプライヤ)
を持つことはサプライヤマネジメントや調達購買での鉄則です。これは推奨サプライヤと
いうサプライヤの溜まりを持ち、溜まりの間で品目毎、案件毎に競わせていく、もしくは
複数サプライヤのシェアをコントロールする手法になります。

しかし、場合によってはサプライヤ毎に得意分野が異なったり、特定の技術が必要なモノ
で特定のサプライヤしか作ることができない、等の理由から、1社しかできないことが少なく
ありません。

以前このメルマガでも何度か取上げましたが、
(「購買プロセス/契約方法を変えるという選択肢」〜2015.12.16号〜)
http://www.agile-associates.com/2015/12/20151216.html
(「入札制度の限界と競争環境の整備」〜2013.8.20号〜)
http://www.agile-associates.com/2013/08/2013820.html

公共調達で一般競争入札を採用したものの一社しか入札がなく競争が行われなかった
というのは典型的な事例です。また落札したもののその企業に経営資源や技術力がなく
プロジェクト自体が頓挫するケースなども多く見られます。

以前にも申し上げましたが、これは「比べられないものを無理に比べようとするから」であり
そのために「無理や歪みが生じている」のです。そりゃあ競争できればいいに決まってい
ます。しかしどうしても競争できない場合も少なくありません。もし競争できないのでしたら
コスト分析やサプライヤの工場原価の分析などを行っても、価格の妥当性を検討すること
は可能です。もっと言えば、一社しか対応できない「サプライヤ」との関係性をいかに保って
いくかが正に調達購買部門の腕の見せ所と言えるでしょう。

一社購買になり易い事例としては技術に特異性を持つモノ以外でも、保守、メンテナンス
や清掃、その他の継続的な請負業務等が上げられます。例えば、全く新しい案件ではなく
サプライヤとの継続契約だったり、設備を買ったあとのメンテナンス契約だったり、
システム開発のあとの保守契約だったり、の場合には、通常既存サプライヤーや設備
サプライヤ、開発サプライヤ以外のサプライヤーには不利になるでしょう。
その理由は大きく2つ上げられます。完全な仕様、サービスレベルの明確化は難しいので、
既存サプライヤ以外のサプライヤは仕様が不明確な前提でどうしてもリスクを回避する
ために保険をかけた見積をする傾向がある(その分高めになる)というのが1点です。
また既存サプライヤに対してサプライヤの切り替えを図る場合のリスクおよびチェンジ
コストも発生する、というのがもう1点です。

このようなケースでは事実上一社しかできないということから、サプライヤの競合を見合わせ
たり、その結果が見えているので時間や手間をかけて見直しをするのはやめておこうという
ことになります。

これは一般論ですが、それに対して先日参加した勉強会で面白い話を聞きました。
それは、「既存サプライヤーはどうしても現状をベースにした提案しかできない、対して
新規サプライヤーは全く違ったイノベーション的な提案をしてくる」と。そのため、多くのケース
で新規サプライヤーが勝つ、というものです。
案件としては継続的な保守契約ですが、とても興味深いことです。ここではイノベーティブな
提案の具体的な内容について書くことはできませんが、話を伺ってみると、確かに既存
サプライヤだと考えつかないな、という内容の提案となってます。
既存サプライヤは「知りすぎているからこそ新しいチャレンジができない。」というジレンマを
抱えているのです。

サプライヤマネジメントとは品目別の調達戦略に基づき特定のサプライヤと戦略的癒着を
作っていくこと、つまりサプライヤを不公平に扱うこと。ですからどうしても既存取引先との
関係性づくりや囲い込みが中心になります。一方で、このようなイノベーション機会を新規
サプライヤから上手く吸い上げる仕組みや機会を持たないと間違えた戦略的癒着をつくって
しまうことにつながるでしょう。

昨近、労働力不足、グローバルでの日本企業の買う力の相対的低下、技術の複合化・
複雑化などからサプライヤマネジメントの重要性が叫ばれています。より優れたサプライヤ
との関係性を強化し、それを自社の競争力に活かしていこうという考え方がその背景にある
考え方です。しかし先に上げた事例からも
「イノベーションをもたらすためには囲い込みだけではダメ。」ということが理解できるでしょう。

やはり、競争と協調のバランスを上手く取りイノベーションをもたらすサプライヤマネジメント
を行っていくことが極めて重要であることをを改めて実感した次第です。


当メルマガでご意見、ご質問、ご要望などございましたら
info-ag@agile-associates.comまでご連絡ください。
遅くなるかもしれませんが、必ず私(野町)からご連絡させていただきます。
よろしくお願い申し上げます。

(野町 直弘)


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■ 「調達・購買人材向けトレーニングセミナー」日程のお知らせ
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2016年上期(3-9月)の「調達・購買トレーニング・セミナー」の開催日程を
お知らせいたします。
http://www.agile-associates.com/2016/03/20162016320169.html

お早目のお申し込みをお待ちしております。

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     2016年 9月 8日(木)
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ぜひともご参加ご検討ください。

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企業の個別研修もお引き受けします。
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