2015.6.25号
「サプライヤーの立場からみたコンペのあり方」

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      〜調達購買改革最前線〜
─────────────────────────── 2015. 6.25 ─-

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☆今週のメッセージ「サプライヤーの立場からみたコンペのあり方」
☆2015年上半期の「調達・購買人材向けトレーニングセミナー」の日程

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■ 今週のメッセージ「サプライヤーの立場からみたコンペのあり方」
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ここのところ、新国立競技場のデザインコンペやデザイン見直しの話が様々なメディア
によく出ています。私も詳細はよく知りませんが、要件として当初1300億円という予算
が提示されていたはずだったが、最も斬新なデザイン案が採用され、試算では3000
億円に工費が膨らんでしまい、デザイン案の見直しを行い約2500億円の規模の総工費
が見込まれているという話です。
私がこの話を聞いて最初に感じたのは、デザインコンペで落ちた会社やデザイナーは
どう思ってるかなということです。いろいろ事情はあるのでしょうが、コンペを主宰した側
にも何らかの説明責任があるということでした。

このようなコンペや相見積り、入札などの一般的に競合と言われる手法は調達購買手法
として一般的です。私の立場は競合を主宰する側に対するコンサルティングや支援を
する立場ですが、同時にサプライヤの一社として競合に参加することもあり、今回の
メルマガでは競合のあり方についてサプライヤーの立場から考察していきます。

コンペや競合はある意味とても公平な機会です。これに対して公平な競争になって
いないケースも少なくありません。例えばある一社から見積りを取ったが思ったより
高い見積りだったので改めて何社かの(例えば海外も含む)サプライヤーから見積りを
取り、そこで得た安価情報を元に交渉を進め最終的には当初見積りをとった本命
サプライヤに発注する。(これを当て馬と言いますが)このようなやり方はごくごく
一般的です。
最終的に発注がくる本命サプライヤーにしてみれば、「まあよくあることだ」で終わります
が、当て馬にされたサプライヤにとってはちゃんとした説明がなければ、この会社の依頼
には真面目に対応しても無駄だなということになります。

例えば実際の現場でも、コンサルティングの提案を求められるときに何らかの紙(例えば
提案依頼書のようなもの)が出てくることは多くありません。
ですからコンペとか入札、相見積りのようにしっかりした手順で依頼がくるということは
ある意味それだけ参入機会が増える訳ですからサプライヤにとってはウエルカムです。
(もちろん一者特命が一番ウエルカムであることは間違いありませんけど。)

ただ今回の新競技場のデザインコンペではありませんがコンペとか入札等のしっかりした
手順を踏んでいるにも関わらず、何か不透明な意思決定が行われたり、前提条件が
大きく変わってしまったりすると余計不透明感が増します。例えば最安値だったにも関わ
らず発注がこなかった、とか見積りの際の仕様や前提条件が最終的には大幅に変わって
しまっていることに失注したサプライヤが気がつくとか。。こういうことがあるとサプライヤは
元々どこか本命の企業があってそこの条件交渉のために、もしくは型通りの手順を踏んで
いることを見せたいがためにコンペさせられたんだな、とか考えてしまいます。
サプライヤはやはりこういうことがあると、そういう企業に対してやる気のある見積りや提案
はその後出さなくなってくでしょう。

昨今リバースオークションを公共入札で活用する機会が増えているようですが、確かに
オークションは公平かつ透明性が確保されるツールです。一方で透明性が確保されて
しまうため買い手が何らかの意思をそこに挟むことができなくなります。サプライヤは
自分が最安値かどうかわかりますし、他社がいくらで入札したかもわかります。ですから
落札したサプライヤーを採用できないケースがおきた場合は最悪です。

リバースオークションが日本企業に導入され始めた2002年くらいのことですが、ある企業
でオークションを大規模に使い安価入札を得たものの、その後、品質実験等を行った結果
8割方の案件で採用ができなかっという話はとても有名です。このケースでは事前に
開発部門との調整やサプライヤーの審査が不足していたことが、採用に至らない理由と
してあげられていましたが、このようなケースが起こるとサプライヤーは二度とこの企業の
オークションに進んで参加しようとは思わないでしょう。このように透明性が確保されれば
されるほど小細工は禁じ手になってしまうのです。

ある先進企業ではこのような問題に対して交渉時にやるべきこと、やってはいけないこと
をルールとして決めて全バイヤーに教育し徹底させています。当て馬や指値などは
もちろんやってはいけない行為としてルール化しているのです。
このようにしっかりした手順を踏んだコンペや入札、相見積りなどの競合は、徹底されて
いればサプライヤ側からしても公平な競争機会を作り出すことにつながるのでサプライヤ
にとって”嫌なこと”とは限らないのです。

コンペや競合、入札に関してもう一点バイヤーに理解して欲しいことがあります。
それは見積りも提案もお金がかかるということです。今回の競技場の件でも工事施工を
行う建設会社や設計会社が総工費を引き上げていると非難する声がありますが、契約
や施工に入れなくても人は確保している筈です。デザインの見直し等の調整に時間が
かかればかかるほどコストはかかっているのです。

案件によっては最初の引き合いから決定、購買(実行)まで数ヶ月かかるケースも少なく
ありません。コンサルティング支援でも、何度も提案を出し直し、その度に訪問し、打合せ
をして、、これもコストがかかっているんです。
そういう意味からサプライヤの立場からはできれば早く決めて欲しいんです。あまりに
がんじがらめに手順を踏んで、一次選考、二次選考、最終選考、と時間がかかればかかる
ほどサプライヤにはどんどん負担がかかっていくものなのです。

透明性公平性を確保しつつ、できるだけスピーディかつ最良の提案や見積を引き出すと
いうのは実は結構難しいことだということをバイヤーの方々にも是非再認識していただき
たいのです。


当メルマガでご意見、ご質問、ご要望などございましたら
info-ag@agile-associates.comまでご連絡ください。
遅くなるかもしれませんが、必ず私(野町)からご連絡させていただきます。
よろしくお願い申し上げます。

(野町 直弘)

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■ 2015年上半期の「調達・購買人材向けトレーニングセミナー」の日程
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