2015.3.18号
「パナソニックの調達改革と方向性の明確化に求められること」

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        「目指せ!購買改革!!」     
      〜調達購買改革最前線〜
─────────────────────────── 2015. 3. 18 ─-

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☆今週のメッセージ「パナソニックの調達改革と方向性の明確化に求められること」
☆アジルレポートVol.22「間接材購買は何故上手くいかないのか」の発表
☆2015年上半期の「調達・購買人材向けトレーニングセミナー」日程をリリース

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■ 今週のメッセージ「パナソニックの調達改革と方向性の明確化に求められること」
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SNS等でバイヤーの方で話題にもなっていましたが、先日パナソニックの部品・資材
の調達を一本化し新会社で汎用品の調達を行うという記事が日経新聞に掲載されて
いました。
この記事ではパナソニックが今年の4月より事業部門毎に分散購買している調達機能
のうち、汎用品の調達を一本化しその機能を新会社に移すというものです。調達額は
年間2兆円に達するため共同調達によるコスト削減や成長分野での新規取引先の
開拓を進めることでコスト競争力を高めることを目的としています。

パナソニックはここ数年で私が知る限りでも調達組織を様々に変化させています。
またその内容を新聞等の報道でうかがうこともできます。

2008年-2009年頃は「イタコナ」に代表されるコスト削減活動を事業部間の垣根を取り
払う形で進めています。私の記憶では当時は本社傘下の集中購買機能が強化された
時代でした。
それが7221億円という大幅な最終赤字となった2012年3月期とともに、2014年4月より
調達、物流本部をシンガポール拠点を移転するという発表がなされています。また
調達先についてもグローバルで4割減の約1万社を目指すという方針も同時期に発表
されたようです。
2012年10月からは本社機能の改革を推進しスリム化を進めています。調達・環境
・品質保証・情報システムなどの事務部門他からは希望退職を募ることで人員の削減
を図り、本社機能は意思決定のスピードを上げるための「小さな本社」が指向されま
した。調達部門はこの時期に関連事業に移行されたとされています。つまり従来
進められた集中化から分散化に方向が変わったとも言えます。
しかしこのような分散の方向に対し今回の記事は、部分的とは言え、再度集中購買化
を進めるというまた回帰するような正反対の内容に読み取れます。

ここに上げている情報は殆どが新聞やその他の雑誌、インターネット等の情報なので、
必ずしも正しい情報なのかどうか不明です。また発表はしたものの実際には実行して
いません、ということもあるでしょう。要するに実態がどうなのか詳細は不明です。

しかしここ数年の間に起きているこれらの記事で取り上げられていることが、全て矛盾
しているかというと、そうではありません。何故ならどんな企業も全ての調達購買に
関して集中購買を行っている訳ではありませんし、全ての買いモノを分散購買という
企業も考えにくいからです。
2007年に弊社が購買部門長向けに実施したアンケート調査によりますと、回答企業の
48%の企業の購買組織は「全社の集中購買部門と事業部・事業所別の購買部門が
並立している」いわゆるハイブリッド型でした。同調査によりますと大企業の約70%は
やはりハイブリッド型組織であると回答しています。ですから部分的に集中化し、
部分的に分散化している、という企業はごくごく一般的な状況であることが理解できる
でしょう。

このように集中購買なのか、分散購買なのか、というように全てに白黒をはっきりつける
ことは難しいことも多いです。しかし何かの改革を進める時に明確な方向性を示すため
シンプルな手法やキーワードもしくは、KPI(Key Performance Indicator)を持ったり
設定したりすることは、とても有効なことです。

例えば「集中化」「競争化」「標準化」。これはある企業の中計でのKPIですがシンプル
で分かりやすい。例えば改革を推進する上ではこのようなシンプルなKPIを持つこと
で改革の方向性を共有することが可能となります。しかし、これらのキーワードやKPI
が独り歩きすることは避けなければなりません。これらのキーワードやKPIはあくまでも
手段です。目的はこれらを徹底することではなく、「集中化」「競争化」「標準化」を徹底
することで最適な調達を実現することだからです。よく見られるのはあくまでも手段で
あるべきこれらのキーワードやKPIが目的化してしまうことです。

「競争化」などでよく起こり得る事例を上げてみましょう。多くの企業では「競争化」の
徹底という方針の元、購買部門だけでなく全ての社内部門に対して相見積りの入手等
をルール化させていることが一般的です。しかしそもそも比較できないものを、無理やり
比較し、最終的にはユーザー部門などの社内部門が自分達が使いやすいサプライヤ
を採用するのだが、そのサプライヤに対して他社の安価情報を指値して値段を引き
下げていくなどの状況が起こりえます。
サプライヤにしてみれば全く理不尽な状況です。そもそも同じ仕様や前提条件ではない
モノを横並びさせ無理やり価格だけ合わせようとする訳ですから当たり前のことです。
その上「競争化」のルールは守っているから問題ありませんよね、となります。

これは、そもそも比較できないものを比較しようとするから問題となるのです。比較でき
ない状況は調達購買の場面では必ずでてきます。もし比較できないのであれば、
コスト分析等で価格妥当性を評価できれば最適価格は担保されます。目的は競争させ
ることではなく「公平公正なプロセスで最適サプライヤーを最適価格で選定すること。」
なのです。

繰り返しになりますが、それでも「競争化」「相見積の義務付け」等のシンプルなキーワ
ードやKPIは有効。重要なのは改革のステップやフェーズ毎に応じた購買改革手法
やキーワード、KPIを検討、設定していくことなのです。これらのキーワード、KPIを上手く
活用することで改革のスピードを上げ、改革の方向性を調整していくことが可能となる
のです。
今回のパナソニックの新聞記事を読んで改めて感じたことを述べてみました。


当メルマガでご意見、ご質問、ご要望などございましたら
info-ag@agile-associates.comまでご連絡ください。
遅くなるかもしれませんが、必ず私(野町)からご連絡させていただきます。
よろしくお願い申し上げます。

(野町 直弘)

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■ アジルレポートVol.22「間接材購買は何故上手くいかないのか」の発表
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株式会社アジルアソシエイツは、『間接材購買は何故上手くいかないのか』と
題する調査報告書を2015年3月2日に発表いたしました。
このレポートは、2014年10月にメールマガジン
「間接材購買は何故上手くいかないのか」で3回に渡り書いたものを元に加筆修正を
加えたものになります。

各企業の間接材購買の部門責任者の方やご担当者の方々にも是非お読みいただき、
自社の間接材購買の進め方のご参考にしていただければ幸いです。

※レポートは、アジルアソシエイツのホームページより
 無料にてダウンロードいただけます。
http://www.agile-associates.com/2015/03/vol22.html

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■ 2015年上半期の「調達・購買人材向けトレーニングセミナー」日程をリリース
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2015年4月〜2015年9月の「調達・購買トレーニング・セミナー」の開催日程を決定
リリースいたしました。
お早目のお申し込みをお待ちしております。

【基礎セミナー】
  『調達・購買業務基礎』 参加費:33,000円(税別)
    2015年 5月21日(木)
    2015年 9月17日(木)

  お申込・詳細はこちら
  http://www.agile-associates.com/train/train.html
  「アジルアソシエイツの名物セミナーです。
   購買担当者としての心構えから技法・手法の基礎を学べます!」
   
  『経費削減・間接材購買入門』 参加費:33,000円(税別)
    2015年 4月23日(木)
    2014年 7月16日(木)

  お申込・詳細はこちら
  http://www.agile-associates.com/train/train.html
  「経費購買、間接材購買の草分け的存在が教えるコスト削減のコツが
   評判です!」 

【現場学セミナー】
  『調達・購買・資材・契約部門の「中堅社員(バイヤー)のための育成研修』
    参加費:47,000円(税別)
    2015年 5月14日(木)
 
  『コスト削減手法と戦略ソーシング』
    参加費:47,000円(税別)
    2015年 6月18日(木)

  調達・購買人材向け『交渉力』
    参加費:47,000円(税別)
    2015年 8月28日(金)
    
  『経費削減・間接材・サービス商材購買業務改革』
    参加費:47,000円(税別)
    2015年 9月10日(木)

  お申込・詳細はこちら
  http://www.agile-associates.com/train/train.html

  ぜひともご参加ご検討ください。

  どのようなセミナーが自社や自社のバイヤーに向いているか、不明な方は
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