2014.12.10号
「自動化の合理性」

アジルアソシエイツでは、メールマガジン「目指せ!購買改革!!」を発行中(隔週/無料)です。ぜひお申込下さい。
メールマガジンの新規購読申込のページへ

このメールは、アジル アソシエイツのお客様、
アジルアソシエイツが講演するセミナーにお越し頂いた方々、
その他の機会に名刺交換をさせて頂いた方々にお送りしています。

──────────────────────────────────
        「目指せ!購買改革!!」     
      〜調達購買改革最前線〜
─────────────────────────── 2014. 12.10 ─-

┏┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
◆┃ INDEX
┗┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
☆今週のメッセージ「自動化の合理性」
☆「調達・購買人材向けトレーニングセミナー」のお知らせ

□■………………………………………………………………………………………
■ 今週のメッセージ「自動化の合理性」
□■………………………………………………………………………………………

先日興味深い記事を読みました。http://diamond.jp/articles/print/19218
「改札を機械化する日本、改札をなくす韓国−情報化の本質とは何か」という記事です。

韓国の新幹線にあたるKTX(韓国高速鉄道)には改札がないとのこと。改札がなくても
車掌は手元のハンディターミナルを見ればどの席が空席かわかり、もし予約やチケット
なしで乗車したとしても電車の中でチェックできるから、というのがその理由です。また
もし不正乗車があったとしても駅と駅の区間が長いので取り締まることはできるし、
その為に高額な改札装置を設置するよりもコスト的にもメリットがある、ということです。

確かに日本でもスカイライナーや新幹線などの一部の電車予約で、予約方法などの
制約はあるものの車内改札をしていない電車もあります。しかしそもそも改札をなくして
しまうという発想は日本ではなかなか出てこないでしょう。

昭和の世代から考えてみると日本の社会や生活の現場では人を減らすことが、その
大きな変化の一つということに気が付かせられます。以前は駅の改札には必ず多くの
駅員さんがいました。ファミリーレストランは、今も人は居ますが昔に比べるとお店の
面積当たりの店員さんの人数はかなり少なくなっているでしょう。ゴルフをやるにしても
以前はキャディさんが必ず付きましたが今ではゴルフカートが自動走行し、またGPS
ナビがカートにつけてあるのでキャディさんが居ないゴルフ場も増えています。
企業に訪問して気が付くのは受付の人がおらず端末が置いてあるだけという企業が
増えていることです。工場や倉庫などでも自動化・機械化は間違いなく進展しています。

このように日本では経済発展とともに人件費が高騰し「自動化、機械化することが
合理的である」という真理が大きな疑問なく受け入れられてきたと言えるでしょう。
これはIT(情報技術)についても同様です。ERPを導入するには莫大な投資がかかる
にも関わらず業務の標準化、自動化、を進めることで人件費を削減できれば莫大な
投資を賄うことができる、というのが疑いのない真理でした。

そのような真理に対して冒頭に取り上げたKTXの事例はとても興味深いものです。
自動改札を導入することで単に改札に必要な人員を削減するだけでなく、情報技術を
活用することでその改札すら不要にするという発想は「自動化、機械化することが
合理的である」という真理からは出てこないからです。ここでは改札を設置しない
リスクやロス、手間と(自動)改札を設置することの費用を比べ合理性のある選択を
していると言えます。

KTXの事例を読んで思い出した過去の経験が二つあります。
一つ目は日産自動車の座間工場を見学した時のことです。その当時ある自動車
メーカーの企画部門に勤務していたのですが、たまたま工場見学する機会があり
ました。その当時の日産座間工場はとても最先端の工場として有名であり、1986年
にはチャールズ皇太子とダイアナ妃が工場見学にご訪問する程でした。この工場の
素晴らしいところは徹底的な自動化がなされている点です。特に車体組立て(溶接)
ラインは殆どラインに人がいず、徹底的に自動化されていたように記憶しています。
当時私が日頃見ていた自社および自社関連の自動車工場とは全く違うことに驚き
が隠せなかったことを鮮明に思い出すことができます。
ご存知のように座間工場はその後1995年に閉鎖され今は座間事業所として型・
治工具・設備・電子機器の生産設計開発及び製造、電気自動車のリチウムイオン
バッテリーの開発・生産を行っています。工場閉鎖の理由は様々であり、一概には
言い切れませんが、必ずしも自動化=合理性ではなかったことが類推されます。
特に自動車はその当時どのメーカーも車種を増やし結果的に少品種多量生産から
多品種少量生産化しており、そういう点からも自動化よりも生産柔軟性が求められ
たとも思われます。

もう一つの経験は私が自動車会社の購買にいた時の話です。当時最量産車種向け
のある部品は2社発注となっていました。これは1社だけでは生産能力が不足して
いたこともありますが、2社競合させることで競争状況を作るということを目的として
いたのです。この2社は本当に対照的な2社でした。同じ部品なのに全く作り方が
異なります。1社は工場に殆ど作業員がいません。殆どの作業が自動化されている
からです。その工程は実に見事で見ていてもその自動化の工夫にはとても驚かさ
れます。もう1社は10人以上の若い女性が寄ってたかって作業を。しかし驚くべき
は、完全自動化している工場よりも多くの人手作業を採用しているメーカーの方が
低コストだったということです。正に自動化が必ずしも合理的でないという実例。

このようなケースは今後も起こり得ることです。特に事業活動、生産、調達活動が
よりグローバル化している時代ですから、自動化するよりも海外も含む低賃金の
労働力を活用した方がメリットがある、ということは当然起こり得ることだからです。
最近は情報技術を活用しても導入のための投資がかかり過ぎるのでオフショア
アウトソーシングを活用する方が合理性があるという場面もでてきています。
いずれにしてもどのような自動化を行うのか、行わないのかは人件費のレベルや
高騰の状況、為替の動向、技術革新などの様々な要因でその時々に最善な意思
決定を行うことが求められています。
このような意思決定時には冒頭で述べたような改札自体を廃止してしまう、という
ような事業や製造などのやり方自体を変えるような発想が重要です。単に自動化・
機械化・情報化を進めるのではなくやり方自体を変えその上で合理性のある自動化
・機械化・情報化を進めていくことが今後益々求められていくでしょう。


当メルマガでご意見、ご質問、ご要望などございましたら
info-ag@agile-associates.comまでご連絡ください。
遅くなるかもしれませんが、必ず私(野町)からご連絡させていただきます。
よろしくお願い申し上げます。

(野町 直弘)

□■………………………………………………………………………………………
■ 「調達・購買人材向けトレーニングセミナー」のお知らせ
□ 
■□………………………………………………………………………………………

2014年10月以降の「調達・購買トレーニング・セミナー」の開催日程が決定いたしました。

【基礎セミナー】
  『調達・購買業務基礎』 参加費:33,000円(税別)
    2014年12月11日(木)
    2015年 3月12日(木)
  「アジルアソシエイツの名物セミナーです。
   購買担当者としての心構えから技法・手法の基礎を学べます!」
   
  『経費削減・間接材購買入門』 参加費:33,000円(税別)
    2015年 1月15日(木)
  「経費購買、間接材購買の草分け的存在が教えるコスト削減のコツが
   評判です!」 

  お申込・詳細はこちら
  http://www.agile-associates.com/train/train.html

【現場学セミナー】 
   『中堅社員(バイヤー)のための育成研修』
    参加費:47,000円(税別)
    2014年 11月13日(木):終了しました

   『コスト削減手法と戦略ソーシング』
    参加費:47,000円(税別)
    2015年 2月20日(金)

  『経費削減・間接材・サービス商材購買業務改革』
    参加費:47,000円(税別)
    2015年 3月 5日(木)

  お申込・詳細はこちら
  http://www.agile-associates.com/train/train.html

  ぜひともご参加ご検討ください。

  どのようなセミナーが自社や自社のバイヤーに向いているか、不明な方は
 お問合せください。
  お問合せ先はこちらinfo-ag@agile-associates.com

企業の個別研修もお引き受けします。
ご依頼、ご質問等々は、次のメールアドレスまで!
info-ag@agile-associates.com

□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□
■ご感想・リクエストなどはこちらまで
 mailto:info-ag@agile-associates.com

■購読・バックナンバーはこちら
 →http://www.agile-associates.com/magazine_index.html

■購読解除はこちら
 →https://s.blayn.jp/bm/p/aa/fw.php?i=agile&c=1&n=5258

株式会社アジルアソシエイツ
 URL:http://www.agile-associates.com/