2014.10.1号
「間接材購買は何故上手くいかないのか。- その1」

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このメールは、アジル アソシエイツのお客様、
アジルアソシエイツが講演するセミナーにお越し頂いた方々、
その他の機会に名刺交換をさせて頂いた方々にお送りしています。

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        「目指せ!購買改革!!」     
      〜調達購買改革最前線〜
─────────────────────────── 2014. 10. 1 ───

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☆調達購買資材部門ベンチマーキングアンケート調査ご協力のお願い
☆今週のメッセージ「間接材購買は何故上手くいかないのか。− その1」
☆「調達・購買人材向けトレーニングセミナー」のお知らせ

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■ 調達購買資材部門ベンチマーキングアンケート調査ご協力のお願い
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前回のメルマガでもお願いさせていただきましたが、ベンチマーキングアンケート調査
ご協力につきまして引き続きご協力の程お願い申し上げます。

アジルアソシエイツはこれまでも様々な先進事例レポートやアンケート調査報告など
を行ってきました。
アジルレポートページ:http://www.agile-associates.com/report_index.html

当社は本年度調査テーマとして企業の「ベンチマーキング調査」を実施いたします。
https://questant.jp/q/AGILE2014BP
本アンケートは株式会社アジルアソシエイツが日本企業の調達購買部門の実態調査
のために実施するものです。
本調査の結果についてはサマリー版のみ公表を予定していますが、調査回答ご協力
企業様には詳細レポートを送付させていただきます。

またご回答いただいきました個人名や会社名を公表することはありません。
是非ともご協力お願い申し上げます。

アンケート調査ご協力はこちらから。
https://questant.jp/q/AGILE2014BP

10月末日までにご回答ください!

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■ 今週のメッセージ「間接材購買は何故上手くいかないのか。- その1」
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今回から3週に渡って「間接材購買」について書きます。

「間接材」購買とは、製品に直課されない支出であり企業によっては「経費購買」とか
「非生産材」とか「インダイレクト」購買とか表現されることもある支出です。
「間接材」購買は2000年頃から日本企業でも着目され、従来であれば分散購買だった
ものを集中購買し、専門の調達購買部門を設置することでコスト削減を図る活動が
進められてきました。

今回何故このテーマを取り上げたかといいますと、私も間接材購買に関して自身も
外資系企業のバイヤーとして携わってきましたし、その後コンサルタントとしても多くの
プロジェクトを支援してきましたが、この十数年の総括として、「実は昔も今もやって
いることは全く変わっていないのでは。」という印象を感じざるを得なかったからです。

一言で言うと進歩していないのです。
どのように進歩していないのでしょうか、また進歩していない理由は何なんでしょうか。
この話に入る前にまず、ここでは間接材購買についてもう一度ふりかえってみます。
2003年9月に発表されている米国調達関連のシンクタンクであるCaps Researchの資料
「Critical Issues Report」内でIndirect Spendというテーマの中でこのような記述があり
ます。

「Indirect Spendとは、企業活動を続ける限り発生し続ける間接材の調達コスト。企業
支出全体に占める間接材支出の割合は、製造業で36%、サービス業で60%にも及ぶ
という調査結果も出ています。しかも、コスト削減が着実に進展している直接材に対し、
間接材の調達コストについては、多くの企業が有効な解決策を見出せないまま、
というのが現状です。この間接調達コストの見直しこそ、総コスト削減の大きなカギと
なっています。」
このレポートにもあるように支出全体に占める間接材購買の比率は低くありません。
また品目も多岐に渡ります。大きく分けると物品とサービスに分けられます。物品は
事務用品からパソコン、サーバーなどのITハードウエア、工具や様々な消耗品、
理化学用品、試薬から燃料、設備に至るまで様々です。サービスは物品以上に多様
な品目があります。建設工事や運送、ファシリティ関連費用、不動産賃貸、印刷費用、
通信費、広告宣伝費、システム開発、コンサルティング費用、調査費用などの
業務委託費用、人材派遣費用、通信費、リース費用などです。

間接材購買の特徴は大きく2つ上げられます。1点目は支出の把握がし難いことです。
間接材は管理会計上では固定費に含まれますが、まれに生産高や売上高などに
応じて発生する変動費用的な支出もあります。また財務諸表上は製造原価、販売
管理費、償却費の3つの部分に含まれており、全体像の把握が難しいという特徴が
あります。
また直接材と異なり、品番という概念がありません。ですから必要量の管理もできま
せんし単価とか原単位という概念もありません。つまり精度の高い管理がし難いの
です。
2点目の特徴は関連する人(会社)の多さです。先ほども触れたように間接材は非常に
多岐に渡るため、支出金額や買いモノをする回数も品目毎に大きく異なります。
また多岐に渡る品目のため、多くのサプライヤとの取引が発生しています。また社内
で実際に支出を行う人間も多岐に渡るのが一般的です。品目によっては例えば
事務用品など社員全員が支出をする場合もあります。所謂社員全員がユーザーに
なり得るのです。

このような2つの特性を持つために、間接材購買は今まで企業が管理してきた直接材
購買とは異なったアプローチが必要になります。

やっと本題に入りますが、10年前と比べて間接材購買は進歩がない、と述べましたが
いったい、何が進歩していないのでしょう。
まず上げられるのは間接材購買の活動内容です。

先のCaps Research社のレポートでも取り上げられていますが、間接材購買の活動は、
まずはコスト削減活動を中心に進められます。コスト削減機会があるのですから、当然
と言えば当然です。その場合最初に実施するのが支出分析です。どのような品目の
支出が大きいのか、当然のことながら支出金額が大きくコスト削減の期待値が高い品目
から取組みます。また品目によってコスト削減がし易い品目とそうでない品目がある
でしょう。例えば、マーケットの状況で、そもそも競争相手がいない、とか集中契約が結べ
ないような品目はコスト削減が難しいことは誰もが理解できます。
このように期待効果と難易度のマトリクスでコスト削減を進めていくのが、ごくごく一般的
なコスト削減のアプローチになります。しかし、このようなアプローチでコスト削減を推進
すると多くの企業で優先順位が高い品目は自然と共通化してきます。
また、各社で共通してでてくる課題は社内の調整です。多くの企業で間接材購買チーム
はマネジメントの思いつきで2-3名のチームとして初期の立上げを行う場合が多く、
このようなチームが社内的に強い立場である訳がありません。
ですからコスト削減の機会として抽出されてもコスト削減の実行が必ずしも進められる
訳ではないのです。自然と各社ともやり易い共通した品目のコスト削減活動から推進し
ましょう、というのが通常の初期の取組みになります。
初期の取組みは長い企業でだいたい3年程度取組みます。しかし多くの企業では1-2年
でチーム自体が無くなったり、チームのメンバー全員が入れ替わったりします。3年程度
取り組み続けているチームの中にはコスト削減の品目範囲を広げることに成功したり、
恒久的な組織作りができる企業もありますが、多くの企業では取組みは続けている
ものの、なかなか成果が長続きしないという状況に陥ります。
一方で、多く見られるのは、チームがなくなったり、チーム全員が入れ替わった企業
です。
こういう企業では、再度景況悪化などの事業環境が悪化した際に同じ活動を始めます。
今までの支出分析や品目コスト削減のノウハウなどが全く活かされずに、新しいチーム
でまたコスト削減の目標を設定して、やり易い品目からコスト削減活動を再スタートする
のです。

企業によってはその度に外部のコンサルティング会社に多くの費用を払っています。
この費用こそ真先に削減すべき支出と言えるでしょう。

何故こんなことになってしまっているのでしょうか。
様々な問題があるとは思いますが、ここではまずは、人材の問題を取上げます。
間接材購買は多岐な品目があり、支出の把握がし難い費用であると述べました。
そうすると当然のことながら品目の専門家、調達・購買の専門家などがどの企業でも
不足しています。一方で品目毎にコスト削減のコツやノウハウはありますので、人材
の数および質が慢性的に不足している状況はどこの企業でも共通することです。
それに対して多くの企業ではマネジメントの一言で2-3名の人員をかき集めプロジェクト
をスタートします。このチームのメンバーとして集められた人材は自分達の与えられた
環境下で精一杯やっているのですから、この人たちを責めるつもりはありませんが、
彼らの仕事の環境を見ると、モチベーションがあがる訳がありません。今まで一線の
営業部隊や企画職の人間をいきなり連れてきてチームを作っても、まるで閑職に追い
やられたような状況になるのは当り前のことです。
チームメンバーは長くて2-3年でだいたいは異動します。そしてチーム全体が短くて2-3
年位で全員入れ替わります。要するに常に新しいチームになっているのと同じような
状況です。
また専門家が不足しているので、外部人材を活用する企業もよく見られます。弊社も
過去にそのようなプロジェクトを支援していたことがあるので大きな声では言えませんが、
最近は「コスト削減請負います」的な企業が正に雨後の筍のように多く存在しています。
こういう企業を使うことが悪いとは言いませんが、どうなんでしょう、短期的にはいい
ですが、中長期的には問題ありませんでしょうか。社外を活用しコスト削減のノウハウを
社内の人材に移転していく、ことが目的であればいいでしょう。
このような「コスト削減請負会社」は成果報酬制(コスト削減成果に対する報酬)の企業
が多いので、中長期的にどうしても報酬を得るためには無理なコスト削減活動が出始
めるのです。考えてみたら当たり前のことでしょう。そうして外部を活用した結果、3年後、
5年後には何も残っていませんでした。マネジメントから今年はきついから間接材コスト
削減しなさい、とまた何年に一度かの恒例行事のように指示されて、新しいチームが
できる。またノウハウもないので、また外部を使いましょう。。この繰り返しをしている
企業があまりにも多くないでしょうか。

私自身外資系企業で間接材購買を担当していましたが、この領域には私の周りにも
数人のプロフェッショナルがいます。しかし、彼らの殆どは4-5年に一回転職しています。
彼らはある特定の品目のコスト削減やもっと幅広い間接材購買に関するプロフェッショナル
です。しかし私が感じる限りこのようなプロフェッショナルの人数が増えているか、というと
そうでもありません。ここで何を述べたいかというと、こういうプロフェッショナルを上手く
活用するとともにプロフェッショナルを育てられる企業が極めて少ないということです。
腰を据えて間接材購買改革を進めている企業があまりにも少なすぎるのが実態ではない
でしょうか。多くの企業でこのような間接材購買プロフェッショナルを短期的なコスト削減
プロジェクトを担う一品目バイヤーとしか見ていない、このようなプロフェッショナルの無駄
使いが行われているのが実態と言えるでしょう。

今回は間接材購買改革の状況について進歩がなく、その状況を顕しているものが繰り返し
特定品目のコスト削減活動を数年に一回やっているだけであり、その理由の一つが人の
問題であることを述べてきました。
次回はサプライヤー側の状況、そして調達購買システムの限界について述べていきます。


当メルマガでご意見、ご質問、ご要望などございましたら
info-ag@agile-associates.comまでご連絡ください。
遅くなるかもしれませんが、必ず私(野町)からご連絡させていただきます。
よろしくお願い申し上げます。

(野町 直弘)

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■ 「調達・購買人材向けトレーニングセミナー」のお知らせ
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2014年10月以降の「調達・購買トレーニング・セミナー」の開催日程が決定いたしました。

【基礎セミナー】
  『調達・購買業務基礎』 参加費:33,000円(税別)
    2014年12月11日(木)
    2015年 3月12日(木)
  「アジルアソシエイツの名物セミナーです。
   購買担当者としての心構えから技法・手法の基礎を学べます!」
   
  『経費削減・間接材購買入門』 参加費:33,000円(税別)
    2015年 1月15日(木)
  「経費購買、間接材購買の草分け的存在が教えるコスト削減のコツが
   評判です!」 

  お申込・詳細はこちら
  http://www.agile-associates.com/train/train.html

【現場学セミナー】 
   『中堅社員(バイヤー)のための育成研修』
    参加費:47,000円(税別)
    2014年 11月13日(木)

   『コスト削減手法と戦略ソーシング』
    参加費:47,000円(税別)
    2015年 2月20日(金)

  『経費削減・間接材・サービス商材購買業務改革』
    参加費:47,000円(税別)
    2015年 3月 5日(木)

  お申込・詳細はこちら
  http://www.agile-associates.com/train/train.html

【リーダー養成セミナー】
   『調達・購買・資材部門長向け「調達・購買業務改革リーダー研修」』
    参加費:60,000円(税別)
    2014年12月 5日(金)

  お申込・詳細はこちら
  http://www.agile-associates.com/train/train.html

  ぜひともご参加ご検討ください。

  どのようなセミナーが自社や自社のバイヤーに向いているか、不明な方は
 お問合せください。
  お問合せ先はこちらinfo-ag@agile-associates.com

企業の個別研修もお引き受けします。
ご依頼、ご質問等々は、次のメールアドレスまで!
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