2014.2.19号
「企業の社会的責任を考慮した調達のあり方」

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        「目指せ!購買改革!!」     
      〜調達購買改革最前線〜
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☆今週のメッセージ「企業の社会的責任を考慮した調達のあり方」
☆「調達・購買人材向けトレーニングセミナー」のお知らせ
☆コラム「設計魂と購買魂」−垣根を破るエンジニアの物語ー再掲

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■ 今週のメッセージ「企業の社会的責任を考慮した調達のあり方」
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企業の調達部門の役割・機能は所謂QCD(品質、コスト、納期)の最適な調達先から
最適な調達を行うこと、と言われています。
最近はこれに追加しCSR(企業の社会的責任)調達の推進が非常に重要視されて
います。これはサプライヤのCSRの遵守状況を確認し、CSRに配慮を行っている
取引先から調達を行うというものです。

CSRの観点から言うとISO26000が2010年に制定されていますが、ここでは大きく
以下の7点を配慮するように上げられています。
1.CSRの取組
2.人権・労働条件
3.安全衛生
4.環境
5.公正取引・倫理
6.品質・安全性
7.情報セキュリティ
とくに中国等のLCC(ローコストカントリー)からの調達に関しては2.人権・労働条件
に関して児童労働や過酷な労働環境などの問題が上げられています。一方で
卑近な例としては「公正取引・倫理」に含まれる『反社会的な勢力との取引の禁止』
です。この件については昨年のみずほホールディングスの事案以降、日本企業
でも一層配慮を進める動きがでてきています。
また「環境」面では欧州の環境規制だけでなく『紛争鉱物』に関しても対応が必須に
なっており、対応に苦労しているというのが実態でしょう。

このように調達部門の業務範囲は近年益々広くなり、その一端がこうしたCSR調達
の推進によるものであることが理解できます。
しかし、企業の社会的責任という観点で調達・購買を捉えた時に先に上げた7つの
事項では大切な何かが欠けているような気がします。私は企業の社会的責任と
いう観点から調達を捉えた場合に、今後より重視すべきことは最適価格の追及で
あると考えます。

例えば今年の4月より消費税が5%から8%にアップします。昨年の10月1日より
「消費税転嫁対策特別措置法」が施行されましたが、ここでは消費税の転嫁拒否
等の行為の是正を求めています。アベノミクスでは2%のインフレターゲットが設けら
れました。また円安による輸入品や素材のの価格上昇、建設工事需要に対する
人手不足などから、多分2020年の東京オリンピック開催まで半ばバブルが続くよう
に購入品価格は上昇する方向でしょう。

ミクロの視点で考えるとこういう局面で如何にコストアップを抑制し競合他社に伍して
いくかが企業の競争力につながります。しかし、歪みが生じているにも関わらず
適正価格を追及するのではなく価格のみに焦点を絞った行き過ぎた安価購買の
追及をすることは、取引先の経営だけでなく社会に与える影響も少なくありません。
これは大手企業になればなるほど言えることでしょう。

昨年の4月に佐川急便がアマゾンの取引から撤退したというのは、あまりに有名な
ニュースです。アマゾンの取引条件があまりにも厳しすぎる(要求が高く対価が低い)
ことが理由と言われています。アマゾンとの取引を佐川急便が辞退したことで
アマゾンの宅配業務はほとんどヤマトが一手に支えることになったようです。
こういう状況下今たいへんなことが起こりつつあります。主にBtoCの通販事業者を
相手にヤマト運輸が値上げの交渉に入っているようなのです。
『低単価の顧客をリストアップして値上げ交渉を始めており、「値上げの通らない
顧客に対しては最終的に取引中止もある」』とヤマト運輸の社長のコメントが報道
されているほどです。直接の理由としては昨年起こった「クール宅急便」の不祥事問題
への対策にコストがかかりそれをカバーするため、ということですが、裏側には昨年の
アマゾンの問題でヤマト、佐川の競争環境からヤマトの1社勝ちの状況になりつつある
ことによる競争環境の欠如などが理由の一つであることは間違いないでしょう。

このような状況下で一番困っているのは通販事業者です。また今までは各ECともに
送料無料や時間指定配送、当日配送などの配送関連のサービスに力を入れて
きましたが、近いうちに運賃の高騰分が消費者に転嫁されることも予想されます。
このような状況は安定調達や競争環境の整備とそれによる企業努力の促進を阻害
する要因にもつながります。

これらの元はある特定企業の無理な契約条件が引き起こしたことなのです。
「資本主義の世界だから自由な競争であって当然。」というご意見もあるでしょう
が、前回のメルマガでも述べましたが「安価であることには何らかの道理がある」
のです。
もしそれが供給企業の力を超える無理な安価であれば、いつかは是正する方向に
向かいます。つまりいつかはどこかに歪みが生じ、その歪みを解消する力が働くの
です。今回のヤマト運輸の値上げ交渉はその歪みからでてきた一つの現象と
言えるでしょう。
このように考えると行き過ぎた安価購買の追及が単にその取引先だけでなく、
広く様々な企業に影響を与えつつあることが分かります。企業の社会的責任という
観点からも調達活動でとても重要な視点がここにあるのではないでしょうか。

勘違いしないで欲しいのは安く買うことが悪いことだ、と言っている訳ではないという
ことです。私が言いたいのは「無理のある安価を力で推しつけること」は企業の社会的
責任という観点からも望ましいことではない。何故ならこれにより歪みは必ず生じる
し、その歪みを解消する力が最終的には自社の首を絞めることにもつながる、という
ことなのです。

「何でもかんでも安ければいい」からそろそろ卒業しませんか。


当メルマガでご意見、ご質問、ご要望などございましたら
info-ag@agile-associates.comまでご連絡ください。
遅くなるかもしれませんが、必ず私(野町)からご連絡させていただきます。
よろしくお願い申し上げます。

(野町 直弘)

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■ 「調達・購買人材向けトレーニングセミナー」のお知らせ
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2014年4月〜2014年9月の「調達・購買トレーニング・セミナー」の開催日程が
決定いたしました。

【基礎セミナー】
  『調達・購買業務基礎』 参加費:33,000円(税別)
    2014年 3月14日(金)
    2014年 6月12日(木)
    2014年 9月19日(金)

  お申込・詳細はこちら
  http://www.agile-associates.com/train/train.html
  「アジルアソシエイツの名物セミナーです。
   購買担当者としての心構えから技法・手法の基礎を学べます!」
   
  『経費削減・間接材購買入門』 参加費:33,000円(税別)
    2014年 3月20日(木)
    2014年 7月17日(木)

  お申込・詳細はこちら
  http://www.agile-associates.com/train/train.html
  「経費購買、間接材購買の草分け的存在が教えるコスト削減のコツが
   評判です!」 

【現場学セミナー】
  『調達・購買・資材・契約部門の「中堅社員(バイヤー)のための育成研修』
    参加費:47,000円(税別)
    2014年 4月24日(木)
 
  『コスト削減手法と戦略ソーシング』
    参加費:47,000円(税別)
    2014年 5月15日(木)

 ”New”『サプライヤマネジメント』実践
    参加費:47,000円(税別)
    2014年 6月19日(木)

  調達・購買人材向け『交渉力』
    参加費:47,000円(税別)
    2014年 8月29日(金)
    
  『経費削減・間接材・サービス商材購買業務改革』
    参加費:47,000円(税別)
    2014年 9月11日(木)

  お申込・詳細はこちら
  http://www.agile-associates.com/train/train.html

  ぜひともご参加ご検討ください。

  どのようなセミナーが自社や自社のバイヤーに向いているか、不明な方は
 お問合せください。
  お問合せ先はこちらinfo-ag@agile-associates.com

企業の個別研修もお引き受けします。
ご依頼、ご質問等々は、次のメールアドレスまで!
info-ag@agile-associates.com

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■ コラム「設計魂と購買魂」−垣根を破るエンジニアの物語ー
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日経BP社のTech-onサイトに掲載されているコラムですが
改めて皆さんにここでご紹介させていただきます。
2009年に私が執筆しました開発部門と購買部門を巡る話ですが、
今再読しても古さを感じさせません。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20081212/162766/

どうぞ楽しんでください。
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第7シリーズ「エンジニアとバイヤーの境界を超えて」

第19回田中さん壮行会

 数日後鈴木のメールボックスにBCC同報メールが配信されてきた。タイトルは
「霜月電機購買部 田中孝さん壮行会」と書いてあった。

 鈴木はメールを開封した。そのメールには「在職中皆さんが大変お世話になった
田中さんが出向することになった。10月20日エクセレントホテル『飛魚の間』で19時
から『送る会』を開催する。会費は5000円,参加するかどうか連絡してくれ」という
内容だった。メールを読んでいる鈴木に,同期の川端が話しかけてきた。

「鈴木,お前のところにも田中さんの送別会のメール来た?」

「うん,来ているよ。俺は随分お世話になったから行くつもりだけど,川端はどう
する?」

「そうだな。鈴木が行くんだったら一緒に行くか」。川端が続ける。「鈴木,これ読んで
俺びっくりしたんだけど。エクセレントホテルの飛魚の間って,芸能人とかがよく
結婚式とかやるところじゃないの?」

「まさかっ,いくら田中さんだって。そんなに人が集まるわけないじゃない。もし同じ
会場でも,一部だけ区切って使うんじゃないか?」

「もう一つひっかかるんだけど」。さらに川端が続ける。「この幹事の大沢浩二って,
あの有名は大沢浩二じゃないか? アドレスが確か同じ会社だよ」。

「えっ,大沢浩二ってインクルーシブグループの代表のこと言ってる?」鈴木が
尋ねた。

「そうだよ。M&Aで製造業の立て直しをやるので有名なインクルーシブグループ,
そう言えばインクルーシブってうちとも取引あったよな」。

「まさか,いくら田中さんでも…」鈴木はそう答えながら,先日田中と話していた時
に田中の携帯にかかってきた人材紹介会社からの電話のことを思い出していた。

――――――――――――――――――――――――――――

 田中の送別会の日となった。鈴木は同期の川端と一緒にエクセレントホテルに
到着して目を疑った。やはりあの有名な「飛魚の間」であった。そしてその会場の
全部ではないにしても,半分は使っていた。受付を済ませて鈴木と川端が会場に
入ると,既に100名近い人々がそこにいた。

 霜月電機の購買部の若手がいる。それから女性アシスタントのほとんどがいる
ようなのだが,私服を着ているためか,いつもとは違った雰囲気だ。設計部の
若手も多く参加している。工場,生産管理,研究開発のメンバーもそろっている。
さらに,霜月電機のOBも多く参加しているようだ。それだけではない,黒須化成や
他のサプライヤーの社長,営業担当役員,営業部長,営業担当がみなそろって
いる様子だ。技術部門長,工場長が来ている会社もある。それどころか,海外から
の賓客も大勢いる。例の中国サプライヤーからも,社長が上海からわざわざ来て
いるようだ。テレビや雑誌で見たことがある顔の人も数人いる。

幹事の大沢浩二は,やはりあの大沢浩二だった。

 田中はと言えば,…いつもと変わらないよれよれのスーツ姿で皆にあいさつを
している。

「これはどういう会なんだろう」。鈴木がつぶやいた。

「鈴木,田中さんてすごく顔が広くないか? あれ本当にインクルーシブグループ
の大沢浩二だぜ。それから四つ星系の四つ星重工の中田社長もいるぞ」。
川端も驚きを隠そうともせず,鈴木に話しかける。

「そうだね。いやはやびっくりしたものだ。たかが一人のバイヤーの送別会なのに,
こんなにすごいメンバーが集まるなんて。俺はこんなすごい人と一緒に働いて
いたのか」。

 しばらくして,大沢の司会で会が始まった。鈴木と川端は,ほかの設計部の若手
と一緒に,普段顔を見たことがある程度の購買部の女性アシスタント数人と話を
していた。会もたけなわになったころ「すみませんが,ここで田中さんからごあいさつ
をいただきたいと思います」。司会の大沢が会場の人々にアナウンスし,歓談して
いた人達は話を止め,大沢に注目した。
「えー,その前に私からひとこと言わせてください…」それまでの大沢の口調が急
に変わり,ややもの静かなトーンになった。

(次回へ続く)

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20081212/162768/

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