2012.4.3号
「企業戦略と調達・購買戦略(その3)−富士通の調達戦略変革−」

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        「目指せ!購買改革!!」     
      〜調達購買マネジメント最前線〜
─────────────────────────── 2012.04.03 ─

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 ☆今週のメッセージVol.1「企業戦略と調達・購買戦略(その3)」
                −富士通の調達戦略変革−
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■ 今週のメッセージVol.1「企業戦略と調達・購買戦略(その3)」
□               −富士通の調達戦略変革−
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企業戦略と調達・購買戦略は同期して語られることはあまり多くありません。
多くの企業で経営者から見ると調達・購買部門は
便利なコスト削減請負人程度の位置づけなのかもしれません。
しかし、調達・購買の機能そのものや戦略は
企業戦略や経営者の期待、時代背景等によって、
もっとダイナミックに変化する(させる)べきものです。
一部の企業では調達・購買戦略がより重要な機能戦略として
位置づけられてきています。
今回は富士通の事例を取り上げたいと思います。

ちょうど25年前位でしょうか?私が自動車メーカーの購買にいたころ
NHKのドキュメンタリで富士通の購買を取り上げた番組が放送されました。
正直タイトルは覚えていませんが、その当時で購買部門やバイヤーを
主役にした番組が放送されたこと自体非常に珍しく、
自分の購買という仕事もこういうふうに取り上げられる機会があるんだ、と
感じたことや主役の購買課長の格好よさが印象的であったことを
今でも思い出します。
番組の内容は富士通のパソコンビジネスの購買課長を主人公としたもので、
その当時ホストコンピューターから汎用機やパソコンビジネスに
コア事業を移管していた同社の購買戦略の変革を取り上げたものでした。
その後その方が現在の富士通セミコンダクター株式会社の
岡田社長であることを今から数年前に改めて知り合いから聞いた時には、
やはり偉くなられたのだな、と思わず納得してしまったことを思い出します。

その番組でも取り上げられていましたが、ホストコンピューターと
パソコンのビジネスは全く事業モデルが異なります。
最大の違いは受注(設計)生産方式からの脱却です。
受注(設計)生産の事業の場合、調達・購買部門の主要な仕事は
「いかに要求されたモノを納期通り確保するか?」という供給機能や
「品質の確保」という品質機能が重要な点となります。
一方でパソコンや汎用機は多量生産方式になります。
多量生産方式の場合は「より計画的な購買」が重要視されます。
また汎用化が進めば進むほど事業環境としては競争相手が出現しやすく
なりますし、日本だけでなくグローバルでの競争になりやすくなります。
そうすると供給力や品質はあたり前、いかに低コストで調達できるか、
という点がより重要視されます。
また全社で集中購買を行うことでボリュームメリットを生かしていくことが
可能になります。それだけではありません、計画的な購買になるということは
長期継続的なサプライヤとの取引が発生することにつながるため、
サプライヤマネジメントもより一層重要になってきます。
また開発段階で低コストな製品を作りこむという視点から
開発購買の推進も重要なテーマとなります。

このようにビジネス戦略から要請に基づき集中購買、
グローバルでのサプライヤからの調達、サプライヤマネジメントの実現、
開発購買の推進などの調達・購買戦略自体の見直しが必要となってきたのです。

富士通では、このような調達・購買改革を企業・事業戦略からの
要請に伴い実現してきたのです。

代表的な改革例としてあげられるのは「集中購買の推進」です。
富士通は自動車メーカーと同じ位集中購買が徹底されています。
当初はキーパーツやモノが中心だったものが間接材やソフトウエア調達まで
集中購買化が進んでいるようです。
またもう一つの有名な事例として上げられるのは「エンジニアリング購買」
という開発購買の取組みです。従来であれば調達・購買部門は事務系の
職種でしたが、そこに開発出身の設計・開発がわかる人員を集め、
世界中から優れた技術を持つサプライヤ開拓や設計に対する根幹をつくような
提案活動を推進する、また原価企画機能を充実させるという取組みがこの
「エンジニアリング購買」という組織です。
今でこそ多くの企業で開発購買チームのような専門部隊を結成する企業が
増えていますが、そのきっかけとなったのが富士通のこの取組みとも
言えるでしょう。

現在の富士通は汎用機・パソコン事業からソリューション事業へ
コア事業が変化していますが、やはりその変革により調達物も
例えばソリューションに必要な業務委託などのサービス購買に移行します。
そうすると調達・購買の仕組みも変えなければなりません。
このように調達・購買戦略はビジネスの要請によりダイナミックに
変化させるべきなのです。

ここで述べてきた事業構造の変化は富士通だけの話ではありません。
今までは「受注設計生産、完全カスタマイズの事業が汎用化している」
といった事業構造の変化は多くの企業で起こりえるのです。その事業構造の
変化に上手く対応すべく調達・購買改革を成し遂げコスト競争力を強化する
ことにつなげるのは易しいことではありません。

私は企業戦略の要請により調達・購買の取組みを
ダイナミックに変えていくことの重要性を、より多くの
企業経営者や調達・購買部門長が改めて認識すべきだと考えます。

(野町 直弘)

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