2011.3.19号
「企業戦略と調達・購買戦略(その2)/プロであれ、謙虚であれ」

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        「目指せ!購買改革!!」     
      〜調達購買マネジメント最前線〜
─────────────────────────── 2012.03.19 ─

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 ☆今週のメッセージVol.1「企業戦略と調達・購買戦略(その2)」
                −コマツの農耕民族型部品調達−
 ☆今週のメッセージVol.2「プロであれ、謙虚であれ」
 ☆「調達・購買人材向トレーニングセミナー」のお知らせ
 
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■ 今週のメッセージVol.1「企業戦略と調達・購買戦略(その2)」
□               −コマツの農耕民族型部品調達−
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企業戦略と調達・購買戦略は同期して語られることはあまり多くありません。
多くの企業で経営者から見ると調達・購買部門は便利なコスト削減請負人程度
の位置づけなのかもしれません。しかし、調達・購買の機能そのものや戦略は
企業戦略や経営者の期待、時代背景等によって、もっとダイナミックに
変化する(させる)べきものです。
一部の企業では調達・購買戦略がより重要な機能戦略として位置づけられて
きています。今回は日本企業のコマツを事例として取り上げます。

最近アジルアソシエイツのコンサルティングで比較的多くの企業から依頼を
うけるのがサプライヤマネジメントをテーマとしたものです。
リーマンショック以降多くの企業がコスト削減の更なる実施に力を入れて
いましたが、やはり従来型のコスト削減手法には限界が来ていることが
その一因と言えるでしょう。
コスト削減手法は「安くする」「安いものを買う」「安いところから買う」
+「無駄な買いものをしない」の4つの手法に分けられます。
いつのころからでしょうか?この4つの手法の中で「安いところから買う」
という手法が爆発的に普及しました。A社、B社2社から見積りを入手し比較し
安いところから買う、切替えはしないが新規のサプライヤから
”あて馬見積”を入手し、既存サプライヤに指値をしてコストを下げる、
こういうやり方が一般化してきました。入札やリバースオークションなどの
競下げ入札などもその一種と言えるでしょう。何故でしょうか?
考えてみたらあたり前です。「誰でもできるから」です。
(当然のことながら、これらの「安いところから買う」手法についても
頭を使わないとできない手法はあり、より戦略的な取組みが「戦略ソーシング」
という手法であると理解していただいて結構です。)
素人が頭を使うことなく、一番最初にできること、これが相見積りなり
入札なりの「安いところから買う」ということなのです。

一方で過度な競い合いはサプライヤにとってもバイヤーにとっても長続き
しないことに多くの企業は気づき始めました。
コストは下がっていないのに価格を下げれば収益は悪化します。単に比較する
ことで安価を求める手法はある意味消耗戦であり、限界があるのです。
そこに来て近年日本企業はますます事業活動の基盤(開発・設計・生産・販売)
を海外に移転し始めています。今までのようなサプライベースを全て持続
しながら、継続的な競争力強化ができるはずがありません。
そのため多くの企業がサプライヤマネジメントの改革を行うことでより競争力を
強化していきたい、というのが実態なのでしょう。

コマツは協力会組織である「コマツみどり会」を軸にサプライヤ(協力会社)
との協力関係を競争力強化につなげています。
「みどり会参加企業との協力関係を築き、優先発注、資金繰り支援、もっと
言えば『文化まで共有』していくことでコマツグループ全体としての競争力
強化を果たす。」というのが趣旨です。これは単に調達・購買部門だけの
取組みではなく会社としての方針です。
『従来型のケイレツとは大きく異なる。「理由のない値下げ要請はしない」
「注文キャンセルは禁止」。目指すは「農耕民族型」の部品調達。』という
ことなのです。
コマツの坂根会長が著書「ダントツ経営」の中でみどり会について多くの
ページを割いて記述をしていることからも、このような調達・購買戦略が
企業戦略と結びついていることがよくわかります。
著書の中で坂根会長は「年2回の取締役会でみどり会企業の収益動向を議論
する場を持っている」とおっしゃっています。
驚くべきことです。
他に関連会社でもない協力会社の収益動向について調達・購買部門だけでなく
全社、それも取締役会で議論をしている企業があるでしょうか?協力会社の
収益動向を経営層が議論するということは、実は自社の収益を議論することと
他ならないからだ、という理解がそこにはあるのでしょう。
コマツにとってみると協力会社は単なる協力会社の位置づけ以上の存在なのです。
単に「安いところから買えばいいや」という発想ではこのような企業戦略は
生まれてきません。当然のことながら過度の依存体制、協力体制には
デメリットもあります。知らぬ間に緊張感がなくなり、競争力がない
「馴れ合い」状態になってしまったら取り返しのつかない”ゆでガエル状態”
になります。
このような課題を上手く解決しながら常に「競争力ある」サプライベースを
いかに継続発展させていけるか、正に同社の経営戦略そのものであり経営戦略に
要請された調達・購買戦略なのです。

すみません。ちょっと長くなりました。
富士通の事例については次回取り上げさせていただきます。

(野町 直弘)

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■ ☆今週のメッセージVol.2「プロであれ、謙虚であれ」

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「3年くらいコンサルやって、一流のコンサルタントになった気分になる人が
多すぎる。確かにプロジェクトを成功させた経験はあるのかもしれないけど。
そういう人はそこで成長が止まっちゃって大成しないよね。」

先日、とある著名なコンサルの方とお会いした際におっしゃっていた
ワンフレーズです。
みなさん、この言葉を聞いてどのように感じますか?
冒頭のコンサルという言葉を「購買・バイヤー」という言葉に置き換えて
考えてみてください。私にとっては非常に考えさせられる言葉であり、
ここ1週間くらい気が付けば頭の中で反芻しています。

数々の仕事を経験すると自信を持つことは当然です。また、成功した経験は
満足感を得ることにもつながり、プラスになることは確かです。
一方確かに人間は成功体験があると、それにとらわれることも少なくありません。
そして、その成功体験にとらわれすぎると、冒険もできなくなりまってきます。
先入観を持ちすぎることにもつながるのではないでしょうか。
ある意味進化できないまま滅びた恐竜と同じでしょう。

これらを打破するために持つべきマインドセットについても冒頭のコンサルの
方はおっしゃっていました。
「プロフェッショナルであること」
「謙虚であること」
の2点です。

まず、プロフェッショナルであること、コンサルタントという職種にかかわらず、
私たちはある意味、会社からプロフェッショナルとして給与を支払われています。
長い時間会社にいるから給与を支払われているわけではありません。
あくまで、会社と雇用契約を結ぶプロフェッショナルだと考えるべきです。
そしてプロフェッショナルとして会社に貢献できる成果を上げるため、
日々、知識・スキルなどを磨き続けなければいけないはずです。

しかしながら、上記のような考え方は少数派です。あくまで、与えられた
業務を淡々とやるだけで、お金がもらえると考えているのではないでしょうか。
その考えでは、LCB(Low Cost Buyer)の話も含め、グローバル化の流れの中で
近いうちに仕事がなくなる方向性に世の中が流れています。

そして、謙虚であり続けること。これはとても難しいものです。自分自身、
慢心してしまうことも多々あります。
(この言葉をいただくまで慢心しているところもありました。)
しかしながら定期的に心がけ、自分自身が劣っているところを見つめ直すことが
謙虚さにつながります。謙虚にいろいろなことを吸収するという思いを
持ちながら、常日頃から様々なことに接していくことが大切なのです。


「知識の時代においては一人ひとりがエグゼクティブである」
「成果をあげることがエグゼクティブの仕事である」
これらの言葉はP・F・ドラッカーが『経営者の条件』という著書の中で述べた
一節です。エグゼクティブとして成長し、成果を上げ続けるために必要な姿勢が
上記の「プロ」と「謙虚」につながるのです。
冒頭のコンサルタントのコメントも含め、これらの言葉の数々は自分自身を
見つめなおす上で大変貴重な、示唆に富む言葉達です。
ぜひ皆様も胸に留めながら日々の業務に取り組んではいかがでしょうか。
今後のビジネスマンとして人生に大きな影響を与えること間違いありません。

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本メルマガに寄稿し続けるかもしれません。その機会がございましたら
是非ともお読みください。

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(奥田 高太)

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皆様のお申込をお待ちしております。

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