2011.12.5号
「事件は会議室で起こっているんじゃない。商談室で起こっているんだ」

このメールは、アジル アソシエイツのお客様、
アジルアソシエイツが講演するセミナーにお越し頂いた方々、
その他の機会に名刺交換をさせて頂いた方々にお送りしています。

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アジルアソシエイツの坂口孝則が送る 
〜調達購買マネジメントの深層と真相と心操〜
─────────────────────────── 2011.12.05 ─

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 ☆今週のコラム
   『事件は会議室で起こっているんじゃない。商談室で起こっているんだ』
 ☆12月〜3月開催「調達・購買人材向トレーニングセミナー」のお知らせ

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■ ☆今週のコラム
□  『事件は会議室で起こっているんじゃない。商談室で起こっているんだ』

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「コスト、コストってうるせえんだよっ!」。
調達・購買部員の一人として、設計者たちと会議していたときのこと。
ある人から、決まってこう言われたことを思い出します。
ビジネスマンとして成功したければ、まずは声を大きく出すことではないでしょうか。
いきなり皮肉を言ってしまったかもしれません。
ただ、当時は本気でそう思っていました。

昔のことです。
私が、新規案件の相見積りをとりました。
そして、これまで温めていた新規サプライヤーが、かなり「安い」見積りを
出してくれたのです。
「これは、いける」と私は思いました。そして、設計者たちとの打ち合わせに
臨みました。その案件のサプライヤーをどこにするかという打ち合わせです。

既存のサプライヤーも良いかもしれない。
でも、ここで一社独占の状況を打ち破るには「もう一手」を繰り出す必要が
あります。すなわち、新規サプライヤーの参入。
それは、既存のサプライヤーにとっても、刺激となるものです。
しかも、既存サプライヤーより、その新規のサプライヤーは3割も安価でした。

もちろん、設計の担当者には根回しをしておきました。
しかし、そんなにうまくはいきません。「あの人」がいるからです。

「あの人」とは、設計部門の中にいて、コスト関係を取りまとめている人でした。
しかも、口うるさい人。
自分の思い通りにいかなければ、周囲の意見を修正させてまで、自分の意見を通す人。

私が、新規サプライヤーの参入の提案をしました。
すると、予想通り、「あの人」が口を開くのです。
「安いのは、分かったよ。でも、品質はどうなってんだよ」
私は回答しました。「それも、品質部門と確認済です」と。
すると、これまた予想通り、「あの人」は、さらにつっこみます。

「でも、そこの開発がうまくいかなかったら、誰が責任を取るんだよ」
 私は答えます。「それは、設計部門でしょう。設計の責任は、そちらに
 あるのですから。ただ、繰り返しですが、3割も価格が安い」。
そこから、侃々諤々の議論が始まりました。
「あの人」はいつも、こう言って議論を打ち切りました。
「コスト、コストってうるせえんだよ! 金だけじゃねえだろう!」
私は、ため息をつき、既存サプライヤーに発注を決定する会議をただ見ているしか
できませんでした。

日本経済が凋落してからというもの、コスト意識が求められる時代がやってきた、
と人々は言います。
原価を抑えねば、利益を創出できない、と人々は言います。
そして、各社は少しでも原価を抑えるために、各社は努力を重ねている、と
人々は言います。
でも、それは本当でしょうか?
いまでも、現場を見れば、「口うるさい人」たちが、品質や開発という聖域を盾に、
保守的になっているのが現実ではないでしょうか。
安いサプライヤーがうようよいることくらい、バイヤーならば、
誰だって知っています。

「安いサプライヤーを探している」とバイヤーは言います。
でも、それはウソです。バイヤーならば、安くする方法や安いサプライヤなんて、
いくらでも知っています。問題は、それじゃないと思うのです。

本当の問題は、「安いサプライヤーを使えないこと」です。
誰か、否定できるでしょうか。
私はそのとき、熱意を持って、前述の「口うるさい人」を説き伏せて、
安価なサプライヤーに発注を決定した−−、と言えたらどんなにカッコいいでしょう。
でも、現実には、それはできませんでした。

早い話が、私は、その「口うるさい人」に負けたのです。
これは敗北宣言をするしかありません。
私が言いたいことは、その「口うるさい人」のグチでしょうか。
それとも、「安いサプライヤーなんて、バイヤーはすでに知っている」という
ことでしょうか。

どちらでもありません。
「口うるさい人」は、周囲の意見を聞くことができず、常に独裁主義に
陥ってしまう、という点で不幸な人種です。
おそらくロクな死に方をしないでしょう。

ただ、それ以上に言いたいことは、強い権力を振り回す人の前で、
黙って沈黙するしかない弱者こそ、もっと虚しく、哀れだ、ということです。
いつからでしょうか。世界の中で「弱者」というのは、保護される対象となりました。
正義とは、もはや、弱者と同義です。
ときとして、「弱者」として生きていれば、「強者」を批判することが
許されるようになります。
でも、それは違う、と私は思います。

若いバイヤーから先日、「自分たちの前では、偉そうだった課長が、
部長の前では急にペコペコしだすんです」と聞かされました。
若いバイヤーの前では、偉そうに説教を述べる課長が、
その説教と矛盾することを部長から指摘されて、
「なるほど、なるほど」と頭をたれている情けない姿を見たと言います。

覚えておいたほうが良い、と思うのです。
哀れむべきは、「裸の王様」ではありません。
「裸の王様」に、黙って従うしかなかった、多くの群集です。
彼ら(群集)は、同情の対象ではなく、哀れと憎しみの対象とすら私は思います
(そして、かつての自分も)。

「口うるさい人」は、常に自分の意見を通し、夢を実現させています。
その口うるささに黙って従うだけの人たちは、周囲に飾られた土偶でしかありません。

土偶になるか、ドリーマーになるか。
私たちはどちらを選ぶでしょうか。

☆★☆ セミナーご紹介 ☆★☆

『調達・購買業務の効率化と原価低減を可能とするシステム化、定石と勘所』

私(坂口)が敬愛する日本ユニシスの柴田さんが急遽、弊社でセミナーを実施
いただくことが決定しました。柴田さんといえば、5X5マトリクス思考術を
有名にした方であり、ベテランSEとして深く調達・購買業務に携わって
こられました。

『調達・購買業務の効率化と原価低減を可能とするシステム化、定石と勘所』
セミナー(12月8日開催)は、厚かましくいえば、ご本人の集大成とも
いえるべきものです。

これまで、システム系の会社が実施するセミナーの常套句は、
「今日、学んだことを具現化するために、弊社のシステム導入を検討ください」
というものでした。しかし、今回のセミナーは商売っ気なしのストレートかつ
骨太のものです。

また、タイトルから「調達・購買のシステム担当者向けか?」と思われた方。
そうではありません。「システム」とは「仕組み」であり、調達・購買業務を
スムーズにするための「仕掛け」でもあります。実践知を必要とするすべての
人にお勧めします。

【受講対象者】
・調達・購買のシステムにご興味のある方
・上記以外の方

詳しくはこちらまで
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1.購買業務の全容
   1.調達・購買業務とは
   2.基本的な業務の流れ
   3.調達・購買部門の役割
   4.購買業務に関する課題群
   5.課題解決に必要な視点と施策

2.システム化の定石
   1.調達・購買業務のシステム化の歴史
   2.現在のサプライヤ・リレーションシップ・
     マネジメントシステム
   3.サプライヤ・リレーションシップ・マネジメント鳥瞰図
   4.サプライヤ・リレーションシップ・マネジメント鳥瞰図の見方
     と利用法
   5.サプライヤ・リレーションシップ・マネジメントシステムの
     基本構成

3.重要項目の適用法解説
   1.調達・購買業務プロセスの効率化
   2.原価低減の手法
   3.サプライヤ管理
   4.サプライヤ評価と調達・購買戦略立案
   5.コンプライアンス・BCP
   6.システム化の実践と留意点
   7.IT環境の進化

4.システム化事例
   1.精密機器A社:プロセスの標準化をしてグループ各社に
     展開し業務効率化
   2.マスコミB社:業界固有ニーズを反映したシステムで
     コンプライアンス確立
   3.自動車C社:サプライヤ・ポータルを用い双方の利便性を
     飛躍的に向上
   4.建設D社:見積の電子データ入手とその科学的分析で
     原価低減実現

5.自己研修(システム化対象テンプレートを用いて自社の現状を把握後、
どこに着眼して効果を得るかを考える)

詳しくはこちらまで
http://www.agile-associates.com/training/training_detail_system.html


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■ ☆「調達・購買人材向けトレーニングセミナー」のお知らせ

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2011年12月〜2012年3月開催「調達・購買人材向けトレーニングセミナー」の
ご連絡をさせていただきます。

【基礎セミナー】
 製造業「調達・購買業務基礎」セミナー
  講師:野町直弘
  日程:2011年12月21日(水)
     2012年 3月 8日(木)
    お申込・詳細はこちら
    http://www.agile-associates.com/training.html

 非製造業「調達・購買業務基礎」セミナー
  講師:野町直弘
  日程:2012年2月15日(水)
    お申込・詳細はこちら
    http://www.agile-associates.com/training.html

【現場学セミナー】
 「調達・購買業務の効率化と原価低減を可能とするシステム化、
 定石と勘所」セミナー
  講師:柴田晴康
  日程:2011年12月8日(木)
    お申込・詳細はこちら
    http://www.agile-associates.com/training.html

 「サプライヤ工場の見方、改善指導のやり方」セミナー
  講師:坂口孝則
  日程:2012年2月16日(木) <大阪開催>
    お申込・詳細はこちら
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 「海外調達入門」セミナー
  講師:坂口孝則
  日程:2012年 3月 7日(水) <大阪開催>
    お申込・詳細はこちら
    http://www.agile-associates.com/training.html

 「コスト削減の基本と見積査定入門」セミナー
  講師:坂口孝則
  日程:2012年 3月14日(水)
    お申込・詳細はこちら
    http://www.agile-associates.com/training.html

皆様のお申込をお待ちしております。

企業の個別研修をお引き受けします。
ご依頼、ご質問等々は、次のメールアドレスまで!
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