2011.8.23号
「電話を切る勇気」

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アジルアソシエイツの坂口孝則が送る 
〜調達購買マネジメントの深層と真相と心操〜
─────────────────────────── 2011.08.23 ─

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 ☆今週のコラム 『電話を切る勇気』
 ☆9月開催「調達・購買人材向トレーニングセミナー」のお知らせ

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■ ☆今週のコラム 『電話を切る勇気』

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【電話を切る勇気、負けない勇気】

社外の説得よりも社内の説得のほうが骨が折れる。
これは、おそらくほとんどの調達・購買担当者の実感ではないか。

何かの製品の図面が出てくるとする。
すると、設計者は「ああ、この部品はすでに○○社と話をしているので、
あとは安くなるように交渉だけやって」と言ってくる。
価格を安くするための勝負は、サプライヤー決定後ではなく、
その事前に決まると、知ってか知らずかそんな依頼だけを受け続けている
調達・購買担当者はたくさんいる。

サプライヤーを自由に決めることができたらどんなにいいだろう、と思いながら、
自分の仕事を変えることもできず、また「資材・調達・購買」とは
その程度だと社内の雰囲気があるから、それに抗えず社内下請けのような
仕事を続けている調達・購買担当者がいかに多いことか。

ある日のことだった。

設計者から電話がかかってきたことがある。
「この仕様は、このサプライヤーしかできない」と言い、しかしながら
「コストは安くするのがお前の仕事だ(大意)」と言い放った。
そこで少し議論を繰り返したが、どうしようもないと思った私は、
「ふざけるな、この野郎!」といって電話を切った。

そのとき周囲の暖かな眼差しといったらなかった(笑)
それ以降、その設計者がどれだけ優しくなったことか(笑)

普段は優しい人間が突然怒り出すと、なかなか効果的である。
そして、それはなんとか自分の尊厳を保つことだろう。
最近、コミュニケーションという言葉が誤用され、単に効率的な伝達だけを
目的としているように思えてならない。

コミュニケーションの基本は、ある種の「勇気」である。


【言語化は、わたしたちの夢を実現させる】

コミュニケーションとは言いたいことも言えずに、
相手のことを思いやるだけのことではないだろう。
真摯にぶつかり、ギリギリの線に勇気をもって立ち向かうことが大切だ。

どうも、最近の20代の調達・購買担当者に欠けているのは、
この勇気のような気がしてならない。
自分の意見も言わない。ぶつかろうともしない。それで、
「設計者がすべてを決める」と文句ばかり言っている。
お前、なめられているだけだぞ、と言ってやりたくなる。
いや、言ってしまった。

相手を尊重しない調達・購買担当者は無視される。
しかし、相手の言いなりにしかなれない調達・購買担当者も
同じく利用され、使い捨てにされるだけだ。
誰が物言わぬ奴を優しく気にかける者などいるものか。

そして、一つ気づいたことがある。
私の周囲だけだろうか、優秀な調達・購買担当者というのは、
「よく話す」のである。
いや、もっと言ってしまえばどんな分野でも一流の人で静かな人はほとんどいない。
これは、「相手の話を聞く」態度と、なんら矛盾するものではない。
相手の話は良く聞く。しかし、自分の考えを述べさせると、とことん話すのである。

おそらく、話すことで自分の思想を固め、そして、その会話の中から
相手の情報を引き出そうとしているからだろう。
言葉は実態ではない。
しかし、その言葉にするというプロセスのなかで、漠然とした目標を具現化し、
達成するのである。
実現するから言葉になるのではない。
言葉にするから、それが意識にあがり、現実になるのである。

たとえば、「30%下がるアルミ電解コンデンサメーカを探す」とか、
そんなことを言っていた調達・購買担当者がいるとしよう。
すると、その調達・購買担当者はたまたま通りすがった展示会や、
たまたま見た雑誌の中で紹介されている
「現行より30%安いアルミ電解コンデンサ」
というフレーズを「偶然にも」発見せざるをえないのである。
普通であれば通り過ぎているところを言語化し意識化していたために、
発見せざるをえないのである。

そのようにして言葉を発する調達・購買担当者は、次々と目標を達成していき、
そうでない調達・購買担当者はこれまでと同じような退屈な終わりなき日常に
埋没していくのである。
これはオカルトではない。
言語化することにより脳が働きだすという、きわめて当然のことなのだ。


【偉人があなたを助けてくれる方法】

言語化すること。それは世の中での気づきを増やすということでもある。
なぜなら、まったく同じことを経験しているのに、ある人は気づき、
違うある人は気づかない、ということこそが奇跡にほかならないからだ。

納期調整の解決策を真剣に考えている人は、ふとテレビで見た
他社の生産システムをきっかけに何らかの回答を導き出すだろう。
海外製品の品質の悪さをなんとか改善したい人は、何かの雑誌で読んだ
他社の海外調達事例に大きな発見をし、そこから自社なりの方法論を導くだろう。

この世には、事実の差異はあまりない。差異の事実があるだけなのだ。
そして、その差異の事実とは個々人の気づきによるところが大きい。

やや神秘的になってしまうものの、問題にぶつかったときに、
それを解決する方法がある。それは、自分がもっとも尊敬する人を想像して
その人を自分の立場に置いてみることである。
誰かは山本五十六を想像するかもしれない(たとえば、である)。
納期調整や絶望的な問題にぶつかったあなたは、頭の中でそっと
山本五十六を自分の代わりにしてみよう。
そのとき、山本五十六は何というだろうか。どんなアクションをとるだろうか。
どのような姿勢と態度で、その絶望の果ての状況を解決しようとするだろうか。

この世の問題のほとんどは、第三者の視点で考えれば解決するという。
それであれば、すぐさま自分の難題というものも、偉人に任せておけばいい。
気づきと発見と、その発意を支える勇気さえあれば
ほとんどのことは大丈夫だ、と私は思う。


【具体的と抽象的】

社会のことについて、無責任な批判を繰り返す人はたくさんいる。
「こうすればいい」「ああすればいい」しかし、自分のことになれば、
その具体性がとたんに消え去り抽象的な悩みの前で非力になりがちだ。

常に自分を動かすのは具体的な事実である。そして、常に自分を止めるのは
抽象的な事実である。

最初に勇気をもってコミュニケーションすることを伝えた。
そして、その勇気を持つために言語化することを勧めた。
最後に、そのような過程で難題にぶつかったら、偉人の力を借りることを勧めた。

ここに貫通して必要とされているのは、何かを具体化する能力である。
こちらの要望は具体的に述べる。具体的に言語化する。解決策を具体的に想像する。
それらは、高い具体思考によって達成されるのである。

「ああ、なんか最近の仕事つまんねえな」と思っている
調達・購買担当者がいたら、一体「仕事の何がつまらなくて」、
一体「どういう風に変えたいと思っているか」を自分のなかで明確化することだ。
そして、その理想を具現化しておくことだ。もちろん、具現化しても、
すぐに変化が起きるかはわからない。しかし、確実なのは、
その具体論さえなければ変わりようがないということと、ほとんどの人は
その具体論を持ち合わせていないから、それを持っただけで他を抜いている。

その具体論を周囲に話し、常に行動し続けることこそが、
すべての調達・購買担当者の扉を開くのである。

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