2010.11.8号
「米GEの国内生産回帰/コスト削減の基本的な考え方」

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このメールは、アジル アソシエイツのお客様、
アジルアソシエイツが講演するセミナーにお越し頂いた方々、
その他の機会に名刺交換をさせて頂いた方々にお送りしています。

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        「目指せ!購買改革!!」     
      〜調達購買マネジメント最前線〜
─────────────────────────── 2010.11.8──

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 ☆今週のメッセージVol.1
    「製造業向け 調達業務改革セミナー開催のお知らせ」
 ☆今週のメッセージVol.2「米GEの国内生産回帰」
 ☆今週のメッセージVol.3「コスト削減の基本的な考え方」
 
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■ ☆今週のメッセージVol.1
■□  「製造業向け 調達業務改革セミナー」開催のお知らせ
■□       東洋ビジネスエンジニアリング株式会社主催
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東洋ビジネスエンジニアリング株式会社主催、富士ゼロックス株式会社共催
「調達業務の戦略化を図る!製造業向け 調達業務改革セミナー」において、
当社の代表取締役の野町が基調講演を行います。
皆様のご参加をお待ち申しあげております。

<セミナー概要>
【プログラム1】
『調達・購買改革の日米比較 −「買う技術」が企業を救う!−』
(株式会社アジルアソシエイツ 代表取締役社長 野町直弘)

【プログラム2】
富士ゼロックスの調達戦略とそれを支える業務プロセス改善
(富士ゼロックス株式会社 調達本部 
 中央調達部調達企画グループ長 薄井 孝司様)

【プログラム3】
戦略的調達業務を支えるITソリューションのご紹介〜B-EN-Gsrm・BeOSCAR〜
(東洋ビジネスエンジニアリング株式会社)

<開催要領>
日時 2010年11月17日(水)14:00〜17:30 (受付開始 13:30)
場所 富士ゼロックス Document CORE Tokyo
    (住所:東京都港区六本木3-1-1 六本木ティーキューブ 5F)
費用 無料(事前登録制)

申込、詳細はこちら
http://www.to-be.co.jp/event/101117/index.html

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■ ☆今週のメッセージVol.2「米GEの国内生産回帰」
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今春にはやや回復してきたと思われた景気ですが、その後も円高、
株価低迷、消費低迷が続いており景気回復する兆しがあまり見えてきません。
リーマンショック時にはとにかく支出を抑え、我慢するというのが
大半の企業行動だったように思いますが、今回の二番底でより深刻なのは
円高で、より一層開発・生産の海外移転が進んでいることです。

実際に大手企業だけでなく中堅、中小企業でも海外移転をというのが
大方の状況ではないでしょうか?
トヨタ自動車は先日、この状況に対して豊田社長が
「(トヨタは)海外にそう簡単に(生産を)持っていくことはしない」
と発言しています。
しかし、ウオールストリートジャーナルによると、トヨタ自動車は
5年前48%だった海外生産比率が今年、57%に達する見込みとのことです。
また、同社はタイでハイブリッド車「プリウス」の量産を
海外で初めてスタートさせます。
また、昨年同比率が66%だった日産自動車は、71%が海外生産となるそうです。
このように製造業の海外移転はより一層加速化している状況と言えます。

しかし先日、時代に逆行するような記事を見かけました。

「米GE、家電製品の国内生産に回帰」という10月19日付の
英フィナンシャル・タイムズ紙の記事です。
「米ゼネラル・エレクトリック(GE)は、2014年までに米国内で
冷蔵庫を設計・製造する拠点を4カ所、4億3200万ドルかけて設立する方針だ。」
「GE電化製品部門は、今後4年間で米国で10億ドル以上の投資を行う
と発表しており、これは約1300人の雇用創出効果がある。」とのことです。

これは生産工場の移転先であったメキシコや中国での労働コストが
上昇していることが第一の理由として上げられています。
また、地方自治体や州および連邦政府の税制優遇措置も
この動きに一役買っているようです。それに加え、米国内の労働賃金自体も
相当抑えられていることが前提になっているようです。

GEは米国内拠点はエネルギー効率が良い新製品開発および生産を行う拠点として、
開発スピードや製品付加価値で勝負する方向で棲み分けを図るようです。

日本の円高=米国のドル安など、状況は日米でかなり異なるものの
どちらの方向が正しい判断と言えるのでしょうか?
それは誰にも分かりません。しかし、一つ言えることは人件費格差や
経済格差を使った事業モデルは早晩その時間差は解消する、ということです。
つまり経済発展の過程でいつかは格差が解消する方向に向かうということです。

一方で、国内拠点の価格競争力が低いことは言うまでもありません。
方向としては揺れ戻しを続けながらも国内生産はある一定レベルは残る、
ということになるでしょう。その時には国内生産品と海外生産品は
明確な棲み分けができているのではないでしょうか?

私が今回改めて関心したのは、GEのスピードの早さです。

GEは私も日本国内で働いた経験がありますが、極めて動きが早い企業です。
中国へのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)についても
関連会社の当時のGECIS(現在はGENPACT)が
10年前に大連にオペレーションセンターを立上げ、
いち早く運用業務のアウトソーシング化、海外移転を行いました。
検討〜実行まで1年位です。
日本企業であれば、まずはアウトソーシングとは何か?
を調べるところから始まり、海外に出すべきか、出さないべきか、も含め、
数年かけて検討し、まずが試験的にここからやってみよう、と決まるまでに3年、
実行までに4-5年最低でもかかる、というのが通常です。
GEですと、「何故アウトソーシング?それも海外?」なんていう発言自体
全く聞かれません。

今回の件からも、何らかの環境変化を捉えてダイナミックに方針を決め、
かじ取りを行い、即実行する。このようなマネジメントの能力自体が
GEの強みであり、昨今のような環境変化が激しい世の中で最も重要な
資質ではないか、と改めて感じました。

これは日米企業のコンサルティング会社の使い方の差にも
つながっているかもしれません。
米国企業はコンサルティング会社に方針作成だけでなく、
早期実行を支援してもらいます。スピード感やそれを実現するための手法、
方法論やリスク回避の手法を持っているからです。
一方で日本企業の場合はどちらかというと方針作成のためだけに
コンサルティング会社を使うケースが多いです。
実行は「自分たちでできるから」というのがその理由です。
自分たちでできるものを加速化し、スピードを上げて早期実現する、
そのためにコンサルティング会社を活用するというのも、
重要な視点ではないでしょうか?

今後日本でも企業の強みとしてマネジメント能力は益々問われていきます。
そうすると正しい意思決定だけではなく、意思決定を実現する能力が
一層求められていきます。これは調達分野でも同じであり、
施策を実行する点でもコンサルティング会社の力が求められていくと思います。
そういう点から調達・購買業務経験者が多く存在する
我々のような企業の存在価値が高まっていくと期待しております。

(野町 直弘)

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■ ☆今週のメッセージVol.3「コスト削減の基本的な考え方」
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購買業務に従事されている方にとって、
重要、かつ日々のテーマと言える言葉の一つとして
コスト削減があるのではないでしょうか。
今回のメルマガではコスト削減の入門編として、
コスト削減の基本的な考え方についてご紹介をします。

取引先を対象としたコスト削減の考え方には以下の3つの考え方があります。
1.買うモノを変える(安いものを買う)
2.買う業者を変える・競争させる(安いところから買う)
3.交渉する(安くする)

さて、ここからそれぞれ説明してみましょう。

まず、1の「買うモノを変える」です。
1については、カスタム品⇒標準品、金属加工⇒樹脂成形など、
直接材で使われるイメージがあるかも知れません。
しかしながら、間接材でも適用できます。
例えば、印刷物。
紙質を適当なスペックに変える事や、
印刷物の色数を減らすという事が挙げられます。

この1については、担当者に専門的な知識が必要となるとお考えかも知れません。
確かに知識を持っているに越したことはありません。
が、そのアイデアを現場や取引先に出してもらうようにしてはいかがでしょうか。
是非試してみてください。

続いて2の「買う業者を変える・競争させる」です。
これは皆さんが最も身近に行っている事かもしれません。
ここでは、以下の事を考慮しながら進めることで、
よりコスト削減効果が期待できます。
  「新規候補となる取引先を探索し、招待する。」
  「都度取引となりがちなものに対して、年間のボリュームメリットで
   勝負させる。」
  「業務ごとに適切なサプライヤへ分離する。」

但し、新規サプライヤが見つからない場合や、年間のボリュームメリットが
どうしても拾えない場合もあるでしょう。
その場合には、相見積を取得する事をルール化し、徹底してみてください。
相見積のルール化だけでも、多少の効果が期待できます。

最後に3の「交渉する」です。
取引先にノウハウがある、変更にリスクがあり、
どうしても取引先が変えられない、関係会社取引など、
取引先が変えられない場合もビジネスの世界では多くあるものです。
その場合には、交渉が必要となります。
交渉材料としては以下のものが考えられます。
  購入品のコスト構成を調査する(コストドライバー)
  市場ベンチマークを調査する
  契約条件を変更する(契約期間を1年から2年へ、支払条件を短縮する)

これらに代表される交渉材料を揃えると共に、取引先との関係も
意識しながら交渉を進める事で、コスト削減につながる可能性が高くなります。

最後に最も効果がでるコスト削減手法をご紹介しましょう。
それは「買わない」事です。
正確にいえば「適切な量を買う」ようにするともいえます。
ビジネスの世界では、適量を買うのではなく、余裕を持って買う事や、
必要以上に買う事が少なくないように感じています。
もっと買う量が適切であるのかを意識しながら、日々の業務に臨むことで、
想像以上のコスト削減が期待できるかもしれません。
ただ、そのためには、「適量を買うことを評価する」ことが
マネジメントに求められます。

紹介した4つの考え方を使いながら現場はコスト削減を進め、
それらのコスト削減をマネジメントが評価する、
これらの実行⇒評価の仕組みを継続する事がより企業のコスト削減を
促進する事につながっていきます。

(奥田 高太)

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