第55回 資本主義はどのように生まれてきた?
最近本屋に立ち寄ったところ、ビジネス書のコーナーに
学生時代によく読んだ本を見つけました。
『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』という本で、
著者のマックス ウェーバーは社会学の分野では有名で、
知っている方も多いのではないでしょうか。
(マックス ヴェーバー (著), 大塚 久雄 (翻訳) )
キリスト教をはじめ、ユダヤ教、仏教、道教、ヒンドゥー教等の教義を研究した
宗教社会学が有名で、中でもこの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』
今でも社会学の分野では読まている本だと思います。
この本に書かれている内容は、
なぜ資本主義は「あの時代」の「ヨーロッパ」に生まれたのか?
という極めてシンプルな疑問に対する回答が書かれています。
このような古典の書籍が、現代のビジネス書コーナーに有ることに
驚きましたが、今まさに「資本主義とは」と考える時期なのかもしれません。
以下、内容を簡単にまとめてみます。
例えば何千年もの歴史を持つ古代文明が数多くあったこと、
金融を営んで財を貯えたユダヤ、独自の文明を発展させていた中国、
これらの文明において、何千年という間、資本主義は生まれませんでした。
しかし、西欧という一つの地域に、それもある一時期に
なぜ資本主義は生まれたのでしょうか。
そこで著者が注目したのはプロテスタントとカトリック教徒の生産性の違いでした。
例えばあるリンゴ畑があったとします。
そこにはプロテスタントとカトリック教徒の労働者が50対50の割合で働いています。
ある日、労働者に対し雇い主が「今期はとてもよくりんごが売れたので、
今日はごほうびだ。今日収穫したりんごの1つに対し普段の倍の賃金をだそう。」
と言ったとします。
すると、プロテスタントは次のように考えます。
「いつもの倍賃金がもらえるんだ。よし、いつもより頑張ってたくさん収穫するぞ!」
一方でカトリック教徒は次のように考えます。
「いつもの倍の賃金がもらえるんだ。じゃあいつもの半分だけ頑張ればいつもと
同じ賃金がもらえるぞ!」
この違いは明白です。
そして、この違いの中に、プロテスタントと資本主義の関係を著者は見出します。
プロテスタントに見られる倫理観は、資本主義の精神である、
「より事業を大きくするために禁欲し利益を資本に投入する」
という考えを生み出している。
そしてそのプロテスタントの倫理観を支えているものは、
「予定説」というあらかじめ運命は定められている、という考え方です。
予定説は簡単に言うとこんな感じです。
「救われる運命を持っている人は、あらかじめ決められている。
救われる運命にある人は必ずお金(資本)を増やすことができる。
そうすることによって、神の威光を高める人こそが救われるのである。」
神の威光を高めるため、一生懸命働き、
働いて得たお金を資本として投下することによってより事業を拡大し、
事業を拡大することでより大きな資本を得る・・・
そうした、神の威光を高めるために自己の欲求を抑え、資本投下することにより
より資本を得て神の威光を高めようとする。
この倫理観こそプロテスタンティズムの倫理であり、この倫理観こそが
資本主義の精神である、と著者は結論付けています。
資本主義が一見相反するような宗教から生まれてきたということを
解明した著者の着眼点や分析方法に、当時の私は感動たことを記憶しています。
現代の資本主義を考える上でも、色々と考えさせられる内容だと思います。
西岡
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