第53回 身近なモノの歴史

年末年始が近付いてきましたが、この言葉で
思い浮かぶものはみなさん何でしょうか。

私は、除夜の鐘、おせち料理、年賀状、初詣、親戚との宴会
などが思い浮かびます。

今回のコラムでは、年賀状について書きたいと思います。

年賀状の歴史は、7世紀後半以降だと考えられているそうです。
年賀状に必要な要素として、「暦」「文字」「紙などの媒体」「運送手段」
があり、これら等を基に類推されているようです。

しかし、この時代では、貴族の行事であり一般的なものではありません。

庶民にも広がりを見せたのは、江戸期です。

その理由として、教育の普及による識字率の上昇、飛脚といった
運送手段の向上が挙げられます。

ただし、年賀のお礼が梅雨時だったという事もあるそうです。

さて、近代的な仕組みに変わったのは明治以降で
はがきや、年賀郵便の制度が確立されていきます。

昭和10年頃には7億通を超していたそうです。

その後、戦争が始まり、昭和15には年賀郵便の取扱の当面中止や
自粛となっていきます。

年賀郵便の取り扱いが再開されたのは、昭和23年ですが、
やはり、戦争の影響もあり、戦前のピーク時の半数程度だったそうです。

今では当たり前となっている、お年玉付き年賀はがきが、
実は、民間人のアイデアで昭和24年からスタートしています。
これがきっかけとなり、取扱量は大きく上昇していきます。

しかし、平成5年には、約36億通でしたが、平成15年には約34億枚と
減少傾向にあります。

その要因として、電子メールでの送付や、年賀状を送るという習慣が
失われてきている事などが挙げられます。

今回は、年賀状について書かせて頂きましたが、
暦、教育、流通、時代背景など幾つもの要因の上で
身近なものが生まれ、発展し、成り立っているという事を再認識しました。

皆さんも、何か身近なものについて歴史などを
調べてみては如何でしょうか。

数十年後には、電子メールでの年賀状送付の歴史
を誰かが調べているかもしれませんね。

2009年12月
大石