2009.8.7号
「電子入札の活用/コスト削減の種/「リバースオークション事例紹介セミナー」開催のお知らせ

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        「目指せ!購買改革!!」     
      〜調達購買マネジメント最前線〜
──────────────────────── 2009.08.07 ───

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  ☆今週のメッセージVol.1「電子入札の活用」
  ☆今週のメッセージVol.2「コスト削減の種」
  ☆今週のメッセージVol.3
    「リバースオークション事例紹介セミナー」開催のお知らせ

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■ ☆今週のメッセージVol.1「電子入札の活用」
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最近、電子入札やオークションについての関心がまた高まってきているようです。
「オークションをやったらコスト削減できるのですか?」という問い合わせや
「電子入札でX%コスト削減実施!」というような記事が出ていたりします。

以前から私がメルマガや筆書等でも触れていますが、
今回は「電子入札の活用」についての誤解と真実について書きたいと思います。

まずは、「電子入札」とは何かということですが、
これはある一定期間の間に電子的な手段を使って入札をさせる
システムやツールを総称しているケースが多いようです。
「札入れ」のような一回限りの入札の場合もあるようですし、
オークションのように他社や最低入札価格、
自社の現状の入札価格を参照して競り合うシステムもあります。
いずれにしても価格と落札社を決定するためのツールであり、
そういう点からインターネットオークションと相違ないものです。
ただ購買・調達業務での電子入札とYahooやBiddersのような
CtoCのオークションの大きな違いが2点あります。

一つはCtoCオークションは
売り手が複数の買い手を競わせるものであるのに対して
購買・調達のオークションは買い手が複数の売り手を競わせるものであり、
多くのケースでは開始価格から競り下げていくものという点です。
つまり購買・調達業務のオークションの殆どは「競り下げ方式」なのです。

もう一点は参加者の限定です。
以前はマーケットプレイスのように
購買・調達業務におけるオークションや電子入札も公開型で
多くの売り手に機会を与えるケースが多かったです。
しかし、業務上の守秘の問題や
落札サプライヤが蓋を開けてみたらとても対応しきれずに、
入札そのものが無効になってしまうようなケースが頻出したため、
現在では一部の公的入札は例外として殆どの電子入札やオークションは
非公開型の招待するサプライヤを事前に買い手が選定、指定する方式が殆どです。

このようなニ点の違いはあるにせよ、
一般的なオークションと購買・調達業務における「電子入札」は
その役割・機能としては大きな違いはありませんし、
売買業務を行う上で「電子入札」「オークション」は既に普及しており、
企業によってはこのようなツールを上手く活用することで
交渉業務の効率化・標準化を実現しています。
このように既に「電子入札」「オークション」は既に一般的である、
ということを理解してください。

それでは「電子入札・オークションの誤解」とは何でしょうか?

最大の誤解は「オークションを活用すればコストが削減できる」というものです。
考えてみてください。技術、生産、数量、商業的な条件が同じであれば
最終的に決まる価格は「落ち着く」ところなのです。
それを通常の見積合わせではなく、電子的な方法でやりとりをするだけで、
より安く決まることはあり得ないのです。
しかし、これを別の視点で考えると
「オークション=コスト削減」という錯覚に陥ることがよくわかります。

通常見積合わせによる交渉業務は
買い手企業のバイヤーを介して1対n社という形で行われます。
経験者はよくご存知だとは思いますが、かなり手間がかかるものです。
一方で「電子入札」の場合はどうでしょうか?
当然のことながら「仕様調整」「見積条件の調整」等の前捌きの業務は残るものの
「見積のやりとり」「見直しのお願い」等の数回にわたる交渉的な業務は
必要なくなります。
これはオークションのケースですが、
オークションはサプライヤn社間のn対nの競争になるからです。
そうすると従来は手間の問題から
2社からしか見積を入手していなかったところに
より多くのサプライヤを参加させることが理論上は可能になってきます。
つまり競争環境が激化するのです。
つまり、電子であれ、そうでなかれ、競合企業数を増やし
この競争環境を強めることが「コスト削減」につながっているだけなのです。

もう一点「オークション=コスト削減」の錯覚につながるような
理由を説明したいと思います。

先ほど
“技術、生産、数量、商業的な条件が同じであれば
最終的に決まる価格は「落ち着く」ところなのです”ということを書きました。
この「落ち着く」ところ、というのが重要なポイントです。
多くのバイヤーは大体自身でこの部品、原材料、商品がいくら位なのか、
所謂「落とし所」を知っています。
これは過去の契約条件や複数社からの見積、コスト構造分析などで、
今回のこの案件がだいたいいくら位であればリーズナブルなのか、
事前に把握しているのです。ただ、この「落とし所」にも罠があります。
例えば今まで購入したことがないような「新技術の部品」であった場合、
界内の競争環境や事業環境、技術動向が大幅に動いており
過去の実績自体があまり意味を持たないような
「動きがある商品」だった場合には「落とし所」自体が
間違っている場合があるのです。バイヤーは忙しい人ばかりです。
多くのバイヤーは数回の交渉を行って自分が当初考えていた
「落とし所」近くの価格に決まりそうになった場合には
そこで契約条件を決めてしまっていました。
一方で「オークション」や「電子入札」は
正にその時点での市場価格を入手することができます。
サプライヤにとっては交渉相手はバイヤーではなく競合他社だからです。
つまりオークション実施後によくあるバイヤーの感想の
「思った以上に下がってびっくりした」ということにつながりがちなのです。

ここまで書いてみると
上記の2点とも「オークション」だから「電子」だからコスト削減できた、
ということでないことが良く理解できたと思います。

つまり「参加者を増やし競争環境をつくる」のも
「適正な落とし所を評価する」のも当たり前なバイヤーとしての責務なのです。
つまり「電子」だろうが、そうでなかろうが、
当たり前のことを当たり前にやっていれば
「コスト削減効果」はほぼ同等なのです。
いや、本当に交渉術を持ったバイヤーが制限なく時間をかけられるのであれば
「人」による交渉効果の方が高いかもしれません。

私はある外資系企業のバイヤーとして
ほぼ十年前に初めてこの電子入札を経験しました。
導入する前には
「このようなツールは日本の商慣習に合わない」とか言って
逃げていたのですが、米国からの圧力もあり、私が中心になり
「とりあえずやってみよう」的な感覚ではじめてみたのです。
結果的には、びっくりするほどコストが下がりました。
最初はコスト削減効果にびっくりしたのですが、
数回続けてみて「バイヤーの仕事が変わる」予感がしました。
オークションの場合、多ければ一回の案件で百回以上の入札があります。
それでも所要時間は数時間です。
今までは「優秀なバイヤー=交渉力がある人」というのが通説だったのですが、
どんなに交渉力がある人でも
ある案件で百回以上の交渉を行うことは不可能です。
逆に言うと「交渉すらする必要がない」のです。
つまり「オークション」や「電子入札」は
市場価格の早期取得のツールであり、交渉業務の自動化、標準化のためには
大きな効果があるということを実感したのでした。

つまり「電子入札・オークション」の真実や意味は
交渉業務の自動化、標準化であり、
コスト削減はあくまでも「競争環境整備」や「コスト削減機会の捕捉」の
結果であるということなのです。

この他にも多くの誤解と真実があります。
「オークションに向いている商材とそうでない商材はあるのでしょうか?」
という質問もよく受けますがそれも代表的なものです。
これらの内容も含めて、
今回改めて「オークション」に関するセミナーを開催します。
当メルマガでご案内させていただいておりますので
是非ともご参加検討ください。

(野町 直弘)

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■ ☆今週のメッセージVol.2「コスト削減の種」
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前回のメルマガで身の回りに
「コスト削減の跡」が広がっていることを書かせて頂きました。
今回は「コスト削減の種」について考えてみます。

どこに「コスト削減の種」が転がっているのでしょうか。
製造現場であったり、サプライヤであったり、
または購買担当者など「現場」ではないでしょうか。

それぞれの現場では「コスト削減の種」になりそうなものがあり、
気がついていながらも手を出せていないものがあるでしょう。
また、現場レベル(担当者同士)で動いていながら、
いつしか消えてしまい、
購買部門や事業部全体に共有されていないものも少なくないかもしれません。

そういったものは大切な「コスト削減の種」です。
が、担当者ベースでは
「埋もれてしかねないコスト削減の種」とも言えるかも知れません。
担当者ベースで動いていて埋もれてしまったものは、
「組織単位(購買部門と技術部門など)」で動くことで
日の目を見ることがあるでしょう。

サプライヤでも様々な「コスト削減の種」が眠っています。
代表的なものとしてVE提案で挙げられます。
見積依頼の中でも
「VE提案を受け付けます」と書いている企業様も少なくないと思います。

しかし、「VE提案を受け付けます」と書いておきながら、
「VE提案を設計に出せていない」、
「提案内容の結果をサプライヤに対してきちんとフィードバックしていない」
などの場面はありませんか。
それはサプライヤから「信頼」を失う行為です。
そのようなことがつながってしまうと、
結果としてVE提案の提出意欲が下がることになってしまいます。

それでは、「コスト削減の種」を埋もれさせない為には
どうすればよいのでしょうか。

私はその種達を「購買部門」として「拾い上げる器」を作って、
「きちんと管理していく」必要があると考えています。

1.コスト削減の種を各担当者、サプライヤが探し出す。
2.コスト削減の種を購買部門が拾い上げる。
3.購買部門が主導して「コスト削減の種」を観察(管理)する。
  (捨てるべきものは間引くことも大切です。)

当たり前のことですが、花は種をまいただけでは咲きません。
きちんと観察しながら、花を咲かせる必要があります。

「コスト削減の種」は購買担当・サプライヤに埋もれていないか、
今一度確認してみてください。
面白い種が見つかるかもしれません。

(奥田 高太)

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■ ☆「リバースオークション事例紹介セミナー」開催のお知らせ
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弊社主催の「リバースオークション事例紹介セミナー」を
9月4日に開催いたします。

調達・購買の交渉ツールとして、リバースオークションが注目されています。
リバークオークションとは、
買い手が購買対象品目の要求仕様・条件を公開し、
複数サプライヤが競争入札をする競り下げ式のオークションです。
今回ご紹介する対象品目は、パソコンなどの汎用品から
工事や委託業務などのサービス商材などとなります。
コスト削減や交渉の効率化をご検討の方や
リバースオークションに興味がある方は是非ともご参加下さい。


<開催要領>
 日 時:2009年 9月 4日(金)15:00-17:20(受付開始14:30)
 場 所:東京国際フォーラム G502
 定 員:30名
 参加料:無料
 主 催:株式会社アジルアソシエイツ

<セミナープログラム>
・事例紹介「パソコンでのリバースオークション実施事例」:小売業 様
・リバースオークションの適用事例
・リバースオークション支援サービスのご紹介

セミナー詳細およびお申込みはこちら
http://www.agile-associates.com/seminar090904/

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