2009.8.21号
「開発購買という活動/コスト削減の功罪」
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「目指せ!購買改革!!」
〜調達購買マネジメント最前線〜
──────────────────────── 2009.08.21 ───
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☆今週のメッセージVol.1「開発購買という活動」
☆今週のメッセージVol.2「コスト削減の功罪」
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■ ☆今週のメッセージVol.1「開発購買という活動」
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調達・購買業務を進めていくと必ずと言ってもいいほど突き当る壁は
「図面や仕様書が出された後にできるコスト削減活動には限界がある」
ということです。
作るものが固まっているほど、原材料、工法、工程、対応可能な
サプライヤの選択肢は狭まっていくと言えます。
図面の中には「AサプライヤのXXX同等品」というように
購入品を指定されてしまうケースも少なくありません。
このような状況を打破するために
自動車等の一部業界では(新製品)原価企画活動という
活動が行われてきました。
自動車業界でも原価企画活動は
元々経理や購買などの事務方が主導する活動でしたが
最近では設計部門が主導して
新製品の目標コスト達成のための役割を担ってきているようです。
いずれにしても開発上流段階で
「コスト、品質、デリバリ」の作り込みを行う活動については
製造業各社にとって生命線と言える活動とも言えるでしょう。
2000年位だと思いますが、このような開発上流段階での
「コスト、品質、デリバリ」の作り込みを行う活動を
「開発購買」というキーワードとして捉えるようになりました。
考えてみれば「開発購買」という言葉自体、何と言いますか、
訳のわからない言葉です。
「開発」の「購買」? 何故「購買」なのか?
「購買」という言葉が使われているのはおそらく
「購買部門が主導している活動」だからと言えるでしょう。
つまり購買部門が何らかのニーズから、こういう活動を進めなくてはいけない、
ということで使い始めたということだと思います。
このように「開発購買」という言葉について考えただけでも、
どうもよく分からないことが多い、と私は考えてしまいます。
何故かというと先の自動車業界の話ではありませんが、
開発上流段階で特に「コスト」を作り込んでいくことは、
そもそも設計、購買の主業務です。
ようするにやっている企業はやっているし、
やれるバイヤーは普通にやっている業務です。
これはバイヤーだけでなくエンジニアでも同じことです。
最近は低価格品というのは一つのコア技術になっています。
つまりエンジニアにとっても製品目標コストを達成することは主たる業務、
役割の一つになっている筈です。
このように考えると大袈裟に取り上げて
“「開発購買」を進めましょう”ということ自体
矛盾をはらんでいるとも言えます。
最近よく耳にするのは「開発購買」を推進する部隊や
新しいグループを作り開発購買を促進するという動きです。
各企業によって様々な事情があるので一概には言えませんが、
開発購買グループを作ったことで、
技術視点でサプライヤ選定ができるようになった、とか
VE活動が促進された、原価企画活動がスムーズに進むようになった、
という企業は多いようです。
「開発購買」と大袈裟に言っていますが、簡単に言えば、
開発と購買のコミュニケーションをよくし、
必要な情報を必要な時に必要な人に提供できていることが求められる訳ですから、
ある意味開発購買グループが機能することは当然でしょう。
何故なら開発購買グループに配属されている方の多くは開発出身者だからです。
しかしどうでしょう?あるべき論で考えた場合、
本来の開発や購買の主要業務をお互いに拾えていなかったのですから、
恒久的な組織になるべきではないのではないかと私は考えます。
開発購買グループが持っている能力や機能、
もっと本質的には意識も含めてですが、
それらをバイヤーやエンジニアに移管することが
将来的には必要ではないでしょうか?
そのような能力、機能、意識の移管を仕組みとして作れ、尚且つ定着させることが
企業の競争力の源泉の一つになっていく時代になってきていると考えます。
(野町 直弘)
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■ ☆今週のメッセージVol.2「コスト削減の功罪」
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職業柄、「コスト削減」という言葉には、過敏に反応してしまうのですが、
先日の8月15日の日経新聞1面に興味深い記事がでていました。
「車・電機大手、コスト削減5兆円 トヨタは8500億円」
自動車、電機大手が人件費、研究開発費などの固定費と
原材料費などの変動費を絞り込む。
2009年度のコスト削減計画額はトヨタ自動車が8500億円、
ソニーが8000億円以上を見込むなど
乗用車7社と電機大手9社の合計で約5兆円に達する。
乗用車7社の今期の売上高予想が前期より約9兆円減るなど市場収縮が続く中、
損益分岐点を引き下げ国際競争力の回復を急ぐ。
(2009年8月15日 日経新聞 朝刊 1面)
それぞれ数千億単位でのコスト削減を実現していますので、
各社さまざまな施策を実施しています。
例えば、キャノンでは、社長室直轄チームで
広告宣伝費・出張費などの販管費を徹底的に抑制しているということですし、
NECではソフト開発などを内製化することにより、
業務委託費をうまく固定費(人件費)に転嫁しています。
各社とも赤字決算が続いているだけに、
少しでも早く黒字転換を図ろうと努力していることが伺えます。
もちろん、会社経営なのでトップマネジメントの責務は
利益をだしていくことですし、利益をださなければ
重要なステークホルダーである株主に対しても
価値を提供できないわけですから、当然のことでしょう。
また、社内の業務の面からみても、
日々の業務の無駄や支出の無駄をなくしていくことにより、
より効率的で効果的に業務を遂行できるという効果もあります。
また、流行のワーク・ライフ・バランスという面からも
残業がなくなることにより、
早く帰宅することができ、趣味や勉強に時間が使えたり、
家族と一緒にすごす時間が増えたりと良いことがたくさんあります。
大手電機会社に勤務している友人に先日会ったのですが、
「定時あがりだと暇じゃないですか?」と聞いたら、
「いやいや、ジムに通えたり、
資格をとるための勉強ができたりして、悪くないですよ」
と言っていました。
他にもあると思いますが、
コスト削減を実施することにより、プラス面は多くあるでしょう。
しかしながら、物事には必ず表があれば裏があるというように、
コスト削減することによるマイナスの面というのも多く存在することは確かです。
まず、短期的に一番大きいのがサプライヤ企業に対する影響でしょう。
当然サプライヤ企業からすると、売上が減少するので、業績が悪くなります。
ここでいうサプライヤ企業は
いわゆる下請企業といわれるような企業だけではありません。
広告宣伝やITシステムをサービスとして提供している企業も含まれます。
先日TBS(正確にはTBSホールディングス)が
赤字に転落というニュースがありましたが、
大手電機企業や自動車会社の広告関連費用の
コスト削減の影響を大きく受けていることは間違いありません。
サプライヤ企業とのつながりも一種の生態系のようなものですので、
煽りをうけたサプライヤ企業が同じようにコスト削減をすれば、
また、その企業のサプライヤ企業が煽りをうけてというふうに、
どんどん負の連鎖が続いていきます。
最悪の結果として、倒産ということになりますが、2009年上半期(1月〜6月)の
企業の倒産件数は8,000件を上回ったということですが、
8,000件を上回るというのは上半期としては6年ぶりということでした。
また人件費のコスト削減も当然大きな影響を及ぼします。
個人での支出抑制の総和が、社会全体としての消費活動が停滞につながり、
景気もなかなか上向きになりません。
単純にコスト削減できて、業績回復しそうだからとって、
手放しで喜べるような状況でもなさそうです。
一方、ウォン安で苦しんでいるお隣の韓国ですが、朝鮮日報(Chosun Online)では、
8月20日付けで下記のニュースが掲載されていました。
「液晶テレビ:サムスンとLG、世界市場で上位独占」
サムスン電子とLG電子が今年上半期、
世界のLCD(液晶ディスプレー)テレビ販売量でそれぞれ1、2位の座を占めた。
中国での販売拡大が大きな要因であり、
ウォン安というのも追い風になったのも確かですが、
まだまだグローバル視点でみると
売上拡大の可能性は十分にあることを証明しています。
日本の総合電機企業のコスト削減も単にスリムになるだけのコスト削減ではなく、
体力強化や将来的な売上拡大につながるコスト削減であって欲しいものです。
(江本 真一)
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