2009.6.5号
「あなたの会社の見える化は間違っていませんか?〜その2〜/プロジェクトマネジメント力/日本最大の調達・購買界の交流会「バイヤーズハブ」のご案内

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        「目指せ!購買改革!!」     
      〜調達購買マネジメント最前線〜
──────────────────────── 2009.06.05 ───

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  ☆日本最大の調達・購買界の交流会「バイヤーズハブ」のご案内
  ☆今週のメッセージVol.1
   「あなたの会社の見える化は間違っていませんか?〜その2〜」
  ☆今週のメッセージVol.2「プロジェクトマネジメント力」
  
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■ ☆日本最大の調達・購買界の交流会「バイヤーズハブ」のご案内
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前回のメルマガでもご案内させていただきましたが、
この度日本最大の「バイヤーのバイヤーのためのバイヤーによる」
交流会第一回「バイヤーズハブ」が
6月20日土曜日19時〜「ZEST西麻布店」で開催されます。

この会は購買ネットワーク会参加者同志が主催するもので、
通常の購買ネットワーク会は違った交流会形式の集まりになります。
今まで購買ネットワーク会は土曜のお昼に開催され、
お忙しい方々にはなかなか敷居が高かったかもしれませんが、
今回は多くの意識の高いバイヤーだけでなく、
バイヤー応援団とも交流ができる気楽な交流会になります。

既に80人近い方から参加の申し込みが来ています。凄いですね。
定員になる前にお早目にお申込をお願いいたします!

参加申込はこちらから(会費5000円、得られるものプライスレス+α!)
http://www.co-buy.net/modules/eguide/event.php?eid=35

アジルアソシエイツも100%応援しています。

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■ ☆今週のメッセージVol.1
■□ 「あなたの会社の見える化は間違っていませんか?〜その2〜」
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−正しい見える化の効果−

前回は「見える化」の正しいやり方のポイントについて
「計るだけダイエット」を例にとり説明しました。

「見える化」のポイントは
1.比較する
2.意識する
3.管理する の三点です。

今回は特に企業における全社コスト削減活動や業務改革における
「見える化」の正しいやり方について述べたいと思います。

昨今の経済不況下、多くの企業が「全社コスト削減」に取り組んでいます。
多くの企業の場合、コスト削減は「人件費」「原材料費」「経費」の
3つに分けてターゲットを設定し取り組んでいます。
このような局面では所謂クイックヒットではないのですが
短期間で如何に収益を出していくかということが求められます。
短期間で収益を稼ぐ=短期間でコスト削減を行うことを考えると
多くの企業で「経費」削減が注目されます。

何故なら「人件費」「原材料費」は短期的な取り組みでは
コスト削減がなかなか難しいからです。
「経費」は固定費と思われがちですが、
短期的なコスト削減の取組みで一番効果的なのは「使わない」ことです。

「経費」は使わないことが可能な費用であり、
短期的なコスト削減に効果的であることから、
自然と「経費」削減に企業が目を向けるのです。

それでは「経費」のコスト削減のコツとは何でしょうか?
それが「見える化」なのです。

我々は多くの企業で全社のコスト削減活動を支援してきました。
その経験を踏まえて言うならば、
全社コスト削減活動で社員やサプライヤに無理や苦をしいる取組みは
上手くいかないということです。
全社コスト削減活動で成功している多くの事例は
「無駄な支出の排除」から始まり、
「交渉による契約の見直し」を並行して行い、
中長期的に「サプライヤ集約や切り替えを伴う契約見直し」という所謂
「ソーシング活動」を実施していきます。
短期的な効果を上げられた後は
「社内のBPRを含む全社的な業務の見直し」を行い
中長期に「ソーシング活動」や「業務改革」を続けていく。
というやり方が成功につながります。

このような取組みで初期のコスト削減に対する寄与度を考えると
概ね全体の6割程度は「無駄な支出の削減」によるものです。
また既存のサプライヤに対する「交渉による契約の見直し」を含めると
全体の8割程度の効果を占めます。
本来の購買・調達活動である「単価を下げる」「ソーシング活動」は
比較的時間がかかる作業であり、短期でコスト削減を実施するのであれば、
いかに「無駄な支出の削減」を行っていくかがポイントになります。

「無駄な支出の削減」には「見える化」が有効です。

多くの企業では予算管理の延長で、
部門別経費予算に削減目標を一律に設定し、
それを結果の数字を元に月次にフォローしていく、という方法を取ります。
しかし、このようなトップダウンのやり方は
多くの企業では上手く機能しません。
何故なら社員個々人の「管理可能な」見える化ができていないからです。

「経費を使うな」というのは簡単ですが、
それを完全に遵守することが難しいのは言うまでもありません。
例えば「原則タクシー利用禁止」という号令が出たとしましょう。
地方に出張し公共交通機関がない場合や公共交通機関が非常に不便な場合、
タクシーを利用する人はでてきます。
ある人がタクシーを使ったという話を聞いて
「あの人が使っているんだからいいや」と他の人も使いだします。
そうすると月次で実績を占めると経費が全く減っていない。
このようなやり方がだいたいの失敗パターンです。
「経費を使うな」ではなく「経費を上手く使え」
そのための情報提供が必要なのです。

あるプロジェクトでコピー機のカウンター料のコスト削減を検討しました。
カウンター料のコスト削減で通常考えられる方法は
「1.コピーしない」
「2.カウンター料を低減する」
「3.コピーの上手い使い方をする」が考えられます。
ただ「1.コピーしない」というのは限度があります。
「2.カウンター料を低減する」も相手がある話ですからすぐにはできません。
この事例では「3.コピーの上手い使い方をする」という方法を取ることで
大きな効果を上げました。

そのためにまずはコピー機の配置、カウンター料(総額、単価、枚数)、
コピー種別等の情報を収集し分析(見える化)を行いました。
この企業ではコピー機の導入時期や機種によって
一枚当たりのカウンター料にバラツキがあることが分かりました。
また使用量も大きなバラツキがあることがわかったのです。
そこでカウンター料の安いコピー機をなるべく多く使えるように
コピー機の配置の見直しと
誰がどの機種を使うかというルール作りをしたのです。

現場にとって見ると一部の人は多少不便は感じるものの
「コピーを全く使うな」的な話ではないので全く抵抗感はありません。
あとはちゃんとルール通りに使っているかどうか実績を管理すればよいのです。

このような「経費を上手く使う方法」でかなりのコスト削減が可能なのです。

皆さん既に理解していただいたと思いますが、
この事例も「見える化」の効果なのです。
コピー機の使い方を「見える化」し、トップダウン的なアプローチではなく、
現場に負担を与えない「経費の上手い使い方」をやってもらう。
ここでは社員一人一人の行動を
「管理可能な」見える化をすることがポイントなのです。

最近は「無駄な支出の削減」を
社員一人一人が管理できる「見える化」を行うことで
「何をすればよいか」のルール作りや啓蒙を行うことで
積み上げてみれば大きな効果につながりました。
というコスト削減事例が多くでてきています。

スズキ自動車の有名な事例である
「机の中の事務用品を共有しましょう」という活動もしかり、
携帯電話のヘビーユーザーに対するヘビーユーザーリストによる
使用抑制やプランの見直しもしかり、共通するのは
社員一人一人が管理可能な「見える化」なのです。

先回間違った「見える化」は逆に
社員のモチベーションを落とすことにつながり、結果的に上手くいかない、
という話をしましたが、何も見えない中で
「経費を削減しなさい」という従来型の手法に
限界があることは当然のことです。

「見える化」は業務改革においても基本になります。
多くの企業の業務改革で一番の課題は「見えない」ことであり、
「見えない」理由は「個人の力量で仕事をやっている」ことにあります。
方針がありルールがあり業務が標準化されている状態(見える)であれば、
例え間違った方針、ルールを元に業務を行っていたとしても、
何が間違っているのかすぐにわかります。
それが分かれば「何を変えればよいのか」すぐに分かりますし、
改善も可能です。

業務改革においても「見える化」を行うことで
PDCAのサイクルを回すことができるのです。

「見える化」について2回に分けて述べてきましたが、
正しい「見える化」は非常に効果的です。

あなたの会社の「見える化」を
もう一度再点検してみたらいかがでしょうか?

(野町 直弘)
  
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■ ☆今週のメッセージVol.2「プロジェクトマネジメント力」
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企業向けのコンサルティングには、
「士業型コンサルティング」と
「パートナー型コンサルティング」があると考えています。
コンサルティングなので、
クライアントの課題を解決していくというのが基本ですが、
「士業型コンサルティング」は
先生型コンサルティングといってもよいと思いますが、
該当領域の専門知識をもってクライアントに
ベストな解決策を提供していきます。
弁護士や会計士などが実施するコンサルティングは最たる例です。
私たちのサービスでいうと、
内部統制対応の業務フローづくりや、規程づくりなどです。
一方、「パートナー型コンサルティング」は、
簡単にベストな施策が導き出せない場合や
規模が大きいプロジェクトの場合に、
クライアントと一体となって解決策を導き出し、
実行していくコンサルティングになります。
戦略系コンサル会社やITシステム導入コンサル会社が該当しますが、
私たちが提供する多くのコンサルティング、
例えば、購買業務改革コンサルティングなどは、
「パートナー型コンサルティング」になります。

どちらのコンサルティングも
専門領域の知識・スキル・ノウハウは必要なのですが、
「パートナー型コンサルティング」には、
加えて「プロジェクトマネジメント力」が必要となってきます。
先ほど述べたように、「パートナー型コンサルティング」は、
プロジェクトという形で、
クライアントと一体となって進めていくことが多く、
自社メンバーだけではなく、
クライアントのプロジェクトメンバーや関係者と
推進していかなければなりません。
多くのステークホルダーが、さまざまな役割や責任をもって関わってきます。
私たちが「パートナー型コンサルティング」を提供する場合、
購買の専門知識を提供することは当然なわけですが、
プロジェクト推進エンジン、すなわちプロジェクトマネジメント力を
合わせて提供できるかが、コンサルティングの成否、言い換えると、
プロジェクトの成否を決めるといっても過言ではありません。

ここで、プロジェクトマネジメントの重要性について考えてみます。
プロジェクトとは、PMBOK(第3版)によると、
継続性や正確性が求められる通常業務と違い、
「独自の製品、サービス、
所産を創造するために実施される有期性の業務である」と定義されています。
すなわち、何らかの目的を一定期間で達成する活動なわけで、
それゆえに独特の問題が多く発生します。
つまり、プロジェクトで扱う内容そのものよりも、
プロジェクトマネジメントに起因する問題が多くでてきます。
社内の何らかのプロジェクトに関わられた方も多いと思いますが、
失敗したプロジェクトの経験がある方は
その原因や理由を思い出してみてください。
おそらく、プロジェクトのゴールがあいまいだったとか、
スケジュールやタスク管理が不十分でどんどん遅延してしまったとか、
メンバーが組織横断的なためプロジェクトに十分な時間をさけなかったとか、
意思疎通が不十分だったなどの理由がでてくるのではないでしょうか。
逆に、プロジェクトで扱う内容そのものの
知見・知識などが不足していたから、という理由は
少ないのではないかと思います。
まさに失敗プロジェクトの原因は、プロジェクトマネジメント力の
欠如にあるのです。

また、私の持論ですが、
「(プロジェクトの成果)
=(Σプロジェクトメンバー個々の能力)×(プロジェクトマネジメ力)」
だと考えています。
いくら能力があるメンバーを集めても、
プロジェクトマネジメント力が0だと、成果は0です。
逆にプロジェクトマネジメント力が大きければ、
メンバーの能力の総和以上の成果をだせます。

また、ここ数年のトレンドとして、プロジェクトマネジメントでは、
人のコミュニケーションに力点がおかれています。
スコープ管理やスケジュール管理などはできて当然なのですが、
プロジェクトチームメンバー内のコミュニケーションおよび
プロジェクト関係者とのコミュニケーションが非常に重要視されています。
チームメンバーがきちんと自分たちのタスクの意味を理解しているか、
いわゆる“報連相”はできているか、といった
基本的なコミュニケーションから始まり、
メンバーがそのプロジェクトを経験することによって、
どのような新たなスキルを身につけてステップアップするか、
というようなことまで踏み込むことでチーム力が
飛躍的に向上するといわれています。

また、プロジェクト関係者には、適切なタイミングで
適切な情報を提供することが重要だといわれています。
“全体報告会を関係者に定期的にやっておけば問題ない”
という考えは危険です。
このように、コミュニケーションが重要であるため、
プロジェクト開始時には、プロジェクトスケジュールとともに、
コミュニケーション計画をしっかり設計していかなければなりません。

今回はプロジェクトマネジメントの重要性について
述べさせていただきましたが、
とくに「パートナー型コンサルティング」をご提供させていただく際には、
私たちは、「調達・購買のプロフェッショナル」ということだけではなく、
「プロジェクト推進のプロフェッショナル」ということも意識しております。
これは、弊社のスローガン
「アジルアソシエイツは、調達・購買改革パートナーです」
にも表現しております。
このような私たちの姿勢が少しでもお客様に伝わっていくような
コンサルティングをご提供していきたいと思っています。

(江本 真一)

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