2008.10.31号
「ステイクホルダーマネジメントの重要性/購買部・購買担当者のチャンス」

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        「目指せ!購買改革!!」     
      〜調達購買マネジメント最前線〜
──────────────────────── 2008.10.31 ───

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  ☆「2008年度 購買・調達に関する実態調査」報告書掲載のお知らせ
  ☆今週のメッセージVol.1「ステイクホルダーマネジメントの重要性」
  ☆今週のメッセージVol.2「購買部・購買担当者のチャンス」
  
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■ ☆「2008年度 購買・調達に関する実態調査」報告書掲載のお知らせ
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アジルアソシエイツと社団法人日本能率協会との共同調査である
「2008年 購買・調達に関する調査」の報告会を先週の10月22日に開催し、
約50名の企業の購買部門の方々にお集まりいただきました。
当日は、原材料の高騰や安定供給の確保など、
調達部門にとって困難な課題が山積する今、
各企業が重要視する課題や目指す方向性を
調査結果から説明させていただきました。
この充実した内容の報告書がダウンロード可能となりましたので、
ぜひご一読ください。

報告書のダウンロードはこちら
http://www.agile-associates.com/report200811/

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■ ☆今週のメッセージVol.1「ステイクホルダーマネジメントの重要性」
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先回は「戦略的サプライヤマネジメント」について書きましたが、
今回は「ステイクホルダーマネジメント」について書きたいと思います。

私は調達・購買部門の重要な機能はコーディネートであり、
ハブ機能だと思っています。

所謂「お取引先」であるサプライヤとの関係性は言うまでもありません。
しかし、重要なのは「サプライヤ」との関係性だけではありません。

90年当初「コーポレートマネジメント」という言葉が生まれて
「会社は誰のものか?」という議論が始まり、
日本の企業統治も大企業を中心に米国型に移行しました。
そういう中で株主や一般市民、従業員、地域住民、マスコミ等の
「ステイクホルダー」との関係性をより重視するという考え方が
一般的になってきました。

それでは購買部門にとっての「ステイクホルダー」とは
誰のことを指すのでしょうか?

私は購買部門にとってのステイクホルダーは4者だと思います。

「マネジメント」「ユーザー」「仕様設定者」そして「サプライヤ」です。

「マネジメント」とは企業経営者だったり、事業部長だったりします。
多くの企業で経営者に対する
ステイクホルダーマネジメントができていないのが実態です。
言い換えれば期待値管理です。

様々な企業で購買部門に働く人達は本当に良く働いています。
ただ、本年度の調達部門調査でも実態が分かるように、
経営者はそれを正当に評価していません。

昨今の原材料市況高騰のおり、
購入品の値上げは企業収益に多大な影響を与えてきました。
一方で足元では原油価格の下落や円高をきっかけに
原材料市況は高騰から反転し、如何に上げた分を値下げさせていくか、
という点に経営者は注目しています。

そこで出てくる言葉は
「何で下がらないんだ?
上がった時は上げたのだから下がって当然だろう」です。

どれだけの企業の調達・購買部長が理路整然と経営者に対して
この理由について説明できているでしょうか?
つまり経営者の期待を的確に把握し、
その期待をコントロールできているでしょうか?

マネジメントの調達・購買部門に対する低い評価は
マネジメントの責任だけではなく、
期待値をコントロールできていない
むしろ自部門の問題とも言えるでしょう。

次は「ユーザー」に対するマネジメントです。
ユーザーとは予算執行者であり、
原材料、部品等の物やサービスを実際に購入して使用する人達です。
ユーザーにとっては「安いもの」を買おうという意識はあまり働きません。
どちらかと言うと「限られた予算内でいいものを買いたい」となります。

一方で、調達・購買部門は単により良い条件を引き出すだけでなく、
その良い条件で契約したものをユーザーに選択させなければなりません。
また、無駄に多く買うことも防止しなければなりません。

企業活動の中で、
ボールペン一本の単価が80円なのか60円なのかについて拘りを持ち、
コスト削減を図っていこうと考えるバイヤーは少なくないです。
一方で60円のボールペンを如何に選んでもらうか、
もしくは3本ではなく本当に必要な2本を買わせることを
気にかけているバイヤーはあまり多くありません。

ただちょっと考えてみれば自明の理です。
「ユーザー」マネジメントは
全体の支出を適正化するために必要な調達・購買部門の機能なのです。

次は「仕様設定者」です。
仕様設定者という言葉は分かりにくいのですが、
簡単に言えば「設計者」です。
「設計者」は、顧客や社内のユーザーの要求を満たす製品の設計をします。
VE的な考え方で言えば、
求められる付加価値や機能を満たすために
最低限のコスト(コストだけではないですが)で収まるようにする。
言い換えれば「オーバースペック」を排除することが彼らの役割です。

調達・購買部門は「仕様設定者」に対して
様々な情報提供をしてあげる必要があります。
これが「仕様設定者」に対するステイクホルダーマネジメントになります。
「仕様設定者」は「高くて良いもの」と「安くて悪いもの」があったら
「高くて良いもの」を選びます。
何故かと言うと彼らは「良いもの」を顧客に供給することが
主たる役割だからです。

調達・購買部門の「仕様設定者」に対する
ステイクホルダーマネジメントは、
単純に言ってしまうと「安くて良いもの」がこれだけあるんだよ、
と教えてあげる情報提供機能です。

最近は「開発購買」という言葉でこのような活動が定義されています。
企業によってはこのようなステイクホルダーマネジメントの機能を
エンジニアを調達・購買部門に異動させて
役割分担させているケースも少なくありません。

最後の「サプライヤ」のステイクホルダーマネジメントについては、
今までもその重要性について
色々述べてきていますのでご理解いただけると思います。

このように調達・購買部門にとっても
ステイクホルダーマネジメントは非常に重要な視点です。

バイヤーの皆さんもステイクホルダーマネジメントに着目し、
ステイクホルダーのニーズの探索、掘り起こし、
ニーズを埋めるための活動について
もっと意識を高める必要があるのでは、と考えている今日この頃です。

(野町 直弘)

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■ ☆今週のメッセージVol.2「購買部・購買担当者のチャンス」
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「今こそ、購買部・購買担当者のチャンスです!!」

いきなりのメッセージ、私は何をいいたいのでしょうか。
経済環境の変化に目を向けてみましょう。

日本経済はバブル後最安値をつけた2003年から2007年8月まで
緩やかに上昇してきました。
景気拡大局面の中では、購買部のコスト意識よりも、
現場・担当者などの意見が強く、
また、売り手優位の流れの中、
購買部としても手腕を発揮しきれない部分もあったと思います。

その景気拡大局面は、
サブプライムローン問題が発端となり急変します。
昨年8月〜今年前半は景気後退の流れに繋がります。
一方、巷のニュースでは値上ラッシュが語られていましたが、
原油などをはじめとする原料価格は高騰し、
値上げのダブルパンチが襲ってきます。
購買担当者としては、
「コストを下げたい」
「サプライヤからの値上げ要請」のダブルパンチに襲われ、
非常に難しい局面を迎えていました。

そして現在、株価は2008年10月27日にバブル後最安値を更新し、
景気後退局面を迎えつつあります。
日本の名だたる企業も減益予想が相次ぎます。
また、景気後退局面を迎えたことで、
一時期1ドル140円を超えた原油価格も1ドル65円を切るなど、
原料価格も一時期に比べて暴落しています。

さて、ここで考えてみましょう。
上記3つの流れの中で購買部・購買担当者にとっての
一番のチャンスはどのタイミングでしょうか。
私はそれは「現在」だと思っています。
(正解は「すべてのタイミング」だという意見もありますが・・・)

これからは、
景気後退局面ということでコスト削減が全社的に求められます。
それは誰のタスクになるのでしょうか?
また、今年年初は原料価格が高騰し、交渉には苦慮したことと思います。
原料価格も落ち着いた今、チャンスが巡ってきたともいえるでしょう。

購買改革の施策を練って、
経済環境を盾に他部門を巻き込んでいってみませんか。
サプライヤからの値上げ要請も、
経済環境と「買い手の交渉力」を生かしませんか。

自分に出来ることを1つずつこなす、
今まで1人では出来なかったことを周りを巻き込んで行っていく、
今まで目を向けられていない商材(間接材など)にも目を向けていく、
購買といっても非常に幅広いです。
たくさんのチャンスが転がっているはずです。
「今が自分達にとってのチャンス」、「今こそ購買改革のチャンス」
これらの意識を持って積極的に取り組んでみませんか。

いま蒔いた種は、将来、花を咲かせます。

(奥田 高太)

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