2008.9.5号
「調達することの難しさ/交渉の難しさ」

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        「目指せ!購買改革!!」     
      〜調達購買マネジメント最前線〜
──────────────────────── 2008.9.5 ────

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  ☆今週のメッセージVol.1「調達することの難しさ」
  ☆今週のメッセージVol.2「交渉の難しさ」
  
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■ ☆今週のメッセージVol.1「調達することの難しさ」
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物を買うということは易しいことでしょうか?

「物を売ることに比べたら易しい」
「物を買うことは万人がやっている(やれている)」

こういう言葉が返ってくるかもしれません。

確かに万人が物を買っています。小学生〜お年寄りまで。

しかし、企業として大量かつ継続的に物を買うことは
思った以上に難しいことだと思います。
特に昨今の原材料の市況高騰の中、
安定的に調達をすることは思った以上に難しいことです。

鉄を1Kg買うことはそれほど難しくないでしょう。
でもそれが月間1000トンで、それを安定的に調達する、という話になると
全く難易度が変わってきます。

最近、このような調達することの難しさを体感する機会がいくつかありました。

まずは、関西のある企業さんの事例です。

彼らはグローバル企業の100%子会社で地域に根差した企業です。
歴史もそれ程古くなく、話を聞いた方も会社設立して間もなく入社し、
ずっと調達部門に従事された方でした。

彼らは大企業がよくやるような
「付き合いの深いサプライヤに同じ地域に工場を進出させる」
というやり方をせずに地場で優秀な企業を探し出して
今のサプライヤベースを築いてきたとのことでした。

彼らは設立後もそのような方針で調達を行ってきたことから、
調達の難しさをよく理解しており、
決して「買う」という強い立場でサプライヤと接してきませんでした。
今でもサプライヤをパートナーと位置づけ「声を聞く」のではなく
「双方向のコミュニケーションを行う」ことを重要視しています。

彼らの素晴らしい活動は親企業の調達部門からも注目され、
グループ内でのベストプラクティスとしても取り上げられているとのことです。

これらの活動の基本になっているのは、
彼らが「調達することの難しさ」を知っていたからではないでしょうか?

次はある銀座の焼鳥屋さんでの出来事です。
そのお店は90年の歴史を持つ有名な焼鳥屋さんです。
一口食べると感動する位美味しいお店です。

私は店主に「なんでこんなに美味しいのですか?」と尋ねました。
すると店主は「素材がいいからです。」と一言答えました。
「素材もそうでしょうけど、焼き方もあるのでは?」
私が繰り返し尋ねると店主はこう答えました。
「いや、素材だけです。
いい鳥を90年育て続けてくれている養鶏家の方が素晴らしいんです。」
私はびっくりしました。
このお店は90年間契約している養鶏家から
安定的に鶏肉を調達し続けているのです。
その間に戦争があったりオイルショックがあったり、バブルがあったり、
それでも調達し続けているのです。

その店主は今でも毎月2回かこの養鶏家を訪問して自分の目で
鳥を確かめに行っているんだそうです。

「素晴らしい素材や物を調達し続けるのは難しいし、手間もかかる」

調達することって難しいことではないでしょうか?

(野町 直弘)

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■ ☆今週のメッセージVol.2「交渉の難しさ」
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はじめまして。アジルアソイエイツの高橋です。
今号より弊社社員も持ち回りでメルマガを書いていくことになりましたので、
よろしくお願いいたします。

簡単に自己紹介しますと、
私はアジルアソシエイツに入社しまもなく3年になります。
前職はとあるコンサルティングファームで、
ERPの導入(主に管理会計)の担当でした。
従って、購買という分野ではまったくの素人として
アジルアソシエイツに入社し、その後は購買システム導入案件や
間接材のソーシング活動等に携わり、今に至ります。
まだまだ勉強することは多々あると感じている今日この頃です。

さて今回は、最近「交渉」について考える機会が幾度かありましたので、
それを書いてみたいと思います。

そもそも「交渉」というのは、よく考えると日常様々な場面で、
常に行なっている行動です。
例えば、家族と今夜の夕食の献立について話したり、
友人とどこに遊びに行くか、車は誰が出すかなどを決めたり、
お店で少し値切ってみたりと色々と思い浮かびます。
それら日常で行われている「交渉」は、例外も多々ありますが、
大抵はさほど難しいものではないように思います。

しかし、仕事で行う「交渉」となると、とたんに難しさを覚えます。
特に調達・購買部門にとっての「交渉」は非常に難しいもののように感じます。
しかも昨今は、原材料価格高騰などの環境の変化もあり、
よりいっそう難しいものとなっていると感じます。

なぜ、調達・購買部門の「交渉」が難しいものかを考えると、
様々な理由があるように思いますが、私が考える一番の要因は、
長期的に良好な関係を維持しつつも、可能な限り最適な価格
(それだけでなく納期や品質などあらゆる条件)でモノを購入するという、
ある意味相反する課題を
クリアし続けなければならないという点であると思います。

その相反する課題をいかにクリアし続けるかが、
おそらく調達・購買部門に所属する人の腕の見せ所なのだと思います。

しかしながら、当たり前のことなのですが、「交渉」においては、
その腕を見せる相手が
サプライヤの営業担当の方だけになっていると想像されます。
しかも、その腕(「交渉」のスタイルというか進め方ややり方、
準備、戦術、スキルなどといったもの)は、完全に属人的なもので、
その人のそれまでの経験やキャラクターなどといったものに相当左右され、
同じ組織の中でも共有化が進んでいないものではないかと想像されます。

言い換えると、仕事で行う「交渉」を難しいと考える理由のひとつには、
自分の「交渉」が、はたして同じ組織に所属する他の人に比べて
優れているのか劣っているのか客観的に測ることが
極めて難しい点にあるのではないでしょうか?
例えば、自分が「交渉」した結果、
コスト削減○%で、△△の条件で契約できたといっても、
他の人が「交渉」するとどうなるかはわかりません。
もしかしたら、より悪い条件かもしれないですし、よりよい条件かもしれない。
あるいは誰が交渉しても同じ条件なのかもしれません。
(※ちなみに、日常仕事以外で行う「交渉」は
あくまでも自分自身のことであって、
他の人が「交渉」するとどうなるかを心配する必要がなく、
完全に自己責任の範囲で行えるという違いがあるため、
さほど難しく思う必要がないという側面もあると思います。
もちろん難易度自体も大きく異なりますが。)

ということは、仮に「交渉」(結果ではなく「交渉」の中身)を
客観的に評価でき、組織の中でスタイルやスキル等の共有化がされ、
その上で自分のキャラクターにあった最善の「交渉」を
組織の全員ができるようになったとします。
そうすると、サプライヤとの長期的な関係を維持し、
最適な条件で購買するという相反する課題に対して、
少なくともその時点でのベスト(に近い)の解を
誰が「交渉」しても得られるのではないでしょうか?
(※もちろん、平の担当者レベルと部長レベルではベストの解自体が
全く異なるものだと思います)

と、書いてみると簡単なようですが、
「交渉」の中身の評価やスキルなどの共有化は
極めて大変なことだとも思います。
できそうなことですぐに思い当たるのは、
定期的に他人の「交渉」を見る(参加する)機会を持つ、
その手のセミナーに参加する、ロールプレイやケーススタディなどを行う、
(難しいかもしれませんが)サプライヤからフィードバックを得る、
などといったところでしょうか?
しかもそれらを一度やるだけではなく継続的に実施し、
そして体系化し評価、共有化できる仕組みが必要になると思われますが、
実はこれが「交渉」で最も難しい部分かもしれません。

(高橋 和昭)

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