2008.08.08号
「ケーススタディのすすめ/新しい購買の役割」

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        「目指せ!購買改革!!」     
      〜調達購買マネジメント最前線〜
──────────────────────── 2008.8.8 ────

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  ☆今週のメッセージVol.1「ケーススタディのすすめ」
  ☆今週のメッセージVol.2「新しい購買の役割」
  
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■ ☆今週のメッセージVol.1「ケーススタディのすすめ」
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先日弊社主催で少人数の方(25名程度)を集めて
ケーススタディを試行するというセミナーを開催しました。

今回は購買人材の社内研修等に購買の「現場学」習得のために
ケーススタディを活用することで、より効果的な研修につなげる、
ということを実体験していただくためのものでした。

ケーススタディとは
「問題解決能力」や「意思決定能力」を開発することを目的に、
どこでも起こりそうな具体的なケース(事例、事件、出来事)を素材として、
個人またはグループで討議し、本質を究明し、問題点を分析したり、
解決策を立案したりすることです。

元々シカゴ大学で最初に行われたことから、シカゴ方式ともいうそうです。

米国のビジネススクールでは年間100本を超えるケーススタディを行い、
問題解決能力や本質の究明能力を養っているようです。

私自身としては、今までにも購買ネットワーク会のイベントの一つとして
ケーススタディを実施してきましたし、回数は多くはありませんが、
企業内外の研修でもケーススタディを経験したことがありました。
自分自身でケースを書き、研修を行うことも何度かあります。

しかし、毎回ケースをやってみると新たな発見があります。

ケースは自分の考える力、分析する力を養うことが目的なのですが、
いつも感心するのですが、一番重要なことは
「他の方の考え方」に触れられることだと思っています。

つまりグループ討議にこそ、
本当の価値が出てくるのではないかと思っています。

これは、グループ討議の過程を通して、
受講者同士のものの見方や考え方の同意点や相違点が明確になること。
お互いの意見をすりあわすことで、そこから相互啓発が生まれること。
そこから、発想が一段階上に上り、お互いのものの見方や考え方が、
よりいっそう幅広いものや奥行きの深いものになっていくこと。

このようなプロセスを経て「はっとする瞬間」がでてくるのです。

先日のセミナーでもやはり
「あ〜こういう考え方もあるんだな、こういう意見も尤もだな」
と感じる瞬間が多くありました。
今回のケースは私が作成者の一人だったにも関わらずです。

改めて考えると、問題の解決方法というのは均一ではありません。
また色々な代替案の検討・抽出を一人で全て行うことには限界があると思います。

これはバイヤー、購買部だけではないのかもしれませんが、
隣の人がどういう方法で仕事をしているのか?
どういう考え方をしているのか?
実は全く共有ができていない状況に客先で遭遇することが多々あります。
また、これは弊社内でも同様です。

eメールの普及や電子化による情報共有などによって
直接のコミュニケーションが少なくなってきたことも
その理由の一つかもしれません。

いずれにしてもこういう時代だからこそ、
ケーススタディやグループ討議などがより効果的なのだと
改めて感じることができました。

(野町 直弘)

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■ ☆今週のメッセージVol.2「新しい購買の役割」
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7月30日に開催しました弊社主催セミナーで、講演したことを契機に
改めてこれからの購買について私なりに考えてみました。

大胆な予想ですが、私の考える5〜10年後位の間に
購買プロフェショナルに期待される新しい役割は次の3つです。
・売上への貢献(トップラインインパクト)
・サプライヤのM&Aへの取り組み
・購買BPOベンダーの活用

以下、それぞれについて説明します。

・売上げへの貢献について
具体例をあげると、ある医療機器メーカーが、
画像検査装置(CT,MRIなど)を製造・販売していたとします。
購買がこの画像装置の解像度を飛躍的に向上させる
ユニークな技術を有したサプライヤを発掘し、
他社に先駆けて独占供給契約を締結することによって、
自社の画像処理装置の差別化を図り売り上げを向上させたケースがあげられます。
サプライヤの技術を囲い込み自社製品の商品価値を向上させ
売り上げに貢献させた例です。
購買というと、設計や開発との協業がよく話題になりますが、
これからの購買はさらに上流の商品企画やマーケーティングと協業し、
最終顧客の動向に詳しい人材であることが要求されます。
 
・サプライヤのM&Aについて
M&Aというと、購買とは別の経営企画室で決定されるケースが多いのが実態です。
しかし、サプライヤの技術の取り込みや安定的な供給を確保するために
サプライヤへ出資する際には、
購買は核となる意思決定者であるべきではないでしょうか?
なぜなら、購買はサプライヤ評価のプロフェッショナルであるし、
供給確保についても最終責任を有している部署だからです。
(供給に最終責任を有するのであれば、
究極の選択としてサプライヤへの出資をするか否かについて、
キーとなる役割を果たすことが必要になってくるということです。)

・購買BPOベンダーの活用について
上述したように、購買の専門性が高度化してくると、
旧来型のコスト低減やオペレーティングな業務に
人的リソースを配置することは、難しくなってきます。
従って、重要度の低い商材については、
購買BPOベンダーを活用していくことが必要になってきます。
〜余談ですが、近年、購買マネジャーを探しているヘッドハンターが
そのスキルセットに“オフショア購買BPOベンダーを使いこなせること”を
条件にしている例を見たことがあります〜

自社に購買スタッフを抱えるよりも、
標準化された購買業務はBPOベンダーに切り出して、うまく活用しながら、
より低いオペレーションコストで成果を出す能力が
これからの購買プロフェッショナルの条件になってくると予想しています。

これからの購買プロフェッショナルに新しく期待される役割は高度です。
従って、プロフェッショナルを目指す人にとっては、
かなり有望な職種であるといえます。
一方で、旧来型の購買から抜け出せない人は、
オフショアの購買BPOベンダーによって職を奪われる時代がくると考えています。

今日は、先日開催されたセミナーの後、
改めて、これからの購買の役割について予想したことを書いてみました。

(鬼沢 正一)

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