2008.5.30号
「原料高騰に打ち勝つ現場学!/フードチェーンについて」

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        「目指せ!購買改革!!」     
      〜調達購買マネジメント最前線〜
──────────────────────── 2008.5.30────

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  ☆今週のメッセージVol.1「原料高騰に打ち勝つ現場学!」
  ☆今週のメッセージVol.2「フードチェーンについて」

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■ ☆今週のメッセージVol.1「原料高騰に打ち勝つ現場学!」
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2008年7月号の「月刊フォーブス」でも取り上げられていますが、
「原料高騰に打ち勝て!」というテーマは昨今では購買部門だけでなく
経営全体の課題となってきています。

同誌では、原料高騰に対する取り組みとして
 1.軽量化(VE)
 2.代替燃料化
 3.共同購買
 4.川上での原料確保(サプライヤマネジメント)
 5.プロセス改善 の5つの取り組みを紹介していますが、
どれも原料が高騰しているからやらなければならない、というよりも
「通常のコスト削減等の取り組みそのもの」と言えるでしょう。

先日このメルマガでも取り上げた、リサイクルの取り組み推進等も含めて
「決まったものを安く買う」からの発想の転換が必要になる施策で、
これはこれで進めていかなければならないのですが、
短期的な取り組みとは言い難く、どれも効果が出るまでに時間を要する、
所謂、中長期施策だと思います。

一方で、バイヤーとしては「今何をするか?」という視点も重要です。

前に「原材料高騰の場面でバイヤーは何をすべきか?」という
同じテーマについて述べましたが、

教科書的には
 1.長期契約の締結による市況高騰リスクの回避
 2.デリバティブ等のファイナンス手法でリスクをヘッジする
 3.市況の専門家を設置し市況変動やリスク発生の兆候を早期に検出する
加えて有効な施策としては、

「サプライヤの集約ではなく分散を図る」をあげています。

これは基本的な二社購買等のリスク管理の手法ですが、
特に市況が高騰している断面では、
新規の取引に積極的なサプライヤを入れることで、
市況高騰の価格反映を妨げる。
また、これによりサプライヤ1社あたりの購買量(注文量)は減少します。
サプライヤ側としては当然売上の大きい取引先との価格交渉に
フォーカスするわけですから、購買量の減少により、
サプライヤへの影響度を低減することにもつながります。

先日、購買ネットワーク会の参加者を中心として
「材料費高騰とたたかうバイヤーの集い」がありました。

そこでもいくつか有効な短期施策があげられました。
参考までにピックアップしますと、
 1.物流や在庫などのサプライヤのコスト削減をバイヤー企業側で協力する
 2.営業とタイアップして売価を上げる
 3.価格が上がる前に一定量を確保する
 4.購買量が多い商社を通して購入する 等々。

いずれにしてもコスト高騰に対する決定的な手法ではありませんが、
正に現場のノウハウです。

一方で、どのバイヤーも共通しておっしゃっているのは
「市況(原材料)高騰によるコスト上昇は仕方がない」ということです。

これは裏を返せば「便乗値上げは許さない」という決意なのです。

「原料高騰」の局面はある意味チャンスになります。
「値上げ」に対してその要求額の妥当性をチェックすることにつながります。
また要求額の妥当性をチェックすることは、
コストの構造について理解することに他なりません。

バイヤーは本来なら物の価値を見極める専門家として、
コストの妥当性を常にチェックすべき役割を持っています。
一方で、売る側と買う側の力関係や市場の動きによっては
全ての買い物のコスト妥当性を詳細にチェックすることは不可能です。

一方「値上げ」はその妥当性を売る側が証明すべき局面であり、
コスト妥当性の詳細をチェックできるよい機会になります。
また妥当性のチェックをするためには、
バイヤー側もコストアップ額の推計を行うことが必要になります。

そして「妥当な値上げ」と「便乗値上げ」を切り分け、
「妥当な値上げ」については容認する。
一方で原料価格が下がった時は「妥当な値下げ」をタイムリーに実施する。

このようなある意味当たり前なやり方が実は一番重要なのではないか?
と思いを新たにしました。

(野町 直弘)

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■ ☆今週のメッセージVol.2「フードチェーンについて」
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今日は、最近外食産業(レストラン、居酒屋等)における
食材管理について書かれていた雑誌の記事を読んで考えたことを話します。

記事の内容は、各外食企業の中国からの食材輸入への
対応について調べたものでした。

私も以前から疑問に思っていたのですが、
スーパーで購入する食材については
原産地や添加物が詳細に記載されていますが、
レストランのメニューには一部を除いて記載はありません。
(最近はメニューに記載するところも増えてきているようですが)
このレストランの食材は、どこからどういうルートで仕入れていて、
安全なのか?なぜ安いのか?を考えたことはありました。

輸入品の食材(野菜の場合)の供給ルートは概ね次の通りです。
(この流れはフードチェーンと呼ばれます)
栽培農家⇒卸売り業者⇒加工工場⇒商社⇒検疫⇒外食企業⇒消費者
これを外食企業のバイヤーの視点から考えると、次の課題があげられます。

 ・品質管理
 ・供給管理
 ・コスト管理

品質管理に関してですが、記事によると、
食材の品質検査は外食企業というよりも商社が主体となっているようです。
また、輸入時の検疫体制も基本的には抜き取り検査であり、万全ではなく、
市場に食材が出回った後に問題が発覚しています。
外食産業のバイヤーとしては、
国の制度や一次仕入先である商社に管理を依存するだけでなく、
源流管理も実施することが課題ではないでしょうか。

供給管理に関しては、ハリケーンや地震のような天災時の供給を
確保するために、国内外を問わず安定的に供給できるソースを
確保しておくことが課題としてあげられます。

コストに関しても、共同配送のような手法を使って
価格高騰をいかに抑えるかが課題であると言えます。

外食産業のバイヤーのミッションは、フードチェーンのキーであり、
今の環境下ではハイレベルの能力が要求されるのではないかと考えています。
人材や資金の豊富な大企業であれば、課題を解決していけますが、
中小企業にとっては難しいのではないでしょうか。

原料高騰対策として、大企業が連携した共同調達が
クロ−ズアップされていますが、
むしろ、フードチェーン全体を含むきめの細かい品質管理上の課題を
解決する手法としても共同調達は有効であると言えます。
共同調達の機運が高まっている中で、
共同調達の仕組みにコスト抑制や安定調達のみでなく、
従来個別企業ではできなかったフードチェーン全体を視野に入れた
品質管理を取り入れることが、消費者、外食産業にとっても
よい方向に進むと考えられるからです。

外食ビジネスについては素人ですが、
自分なりにフードチェーンのあり方を考えてみました。

(鬼沢 正一)

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