2008.3.7号(現場学と物語/賃金格差とバイヤー評価)

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        「目指せ!購買改革!!」     
      ?調達購買マネジメント最前線?
────────────────────────2008.3.7─────

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  ☆今週のメッセージVol.1「現場学と物語」
  ☆今週のメッセージVol.2「賃金格差とバイヤー評価」

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■ ☆今週のメッセージVol.1「現場学と物語」
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引き続き
“製造業の現場バイヤーが教える 
     「だったら、世界一の購買部をつくってみろ!」”
http://www.agile-associates.com/books.html
に関連する話です。

この本では調達・購買の現場で
普通に起きているトピックを取り上げています。

なかでも5章「新規商品開発」で述べられているのは、
設計部門や製造部門の反対を押し切って購買部が主導して選定した
サプライヤが起こした品質・納品トラブルとその対応です。

製造業では、新規商品開発時に通常数回の試作と工場試作を繰り返し、
品質や納期の改善、安定化を行っていきます。
その過程で品質トラブルが起こり納期が遅延する、
といった現象は日常茶飯事です。

しかし、そういうトラブルに対してどのように対応すればよいか、
という点に関しては誰も教えてくれませんし、
ましてや教科書本やマニュアルには一切書かれていません。

この本が目指したのは、こういうよくある現場の問題を
どう解決していけばよいかについて指針を示してあげることでした。

出版社の編集者によると、これが「現場学」だということです。

元々、日本の企業においてはOJT(オンザジョブトレーニング)や
職人の技を盗むと言った点で「現場学」が継承されたのだと思います。
しかし近年
「人材の流動化」
「現場でのコミュニケーションの不足」
「管理や教育に専念する(いじわるな?)課長さんや係長さんがいなくなったこと」
「プロセス標準化」等々の様々な要因により、
この「現場学」がなくなりつつるのかもしれません。

最近「現場学」や「現場力」という言葉をよく耳にするようになりましたが、
これはこういう力がだんだんと、なくなってきているからなのでしょう。

実際にOJTが崩壊しているという話を企業さんから聞くこともあります。
それではOJTが崩壊しつつある中でどのような方法で
「現場学」を学べばよいのでしょうか?

私は「物語」「ロールプレイ」「ケーススタディ」のような疑似体験が
「現場学」習得に役に立つと思っています。

つまり、現場で学ぶ環境を疑似的に場を作ることで学ばせるということです。

今回の本で共同執筆者とともに我々が物語にこだわったのは
こういう理由からです。

一方で、この本の物語はあくまでも一例でしかありません。
全てのバイヤー、いやビジネスパーソンがそれぞれの物語を持っているのです。
その物語を多くの人たちが共有することができれば、
日本企業の「現場学」は進んでいき「現場力」は向上すると思います。

やはり編集者のお言葉をお借りすると
『本書は、教科書的な知識ではない「現場学」を教えるというもの。
本来(現場学)は教えるものではなく、感じ取るものだけに、
知識を鵜呑みにするのではなく、ストーリーの中で「私ならこうする」
という視点をもって読み進めて欲しい。』
ということです。

(野町 直弘)

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■ ☆今週のメッセージVol.2「賃金格差とバイヤー評価」
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先日読んだ週刊誌の記事に、賃金格差について触れていましたので、
今日はその記事を読んで元バイヤーとして考えたことを話したいと思います。
その記事では、賃金格差は、
「大企業vs中小企業」「正社員vs非正社員」「都市vs地方」
の構図で解説されています。
この中で、バイヤー業務に最も密接に関連するのは、
「大企業vs中小企業」の関係なので、この点について絞って話をします。

“東京都内の中小企業は、発注元である大手企業の
購買からの値下げ要求で、毎年単価を3割以上カットせざるを得ない。
一方で、原料の値上がり圧力もあり、
従業員の賃金を削るくらいしか生き残る道はない”
というような記事内容でした。

今の環境を考えると、大企業のバイヤーの値下げ圧力が、
中小企業で働く人の賃金の引き下げ圧力となっている
というのは容易に想像できます。
また、大企業が一次下請に値下げ要求をすると、さらに二次、三次へと
値下げの連鎖が起こり、賃金引下げの連鎖も同時に起こっています。

大企業は、コスト削減成果をあげるバイヤーを高く評価します。
また、バイヤーの中には
“私は、競合メーカーを導入してコスト削減の成果を上げているだけ。
競争の結果として価格引下げが起こるのは当然”
という方も多いと思います。

反面、バイヤーの立場を離れて、世の中全体を見ると、
バイヤーが安く調達するということが、
(バイヤーの)関知しない間に賃金格差拡大の引き金となっていたり、
中小企業から人材育成の余力を奪う結果となることも
現実として起こっています。
これは将来の日本の国力を下げる要因ともなると思っています。
?良心的なバイヤーは、自分の値下げの結果として、
一次下請企業の賃金引下げが起これば、
心が痛んで手心を加えるようなことをしています。
しかし、値下げ交渉の結果として、ニ次、三次で、何が起こっているかは
ほとんどのバイヤーにとって関心の外ではないでしょうか?? 

自分の仕事がサプライチェーン全体にどのような影響を与えるかを考えずに、
自分の評価を上げるためにコスト削減を追及するバイヤーが増えると、
世の中がおかしくなるのでは?と、私は危惧しています。
「バイヤーとして自社の利益に貢献すること」と、
「サプライチェーン全体を良くすること」とを両立することは
難しいようですが、企業毎に最適な手法はあるはずです。
具体的には、CSRとコスト削減を両立させる手法や開発購買かも知れませんし、
VOS(Voice of Supplier)のような新手法の導入であるかも知れません。
但し、表面に見えるコスト削減の額や率の大きさを評価する
単純な方法ではないことは確かです。

これから高く評価されるバイヤーは、この最適手法を自分の頭で導きだし、
経営層に説明できる人ではないでしょうか?

注)VOSとは、サプライヤーがバイヤー企業を評価する手法であり、
米国の先進的な企業においては、自社購買部を評価し
改善する手法として取り入れられています。

(鬼沢 正一)

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