2008.2.8(購買・調達の世界を広めるための試み/バイヤーにとって必要な能力

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        「目指せ!購買改革!!」     
      ?調達購買マネジメント最前線?
────────────────────────2008.2.8────

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  ☆今週のメッセージVol.1「購買・調達の世界を広めるための試み」
  ☆今週のメッセージVol.2「バイヤーにとって必要な能力」
?冷凍食品事件を通して考えたこと?

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■ ☆今週のメッセージVol.1「購買・調達の世界を広めるための試み」
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私は調達・購買の世界で事業をやりながら生計を立てています。

以前もメルマガで書きましたが、
数年前は日本で調達・購買業務に特化したこの事業だけで、
正直食べていけるとは思っていませんでした。

なぜなら調達・購買部門の企業内での地位は相対的に低く、
経営陣からの期待や注目もさほど高いものではなかったからです。
また調達・購買部門で働く所謂「バイヤー」という方たちも、
現状の仕事のやり方を変えて、よりよいやり方を目指していこう、
という意識が強くなかったからです。

こういう環境下で私が最初にやらなければならないと思ったのは、
「バイヤーの(内部からの)意識向上、意識の高いバイヤーを増やしていく」
ことでした。

毎年定期的に行う「調達・購買部門アンケート調査」、
適宜作成している「アジルレポート」の発表、
今では日本で最大のバイヤーコミュニティになった
「購買ネットワーク会」の発足など。
十分ではないとは思いますが、その思いは徐々に実現しつつあります。

ですが一方では
「バイヤーや調達・購買部門の地位向上を(外から)進める」という
活動はなかなかできていません。
これは多くの企業経営者の方たちに調達・購買部門の重要性を
認識してもらうことだけでなく、
社会一般で「調達・購買」という仕事の内容、目的、価値、面白さ、難しさを
理解してもらう取り組みでもあります。

しかし、今回このような取り組みにつながりそうな
画期的な本が出版されました。
私も以前から懇意にさせていただいている坂口孝則さんの
「牛丼一杯の儲けは9円」
?「利益」と「仕入れ」の仁義なき経済学?(幻冬舎新書)です。

タイトルも興味を惹きますが、内容もとても面白く分かり易く書かれています。
特に「物を買う」という業務についての面白さ、難しさ、価値が
分かり易く書かれています。

読みやすい内容になっているので、是非、調達・購買業務に
従事していない営業やマーケティング、企画等の方たちにも
読んでもらいたいと思います

もっと言うと小中学生の子供を持つ多くのバイヤーさんは、
是非お子さんに読ませてあげてください。
また、これから社会に出る学生にも読んでもらいたい。

そして「調達・購買」の世界を多くの人に理解してもらい、
興味を持ってほしいと心から願っています。

先日皆さんもご存知の電力会社さんの次期社長さんに
資材畑出身の方がご就任されることが発表されました。
今までであれば、これも考えられないことです。

企業の事業環境は益々複雑化しており、企業はソース(調達)を
多様化しないと生き残れない時代になっています。
またそういう環境下、調達・購買業務(機能)を
重要視せざるを得ない状況になってきているのでしょう。

一方で、坂口さんの出版も今までであれば考えられないことです。

何故ならこの本は、バイヤーのために書かれた本ではなく
広く社会の人たちのために書かれた本であるからです。
「調達・購買」の仕事は元々奥が深く、面白く、
大きな価値を与えられるものです。

それを広く伝えるための試み・・・
それが日本で始まったことを皆さんにお伝えさせていただきます。

(野町 直弘)

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■ ☆今週のメッセージVol.2「バイヤーにとって必要な能力」
■□ ?冷凍食品事件を通して考えたこと?
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今日は、最近問題になっている冷凍食品に「メタミドホス」
(殺虫剤としても使われる毒物)が混入していた事件を聞いて、
考えたことを話したいと思います。

最近読んだ週刊誌には、問題となった冷凍食品を製造していた
中国のT食品から、消費者までの商流が書かれていました。
その図によると、T食品からギョウザ、串フライ、味付けカルビ等の
加工食材を日本有数の商社が買い付け
食品会社やS協のようなスーパーに卸し、
それが消費者に渡る構造となっています。

この構造は、ゴールドラッシュに似ています。
「中国の加工食品は安い、儲かる、他の企業が買っている」
というだけの理由で、まるでゴールドラッシュのように、中間商社が群がり、
その商社に食品会社やスーパーがぶら下がっている様子が見て取れます。

本来であれば、S協のバイヤーは、
中間商社のサプライヤ管理方法を調査し、仮にそれが不充分であれば、
源流であるT食品のサプライヤ評価を実施すべきなのです。
しかし、今回のギョーザ事件に登場する商流は、
北海道のM社の事件と同一であったことを考えると、
まともなサプライヤ評価は
実施されていなかったのではないかと私は推測しています。

今回の事件から、私は20年前に出会ったあるバイヤーを思いだしました。
そのバイヤーは地方にあるユニークな技術をもつ中小企業を
自分の足と目で開拓することを仕事にしていました。
県の発行しているサプライヤ台帳から、候補サプライヤを見つけては、
1社ずつ訪問し、工場の設備、設計者、作業者から排水処理設備までを
自分の目で調査し、さらに下請に出している場合は下請企業を、
孫受けに出している場合は孫受け企業を訪問し、
優良なサプライヤを評価・探索していました。
(紙やデータには現れないものを、自分の目で評価し
優良なサプライヤを開拓することを信条としていた方でした)
それは相当の時間と労力を要する
「砂漠の中でダイヤモンドを探すような仕事」
であったと記憶しています。
そして私はその方から、
「バイヤーは必要であれば供給ソースの源流まで遡って調べるものだ」
ということも教えてもらいました。
 
S協にもこのようなバイヤーがいて、
しっかりしたサプライヤ評価がされていれば
今回のような事件は防げたかも知れません。

本当に力のあるバイヤーというのは、
他社が買うからという理由で安いサプライヤに飛びつくのではなく、
自分の目と足でサプライヤを評価できる人、すなわち
「砂漠の中のダイヤモンドを探す能力のある人」
であると改めて思いました。

(鬼沢 正一)

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