2007.09.07号(開発購買考/食のサプライチェーンとサプライヤ評価)

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アジルアソシエイツが講演するセミナーにお越し頂いた方々、
その他の機会に名刺交換をさせて頂いた方々にお送りしています。

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        「目指せ!購買改革!!」     
      ?調達購買マネジメント最前線?
────────────────────────2007. 9 . 7────

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  ☆2007年度「購買・調達に関する調査」の結果を発表
  ☆レポート「調達・購買BPOという新しい流れ」を発表
  ☆今週のメッセージVol.1「開発購買考
         ?泥臭い意識改革活動とサプライヤデータベース?」
  ☆今週のメッセージVol.2「食のサプライチェーンとサプライヤ評価」
  

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■ ☆「購買・調達革新大会」にて、
    2007年度「購買・調達に関する調査」の結果を発表
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先日の日本能率協会様主催の「購買・調達革新大会」にて、
2007年度「購買・調達に関する調査」の結果を発表しました。
(発表者:弊社代表取締役社長 野町直弘)

昨年に引き続き日本能率協会様と共同で、
国内企業1,655社を対象にアンケートによる購買・調達部門の実態調査
を行い、353社からご回答頂きました。
回収率も21.3%に上がり、購買・調達業務のあり方についての関心が
益々高まっていることが窺えます。

アンケートにご回答頂いた方々には、お忙しい中購買・調達部門の
実態調査へご協力頂きまして、ありがとうございます。
厚く御礼申し上げます。

2007年度「購買・調達に関する調査」結果はこちらから
⇒http://www.agile-associates.com/2007/09/2007.html

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■ ☆レポート「調達・購買BPOという新しい流れ」を発表
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既に弊社ホームページでは掲載しておりましたが、
今回PDF版として、レポート「調達・購買BPOという新しい流れ」を
発表しました。

広く「調達・購買BPO」の正しい理解をして頂くとともに、
今後の「調達・購買BPO」の発展に寄与していきたいという思いから、
昨今の「調達・購買BPO」を取り巻く環境や動向、および弊社の
「調達・購買BPO」への取り組みについて、レポートを作成しました。

是非ご一読を宜しくお願い致します。

レポートのダウンロードはこちらから
⇒http://www.agile-associates.com/2007/09/bpo.html


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■ ☆今週のメッセージVol.1
□ 「開発購買考?泥臭い意識改革活動とサプライヤデータベース?」
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最近製造系バイヤーの方々から、
開発購買の推進について話を伺う機会が何度かありました。

毎年実施している「購買・調達アンケート」でも主要課題として、
常にトップランクに取り上げられていますが、中々推進が上手く
いっていないという様子が窺えます。

但し、最近数人の製造系バイヤーの方々からお話を聞いたところ、
徐々にではありますが、一定の成果をあげつつあるようです。

前にメールニュースでも記載しましたが、
開発購買の推進を妨げる要因として私は、「意識」の差と
「仕組みの適合性」のGAPを取り上げました。

「意識」の差は、特に設計部門と購買部門の意識が異なっていること、
「仕組みの適合性」のGAPについては、開発購買推進のためのITや
プロセス、プロジェクトなどの仕組みが「購買」発のものであり、
「設計」が求めているニーズと合致していない。ということです。

開発購買推進については3通りの類型があります。
1.物理的な壁を取り払い、わいがやで進める「大部屋方式」
2.部門横断型の専門チームが推進する「品目チーム方式」
3.全社的な仕組みとして取り組む「DB活用方式」
という3通りの進め方があります。

それぞれの方式毎にメリット、デメリットがあるものの、
特に「意識」の差という観点から考えると、
「大部屋方式」や「品目チーム方式」のような、ある程度キーマンを
介したナレッジの共有や推進が、特に設計・開発部門が強い日本企業に
おいては有利であると考えています。

先日お話を伺った企業さんも正に、そういう泥臭いやり方で
効果を上げ始めているというお話でした。

これらの企業さんでは、購買部門内の数人が、
設計部門に机を設置してもらい、一日数時間でもいいから
必ず顔を出して、まずは顔と名前を覚えてもらう。
呼ばれてもいないDR(デザインレビュー)会議に顔を出して、
率先して提案や調整を行っていく。
そういう地道な活動を通じて、初めて設計・開発部門のキーマンと
話をできるようになり、信頼してもらえるようになり、
ようやっとコストを意識してもらえるようになった。
というような話でした。

本当に手間の掛かる話ですが、
実はこのような泥臭いやり方で、まずは意識を変えていくことが
重要なのでしょう。

以前、私が自動車会社の購買にいた時も実は同じような経験が
あります。若いこともあり、設計・開発部門の部課長さんに
可愛がられ、木型承認の会議まで参加し、「購買の人間で
木型承認に立ち会った人間は初めてだ」と言われました。
そういう経験を経て、サプライヤさんの件、コストの件については、
野町に相談しよう、という方向に持っていけたと思っています。

最近、アジルアソシエイツのパートナー企業である
NCネットワークさんが、「NCツールバー」を開発して無料で
配布しています(http://www.nc-net.or.jp/toolbar/)。

NCネットワークさんは、
加工系を中心とした中小製造業の約14,000事業所の
情報提供サイトです。

彼らのすごいところは、インターネットを介して、
バイヤー企業の新規サプライヤ探索のための有益な情報を
提供するところです。
また、コンテンツや分類がかなり使いやすく整備されている点も
特徴として上げられます。
さらに、「NCツールバー」を使うと技術情報や技術動画情報
(製造業の社員教育コンテンツとしても活用できそう)の
検索も可能なようです。

実は、バイヤーは昔から積極的に新しい技術や新しい技術を
持ったサプライヤを探している訳ではありませんでした。
特にBeforeインターネットの世界では、
新しいサプライヤに関する情報収集は極めて難しかったと思います。

一方で、設計・開発の人間は常に新しい技術を求めています。
そういう点からこのようなNCネットワークさんのツールは、
有益な情報共有のためのツールとして「仕組みの適合性」の
GAPを解消できるツールの一つと言えるでしょう。

とはいえ、やはり最近の開発購買の成功推進事例として伺ったような、
「意識」の差をなくすという泥臭い取組みは依然重要であると考えます。

近い将来、「NCツールバー」のようなツールを活用して、
ある製造業の米国の設計者と、日本のバイヤーが情報共有を行い、
わいがや方式で開発購買を推進し、コストが安くかつ、先進的な
製品開発を行っているような姿(・・・まさに理想の開発購買像ですが)
が実現されていることを夢見ています。


(野町 直弘)


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■ ☆今週のメッセージVol.2
□ 「食のサプライチェーンとサプライヤ評価」
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最近、食の安全に関してよく話題になっていますので、
今日は食のサプライチェーンとサプライヤ評価について、
考えたことを書きたいと思います。

皆さんご存知の北海道の食肉会社(以下、「M社」といいます)の
事件で、私が意外に感じたのは、S協が同社の肉の入ったコロッケを
販売していたことでした。

私の消費者として、S協から食材を買っていますが、
多少高くても買っているのは、「S協であれば、変な材料を
使った食材は販売しないだろう。」と言う単純な思いこみからでした。
(人間の情報収集能力には限界がありますから、一般消費者が、
S協というブランドを信用して購入するのは、当然のことと
考えています。)

一方で、バイヤーの視点からは、
S協の調達部門におけるサプライヤ評価制度やサプライヤ認定制度は、
どのような仕組みなのかは興味あるところです。

M社の事件における商流は、
”M社→サプライヤ(食品加工会社)→問屋→S協”ですから、
S協の調達部門は、サプライヤ(問屋)のサプライヤ(食品加工会社)
について、原料調達方法を管理していたか、または、その先のM社の
実態を管理していたか否か問われると考えられます。

S協は、過去3年間に遡ってM社の製品を使用して製造・販売した
コロッケの代金を消費者に返金すると発表しました。
その損害額は数十億円に達すると言われています。
しかし、調達部門が、事前に充分なサプライヤ評価をしていれば、
この損害発生とS協ブランドの失墜は未然に防げたのではないかと
思っています。

バイヤーの直面する課題として、
どのレベル(孫受け、ひ孫受けまたはTier2、Tier3など)まで
サプライヤを管理すべきかがよく話題となります。

中国産玩具の有害物質問題についても同様のことが言えますが、
サプライチェーンが長くかつ複雑化している現在、
リスクマネジメント上の重要アイテムについては、源流まで
遡って管理することが必要になってきていると考えています。

つまり、これからのバイヤーは、購入対象品を科学的な手法で
重要アイテム(または重要サプライヤ)に絞りこんだ上で、
徹底的に管理していくことが必要になるということです。

これからのバイヤーは、新しいサプライヤ評価やリスクマネジメントの
手法を研究しなければならないので、苦労は多いと思いますが、
一方で、ここにも活躍できるよいチャンスが潜んでいるのでは?
とも思っています。

(鬼沢 正一)


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