2007.06.29号(これからのバイヤーに要求される能力/企業の構造改革は進んだのか?)

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このメールは、アジル アソシエイツのお客様、
アジルアソシエイツが講演するセミナーにお越し頂いた方々、
その他の機会に名刺交換をさせて頂いた方々にお送りしています。

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        「目指せ!購買改革!!」     
      ?調達購買マネジメント最前線?
────────────────────────2007. 6 .29────

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  ☆『購買改革!事例ご紹介セミナー』開催のご案内
  ☆『購買・調達に関する調査』のご協力のお願い
  ☆今週のメッセージVol.1「これからのバイヤーに要求される能力
                ?三現主義から学んだこと?」
  ☆今週のメッセージVol.2「企業の構造改革は進んだのか?」
  
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■ ☆『購買改革!事例ご紹介セミナー』開催のご案内
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来る2007年7月5日(木)に、
松下電工インフォメーションシステムズ株式会社様、
株式会社ビジネスインフィニティ様と弊社の三社共催で、
『購買改革!事例ご紹介セミナー?アステラス製薬様における
調達業務効率化の実例?』を開催致します。

製薬業界における調達購買業務のマネジメント・効率化に
ご関心のある方々、是非ともご参加ください。

詳細およびお申し込みはこちら
⇒http://www.naisis.co.jp/event_1.html


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■ ☆『購買・調達に関する調査』のご協力のお願い
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昨年に引き続き、社団法人日本能率協会様と共同で
『購買・調達に関する調査』を実施致します。

今年は、コスト削減、人材育成等の他、
昨今注目度の高いCSR調達に関するアンケート項目を
設け、現在調達・購買部門が抱えている課題について
調査してまいります。

日本能率協会の会員企業様を中心した方々宛には、
アンケート調査票を郵送しておりますので、
アンケートへのご協力をお願い致します。


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■ ☆今週のメッセージVol.1
□ 「これからのバイヤーに要求される能力
■□ ?三現主義から学んだこと?」
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20年以上前に、私が工場のバイヤーだったときは、
工場近隣の協力会社への機械加工、組立加工を担当
していました。

これらの仕事は、図面に基づいて委託されるので、
まずは図面を読み込む必要があります。
私は文系だったので、図面を理解するために
図面学に関する本を読んだり、設計者のところに行って
教えてもらったりしていました。
1日の時間の半分を、図面を見て加工品の材質、寸法、精度から
加工に使用される工作機械の種類と加工時間を算出し、
協力会社の見積をチェックする仕事にあてていたと
記憶しています。

また、週に1回は協力会社に行って、工作機械の使われ方を見たり、
工程の改善を考えたりしていました。
(当時は、三現主義「現場、現物、現地」と言って、工場では、
これらの仕事が最重要と言われていました。)

最近の坂口さんのメルマガにも似たようなことが
書かれていましたが、
最近バイヤーの仕事が表面的な価格にフォーカスされすぎてしまい、
購入品がどう作られ、どのような改善の余地があるかについて、
あまり考えなくなったのではないかと思います。
(中国との価格競争や購入品がハイテク化することで、
製造方法や改善にバイヤーの入り込むことが難しく
なってきたことが一因ではないかと思います。)

地味な仕事でしたが、私は20年前の経験から
次の2つのことを学びました。

1つはバイヤーの仕事はゼロサムばかりではないことです。
(*ゼロサムとは、バイヤーとセラーの利益の取り合いであり、
どちらかが利益が増えればどちらかが利益が減るものです。
一企業への価値は生み出すが、世の中への付加価値は提供しない
ものです。)
すなわち、バイヤーは、少ない材料や工数でものを作ることを提案し、
世の中に価値を生み出すことができる職種であるということです。

もう1つは、未知のものや一見難解なものを自分の頭で再構築する
能力の重要性です。
高度な技術を要する品目カテゴリーにはなかなか深く入り込めない
文系バイヤーは多いと思います。
しかし、その品目は何か、どういう製造方法か、どういう使われ方を
するかを自分の頭で理解して、自分の言葉で語れないと、社内外の人を
説得することはできないと思います。
従って、担当する品目について、自分の頭で再構築することは、
かなり重要であると思いました。

トヨタの工場周辺に部品メーカーの営業・開発拠点が集積している
という記事を読みましたが、今後、バイヤーとサプライヤとの協業は
益々重要となってくると思います。
利益の取り合いしかできないバイヤーは存在価値は、
かなり薄くなってくるでしょう。
これからのバイヤーにとって重要なのは、
安くするための交渉術や安いサプライヤを見つけてくる能力よりも、
難解なテクノロジーを自分の頭で再構築し、自分の言葉で語れる能力
ではないかと思います。

(鬼沢 正一)


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■ ☆今週のメッセージVol.2
□ 「企業の構造改革は進んだのか?」
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1990年代当初のバブル崩壊後の10年間、それからその後の5年間、
企業だけでなく社会環境自体がかなり変わってきたことを
感じています。

最初の10年間で特に変化したのは、人財面でしょう。
近年はその状況がより進み、今は格差の時代だと言われています。
政治のあり方なのか、企業の行動なのか、国民の意識なのか?
その原因はよくわかりませんが、本当にドラスチックに変わったと
思います。

まずは社員。
以前は自前の雇用が殆どでした。
今は、派遣、業務委託、請負、人材紹介等、人に関する業務の外だしが
当たり前のように行われています。「ハケンの品格」というドラマが
ヒットする時代であり、派遣社員がいない会社は最近では珍しく
なりました。

次は、社員構成。
以前はピラミッド型の組織で、製造業ですと42歳で課長に、
47歳で次長、50歳で部長に昇格し、早い人で53歳で末席役員に。
それ以外の人は関連会社や子会社へ出向。
先日、私の出身会社の人と話をする機会がありましたが、
非常に保守的かつ伝統的な日本企業であるにも関わらず、
40代後半で役員になる人がでてきているようです。

何故なら?皆リストラされてしまったからです。
最近、バイヤー業務でも大規模なリストラの影響で、
現場の知識やサプライヤ指導、工程監査や、海外サプライヤの開拓、
等の業務遂行に支障をきたしているという話を聞きます。

一方で、そういうノウハウを内部に最育成するのではなく、
手っ取り早く外部に仕事を依頼する企業が増えており、
日本企業のスキルの空洞化のような状況を感じます。
非常に危険な兆候です。

また、2000年以降の5年間で最も変革したのは、
事業ポートフォリオだと思います。

企業再生を始めとして、事業のリストラクチャリングは
特にここ数年ドラスチックに進んでいます。
これは単体の事業だけではなく、企業のM&A、合併や
共同事業化の推進等、いろいろな場面で本格的に
事業のリストラが進んでいます。

これの引き金になったのは、そもそも企業を支える側であった
金融機関の合従連衡だと思います。

私が就職した当時は都市銀行は11行ありましたが、
いまは、4グループのみです。
その当時優秀な人たちはこぞって銀行に就職しましたが、
それぞれの銀行に就職した人たちが今は同じ銀行に
所属しているといった状況です。

今では、M&Aは日常茶飯事であり、
それが、事業ポートフォリオのリストラにつながっていると
考えられます。

このようにバブル崩壊以降、社会環境や経営環境は
大幅に変化してきました。
特に人財面と事業面で。。

それでは調達・購買の世界は変わったのでしょうか?

正直、人財面、事業面ほどは変革していないのではないでしょうか?

戦略ソーシングという名の下に徹底的に支出最適化を図っていく。
一面容易なようですが、その実、以外と企業のオペレーションや
徹底したコスト削減、支出削減は難易度が高く、抵抗感も
多いのでしょう。
一部の大企業を中心とした部分的な取組みに終わっており、
社会全体の構造改革、というところまでは進んでいないのが
実態でしょう。

その理由として考えられるのは、
一番手早く構造改革につながり、しかも効果が大きい人財面から
手をつけましょう。という企業が多かったのではないか?と
思っています。
また、その後はやはり即効性の高い事業面でのリストラが
取り上げられたのでしょう。

景気回復基調にある現在、日本企業の構造改革は
どちらかというと、そのスピード感が減速しているように思います。
そういう環境下、調達・購買の構造改革の必要性を認識し、
先に進められる企業が次の10年間をリードする企業となることは
間違いないと思っています。

(野町 直弘)


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