第35回 自然を感じる

都会で生活していると、自然を感じる機会が非常に少ないと思います。
周りを見渡すと、コンクリートばかり。空を見上げても、視界のほとんどはビルばかり。確かに緑はそれなりに目につきますが、人間が管理している街路樹や公園の緑で、自然とは呼べないようなものばかりです。都会で自然を感じる機会と言えば、せいぜい台風や地震の時に改めて自然の恐ろしさを感じるくらいなものです。

このように人工的なものばかりに囲まれた生活をしていると、私は何だか息苦しくなるような感じになり、自然を求めて海や山に行くことがあります。自然の姿を目にし、風の音を聞き、海や山の香りを嗅ぎ、自然の感触を感じ、最後においしいものでも食べれば、日頃の嫌なことを忘れて、生き返ったような感じになります。そして何だか、また頑張っていこうというやる気が出てきます。このような経験は、おそらく誰にでもあると思います。
やはり毎日毎日仕事ばかりしていると、だんだん集中力とやる気を失ってしまいます。たまには休んで自然を感じて一度リフレッシュすることで、その後の仕事の効率があがると思います。

ところで、日頃何気なく使っている自然という言葉ですが、人間の意思が介在していない地球本来の環境を指す以外にも使われています。例えば、「自然な動作」とか「自然に体が反応する」などのように使われます。自然という言葉を辞書で調べると、「行為や態度がわざとらしくないさま」や「ひとりでに、おのずと」といった意味もありました。おそらく、癖や身に付いた習慣、身を守るための反射などの動作を表現するときに自然という言葉を使っているのだと思います。私の最近習慣となっている自然な行動は、何かわからないことがあると、とりあえずgoogleで検索するというものです。 googleは大抵の疑問に答えてくれるので、非常に満足ですが、日頃使わない知識ばかりが増えてしまいます。話がやや逸れましたが、自分自身の自然な行動を一度省みると、意外な一面を発見できたりするのかもしれません。

そう考えると、仕事をしていても自然を感じることがあります。特にこの仕事をしていると、色々な会社に行く機会があります。そこで色々なお話を聞いたり、働いている方を目にすると、会社によって様々な自然な慣習や業務があるように思います。そしてその会社にいる方にとってはごく自然な慣習や業務でも、外の人間からするとやや不思議に見えるものがあるように思います(ここでは、具体例は出さないようにします)。そのような慣習や業務は、その会社の歴史や文化等を反映したものなのだと思いますが、もし仮に無駄があるような場合はそれを指摘し、改善していくために考え、行動することも私達の仕事だと思います。クライアントの会社の自然な行為を自然なものと感じて納得するのではなく、一歩引いたところから感じてよりよい仕事をしていかなければと思います。

このように一言で自然を感じるといっても、ここで挙げた以外にも色々な自然を感じることができるように思います。自然を敏感に感じて、上手に仕事をしていくことを心がけていきたいと思います。

2006年4月
高橋