第11回 バイヤーのキャリアついて

えば去年の今頃前回のコラムを書いたのですが いろいろ知り合いからご感想を頂きました。
(友達談) "ソーシングって何をやっているのかやっとで分かったと感動してお母さんにまで見せた" (長年付き合っている彼女談) "何度聞いても何の仕事してるかよくわかんなくて忙しい忙しいといいつつうそ臭いし、怪しい人だと思ったけど(??)今回のコラムでやっとで何をしている人だか分かった" (友人談)"文章面白いから 本でも書いて印税で稼いだら?(そんなに書ける訳ないだろう!)"

ある意味 思わぬ人から反応が良かった?ので ちょっとびっくりしてたところですが やっぱりソーシングって仕事自体が 認知されてないんだなって思いました。

私も社会人になって営業をするようになって こういう仕事があるのかと初めて知ったくらいですし、なんか偉そうな顔して会社の代わりに物を買えるなんて なんていい仕事だろう!って思ってました。 (実際にバイヤーになって これが大間違いだったということにすぐに気がつきましたが。。。)丁度その頃 某大手電機メーカーでバイヤーにならないか?と誘われ バイヤーといういばらの道を歩むことになってしまったのですが。私自身はもともとは営業だったので いつも思うのは 野球に例えるとバイヤーはピッチャーで 営業はバッターなのかな? と思っていました。バイヤーは防御率で評価され ちょっと打たれただけで成績が悪いという評価になってしまいます。営業はたまにでも打てればですし 嫌な仕事?というか状況が悪い仕事であれば 逃げちゃうことも出来ます。バイヤーは逃げられません。。。つらいですね。

営業の時は かなり気楽に仕事してましたが バイヤーになってからは ひどい便秘になるし 肩こりひどいし 逃げれないから休みも仕事するし 出張行けば徹夜だし すごく太るし。。。。おかげでモテないし(関係ないか?)と寿命が縮まる思いをしました。。 休みも取れないので 時々寮で刺身で酒飲むのだけが唯一の楽しみでした。(だから余計太るのですが)坊さんのような 仕事だけに集中した個人的な物欲のない出家したような気分でした。ずっとこんな生活から抜け出したい、転職したいと思ってはいましたが 当時 バイヤーじゃ多分他社では通用しないので無理だろうなって思ってました。(その会社では社内調整9割、社外交渉1割と言われ 社内の関係にフォーカスした仕事が多く、もちろんこれでは他社では通用しません)広島で仕事ばかりの坊さんみたいな生活して一生を終えるのか。。。と覚悟してました。。

とずっと悩んだ末 結局は辞めて 運良くある大手アメリカ系外資に移りました。また性懲りもなくバイヤーです。(それしか出来ないし)

面白いなと思ったのは、バイヤー=ソーシングというのが プロフェッショナルの仕事と捕らえられていて スキルやノウハウを定型化し、ある程度まで キャリアも積んでいけるという状況でした。アメリカ本社では大学教授とタイアップして研究までしていました。(たいしたことはなかったのですが)こういう考え方がここ数年トレンドとなって バイヤーのキャリアというのが評価される様になってきたかなと思います。"おお すごい!" ということで やる気が出て頑張って成果を挙げました。ついでに一時は10キロ以上やせたし 彼女も出来ました。。と頑張っているうちにソーシングも極めたレベル迄達したと思われました。となると今度は次のキャリアを考えないといけません。(アメリカでは 一つの仕事を2-3年ずつやってキャリアアップを図っていくのが普通のようです)でも 今ひとつピンと来るものが思いつきませんでした。そこでアメリカではどうなのかなとアメリカのバイヤー友達にも相談しましたが アメリカでもソーシングの次のキャリアが無く問題になっているということでした。

そういう中で日本でも皆いろいろ新しいキャリアに挑戦し始めていました。クオリティでシックスシグマに携わったり もっと大きな規模のビジネスのソーシングになったり いろいろですね。私自身もソーシングの新しいキャリアを作りたいと思い 今コンサルティングという新しい分野に挑戦しています。

最近変わってきたなと思うのは CPM= Certified Purchasing Manager(米国公認購買管理士)のような 購買としてのスキルの資格が出てきて、また 会社によっては CPO = Chief Purchasing Officer (最高購買責任者) のようなポジションを置き始めた会社もあると聞いています。資格により定量的な判断を出来るようにするなど 大分 購買、ソーシングに対する世間の見方が変わって重要視されてきたのかなと思います。

私自身も CPMを取ってみようかと思い 最近テキストを取り寄せてみました。分厚い英語のテキストが4冊+スタディガイド等英語で2冊届き、気が遠くなりました。。


2003年 6月
小倉 正史