第1回 会社設立にあたって
我々のような小さなスタートアップの会社にとってWebサイトとは皆様方との唯一と言っても良いくらいのコミュニケーションの窓であると思います。一方で、アジルのサイトを見ていただいた方はお気づきかもしれませんが、「何をやっている会社か良く分からない」というご指摘の声もいただいています。それもその筈で、そもそも社名の「アジル」とか「アソシエイツ」とか「つなぎ」とかそもそもコンサルティング会社というのが何をやっているのか一番分かりにくい上に概念的な紹介が多いので(実際の活動は顧客との間の守秘義務から公開できないということもありますが)分かりにくいというご指摘もご尤もだと思います。我々はそのようなご指摘に対して唯一に近い窓から情報を発信することでアジルという会社の理解を深めてもらおうという思いからこのコラムをスタートさせていただくことにしました。このコラムを読んでいただいた方がよりアジルをご理解いただき、元気になってくれることを願っています。
さて本題に入りますが、今回のテーマは「会社設立にあたって」という内容です。会社を設立するきっかけは人それぞれであることは間違いないわけですが、私は正直な話、「何をやりたいか?」という視点ではなく「どういう会社でありたいか?」という視点で会社を立ち上げたというのが正直なところです。
「どういう会社でありたいか?」という私の思いは多分インターナルでの思いと対顧客企業の思いに分けられると思います。
インターナルでは非常にシンプルな思いを持っています。それは「理想の会社」を作っていきたい、ということです。私の「理想の会社」の定義は極めて単純で「やりたいことがやれる会社、言いたいことが言える会社、そしてそれでいてそこそこ儲かっている会社」であると思っています。この「理想の会社」像の実現は簡単なようで非常に難しいと思っています。ただ不可能ではないと思っています。短期的なIPOを目指すのではなく、個々のパーソナルウイン(ありたい姿)を実現するツールとして私自身、会社を捉えていますし、個々のメンバーもそういう考えを持っていると考えています。
一方対顧客企業の思いとしては「リアルバリュー」の提供という点にこだわっています。最近コンサルティングの現場でちょっとした動きを感じています。私が初めてコンサルティング業界に入った約10年前、いやもう少し最近でもそうであったと思いますが著名なコンサルティングファームを高い料金を払って雇うことで「社内の政治に活用する」とか「はくをつけるために外部の著名なコンサルタントの力を使う」とか「高級アウトソーシング事業」と捉えている事業会社の方が多かったことは事実であると思います。これを否定する気持ちは全くないのですが、一方でこのようなコンサルティング会社ではないコンサルティング像を我々に求める企業が増えていることも事実であると思います。
まず、このようなクライアントのキーマンがおっしゃられることは「絵に描いた餅」はいらない、「報告書の束はいらない」、「真のバリュー」をもたらして欲しいということです。「真のバリュー」とは何かと申しますとつきつめると「キャッシュ」になります。コンサルティング会社にお金を払ってプロジェクトを依頼して「いくら儲かるのか」という視点と言えます。
長期的な視点と短期的な視点で効果を捉える必要は当然のことながらありますが、一方で私自身が感じていたジレンマもここに起因していたと感じています。コンサルタントは所詮支援者です。自らが実行者にはなりえません。一方でどんなにフィージブルでかつ効果的な提案やしくみを作りだしたとしてもそれを実践したり、活用するのは当然のことながら顧客企業と言えます。このへんに私自身コンサルタントをやりながらジレンマを感じることがありました。
一方でリアルバリューをもたらすことができるプロジェクトも多く存在することは事実です。それは顧客企業の方たちと同じ思いを持ち、同じ立ち位置で、同じ目線で行動をすること、皆と一緒に悩み、楽しみを共有し、プロジェクトの成果を共有する。このような成功プロジェクトの共通点はコンサルティングの枠を取り去り、いかに「理想のチーム」を築いていけるか、が成功の最大の要因であることに気がつきました。
アジルはこのような成功プロジェクトを数多く生み出し、自らがプレイヤーとなっていく、というビジネスモデルを目指していく会社でありたいと思っています。
これを実現する根源は、立派な方法論や業界の知識ではありません。またITやしくみでもありません。「共有できる価値」を持てるかどうかにつきると思っています。「自ら思いを持ち、顧客企業のメンバーとその思いを共有しビジネスを変えていく」それが我々のスタイルであり、目指す方向であり、ひいてはビジネスそのものである、と考えています。
アジル設立の意図の一端が皆様に伝われば幸いです。
2002年4月
代表取締役社長
野町 直弘
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